物語の始まりから終わりまで
世界観を決め、物語の展開を考える。
物語の構築の方法論について。
短編と長編ものの文章量の目安について。
今回の話はプロットの作成に大きく関係する、物語の大筋を決定する作業。それは「物語の生成」に関わることです。
あらかじめ大きな物語の流れを設計しておくのは大切なことです。
起承転結や序破急といった物語の展開、構成要素(山あり谷ありといったもの)を考えながら物語を形作ってゆくことになるでしょう。
そしてなにより、その物語は長編か短編か、ということも大切です。
短編小説はだいたい「4000字~」。
長編小説だと「80000字」程度となるらしいです。
(ある小説応募要項によると、短編2万~4万字以内。長編12万~18万字以内などの規定があります)
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さて、それでは物語の大筋を決める方法は、どのようにして決めることができるでしょうか。
例として考え方をあげると。
① 主人公をどういった存在として書くか。
② その主人公がどのように成長、または生き、物語の結末を迎えるか。
③ 物語の目的と達成条件「結末」。
こうしたことから考えるべきでしょうか。
世界観を決め、これこれこうしたアイデアが出たから、主人公をそのアイデアに当てはめた人物にする。この際それでもいいでしょう。
物語のはじまりに、結末の手前を見せるような手法もいいですが、そこまで書ききる覚悟を持ちましょう。
話の大まかな書きたいところと結末。せめてそれくらいは決定できないと、何も書けないと思われます。たとえ勢いで書きはじめても、混乱した内容の、何が書きたいのかわからないような乱雑したものになり、物語の途中で放り出してしまうでしょう。
本格派のファンタジー物語には決まった約束事があります。とくにハイファンタジーならでは、というお約束があるのを忘れてはなりません。
それは「成長物語」あるいは「欠如の補完」、「秩序の奪還」といった、失われたものを取り戻す。──といった約束事のことです(その過程が起承転結になります)。
それはまさにテンプレートな物語の構成であり、最後の結末に至るプロセス(工程)そのものです。
欠如の補完とは「復讐の物語」なら敵役を討ち取ること。ヒロイックファンタジーなら主人公が宿敵を倒し、平和をもたらすことでしょうか。
そのために物語には筋書きがあるのです。
仲間を集め、(伝説の)武器や魔法を入手する。そのためには精霊の力を借りて、精霊の世界を旅して目的を果たす必要がある──など。
そうしたことを乗り越えて(成長して)やっと、魔王(宿敵)を倒す準備が整うわけです。
こうした筋書きを持たない物語でもいいですが、話の大筋──目的──が読者に何も伝わっていないと、「で、この主人公は何がしたいの?」みたいに思われる可能性が出てきます。
なので、物語の中で活躍する主人公の行動原理くらいは読者に示しておきましょう。
① 主人公の目的。
② 目的が達成される条件の提示(前述の③に同じ)。
物語の大筋を決めたら、それを読者に知らせておくといいでしょう。そうすれば読者も違和感なく物語に興味を持てるのではないでしょうか。
とくにダークファンタジーのような読み物は、主人公が何をしたいのかがわかっていないと、厳しい状況になってもウジウジしたり、泣いて逃げ出すような主人公を温かく見守ってくれる読者など、たぶん──そうはいません。
この物語はこれこれこういうものなんだな。そうわかっていれば、読者も物語の先を想像しやすいのではないでしょうか。
だからこそ読者の意表を突く物語の展開も、ときに重要なアクセントになりえます。──それは作者の腕しだい、といったところでしょうが。
ファンタジー物語の約束事は「絶対に必要」とは言いませんが、多くの物語にはなんらかの結末があるものです。その一つがこうした「欠如の補完」にあると理解しておくことは大切だと思います。