プロレスラー、転生する
「よっしゃー!!行くぞぉー!」
「「うぉぉおおおー!!!!」」
今回も俺の勝ちだな。フィニッシュムーブをかましてやろう。
「おぃ!おぃ!おぃ!おぃ!...」
俺は相手を警戒せずにリングのコーナーの上にたち、掛け声で観客の拍手と歓声のリズムを整えていた。
そんな俺の頭目掛けて、立ち上がった相手選手がドロップキックをした。
「舐めるな!」
「グッ...」
それが俺の最後の言葉になった。
俺はコーナーの上から、リング外に頭から落ちてしまった。その時俺は首を折ってしまい、命を落とした。
しかし今は意識があって、真っ白な空間にいる。
「どこだ..?ここは...俺は確かドロップキックをくらって意識がなくなったはずだが..?」
「にょにょにょにょにょ〜、死んでしまったか、お主。」
突然謎の老人が俺の前に現れた。容姿は120cmくらいのぽっちゃり体型で、髪型は毛が1本、そしてハチマキを頭に巻いており、そこには"神"と書かれている。
「誰だ、あんたは。そしてここはどこだ。」
「儂はこの世の神じゃ!お主のこともずーっとみておったぞ!そしてここは神界じゃよ。」
「神..? 神界...? そしてどうして俺はその神の領域に来てしまったんだ。」
「それは儂がお主の魂を連れてきたからじゃよ。」
「なに?どういうことだ。」
「儂はお主の戦いっぷりが好きだったんじゃ!だからまだ見たいんじゃ、お主の熱い試合を。つまり儂の言いたいことは、お主を異世界へ転生させ、もう一度プロレスラーとして活躍して欲しいのじゃ!」
「お、俺はもう一度プロレスができるのか?!」
「もちろんじゃとも。じゃが〜お主の元いた世界以外でプロレスが行われている世界はないんじゃよ。じゃから試合という試合はできないがの...」
「はっ、じゃあできねぇじゃんかよ。」
「まぁそう言うんじゃない。試合はできないが、お主が行く世界には強い奴らが沢山いるんじゃよ。じゃから何者かと闘う時は加減なしのプロレス技で闘えるぞ...?」
「そうか...よしっ、俺をその世界に転生させてくれ。」
「分かった、じゃが1つ気をつけて欲しいことがある。今から行く世界は魔物という強力な生物がうじゃうじゃおる。慣れるまでは警戒して動くんじゃぞ。そうじゃ、お主に"アナリシス"という機能を付与しておこう。見た目だけじゃ魔物の強さを判断するのも難しいから、是非これを使ってほしいのじゃ。もちろん、自分に対しても使えるぞ!」
「魔物か...どんな生き物か気になるな。まあいい、ありがとうな、神様。」
神は優しく微笑んだ。
「それじゃ、転生させるとするかの。いい戦いっぷりを期待しておるぞ!」
「おう!任せとけ!」
その途端、視界がとても眩しくなり、目をつぶってしまった。
数秒後、目を開けるとそこは深い森の中だった。