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異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
<サラーサ>

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セイリヤの眷属と役割

チェルスヴェルト樹海と西の領都ドゥルガンの間にできた商業拠点は、みるみる間に人や者が集まり発展し今や商業都市として名前が付いていた。主に近くで傭兵と商売をしていた村人達が主体で立ち上げ、現在はまとめ役の多数がその村出身な事もあり、村長の名前から“商業都市ランテス“と呼ばれる様になった。だが、発展するにも人は選んでいられない。真っ当な人間だけでなく後ろ暗い者達も多数入って発展しているのである。そしてそれはラシュナイとサラーサにとっても紛れ込むのに有利であった。

ラシュナイの眷属、人族型は初期の段階に三人で成る隊を二隊潜入させ、残り三隊を随時怪しまれない様に潜入させていったのだが、ランテスはある程度安全な中央地区と乱暴ではあるがまぁまぁの秩序がある下町地区、そしてほぼ管理されない裏町地区の三地区で成り立つ様になり、ラシュナイが潜入させたのは中央地区と下町地区だけだった。と言うのも、中央地区だけでも派閥が大きく二派に分かれ、下町に至っては抑えたい派閥が四つほどある。これだけでも足りないので

裏町地区にまで手が届かないのだ。眷属をもっと生み出せば良いのだが、正直言って面倒だと思っている。


『(流石にランテス以外の村にも眷属を派遣して、あっちもこっちも眷属を管理するのは私には無理だわ。セイリヤみたいに樹海内だけの方が余程眷属を派遣するにも簡単よね。眷属達の報告がぐちゃぐちゃになんてならないでしょうから。私が樹海の方の管理にすれば良かったわ。)』


ラシュナイは見た目とは裏腹に細かいことが苦手でスィフィルの様に優秀でもなかった。それでも本来は拠点<サラーサ>の守護者としての仕事というならば全く問題ないのだが、ジェフィティールがオベリスクを建てた事により<サラーサ>も役割が増えたと認識している。チェルスヴェルト樹海内だけを監視するのは問題ないのだが、近隣に人族が集まり樹海を囲む状況が日々変化していく様を見て、眷属達を周辺に潜入させた判断は間違いではないと確信した。


『大変だけど、“遠見“の監視もあることだし、これから増える人族の社会に食い込ませるには仕方ない事。<サラーサ>に不利益が出ないようよくよく監視を怠らないように致しましょう。』


ラシュナイは街で活躍する眷属達全員に名前をつけなくてはいけない事を遠くに追いやって、ジェフィティールに褒められる自分を想像しては、口の端が上がってしまうことをどうにかして抑えようとしていた。


セイリヤはフクロウの様な眷属を生み出したが、当初話していた数ではなく力のある眷属を四羽とそれ以上に力のある眷属を一羽生み出した。そしてそれらに各自の眷属を生み出させチェルスヴェルト樹海内を管理させる事にした。と言うのも、監視が主体の役割である為、戦闘能力などに重きを置く必要はなく、眷属が生み出す眷属達で十分と判断したからだ。それは<ヤクシェム>で既に実績があり、自分の能力でも充分に可能なことだと判断したからであった。


『ーふむ。其方らの王をエイク。他は四将のドウ、ティン、チャル、パンと名付ける。そして四将らにはそれぞれ眷属を生み出しこのチェルスヴェルト樹海の監視及び管理を任せたい。しかし、管理を任せるからといって、全ての権限を持たせるつもりはないぞ。死海、<サラーサ>、全ての主である主上ジェフィティール様の益にならない事は許さぬ。心して事にあたれ。ー』

『『『『『ー承知ー』』』』』

『ーエイク。其方にはこの事も伝えおく。主上ジェフィティール様のお役に立て。ー』

『ー必ずー』


エイクは王という役割の為か、他の個体よりも大きく見た目はシマフクロウに近いが羽角のある位置に角が生えている。他の四将は見た目もそれぞれ違い、白梟やワシミミズクのような姿のものと熊鷹や隼のような姿のものだった。

其々管理地を決めたのか文句を言う事もなく樹海へと散らばって行った。セイリヤも何も疑問に思わない。その様に眷属を生み出したのだからだ。エイクは死海の目と鼻の先に樹海の管理者として、表向きの聖域の様な区域エリアを作った。役回りとしては、ラシュナイのアバター“悪霊王“と対立するセイリヤのアバター“魔獣王“、そしてその二人が共に勢力争いをする場所チェルスヴェルト樹海の守り神エイクとその四将。事実とは大きく異なるが、近隣の人族にこの内容で周知させるように、ジェフィティールが<サラーサ>を訪れた翌日にはエイク達以外の部分に関して動き始めていた。

商業都市ランテスに人が集まり、樹海近隣の村からは樹海の浅部に入り、薬草や小さな魔獣から素材になるものを採集し、ランテスに持ち込むものも増えていた事もあり、“遠見“によって樹海の浅部は大分安全に人族が侵入していた。これは単に<サラーサ>の機能が向上した頃からのラシュナイ達の実績が功を奏し、人族にとって危険な魔獣達は村とは遠い地域に生息範囲を移動させたからだ。だからと言って危険じゃない魔獣はいない。討伐できないわけではない、と言うだけで、樹海から得られるだろう素材の価値に樹海に入ることを躊躇う人間は、この近隣にはいなかった。


「そう言えば、最近こんな話が巷で流行ってるの知ってるか?」

「あぁ、あれだろ?この樹海の奥深くに死霊の王だか悪霊の王だかが力を蓄える為に陣取ってるとかって話。」

「いやいや、そうじゃないだろ?樹海の魔獣を統べる王が強くなって統制が取れたから魔獣が外に出てこなくなったって話を聞いたぞ?」

「いや、俺は素材採取組(グレーター)に聞いたけど、なんかいつも見張られているみたいな視線を感じるんだと。でもそれが魔獣なんだろうけど姿が一切確認できないらしい。だから樹海で死んだ霊が彷徨ってるんじゃないかって話じゃないか?」

「そんなの樹海にビビってるから獣の気配もそんなふうに感じてるんじゃないのか?」

「そんなんじゃなくて、悪霊の王と魔獣の王が対立していて、樹海の守り神がそれぞれの対応に力を割いてるから、俺たち人間が樹海に少し入って素材をとっても気にしてる暇がないって話だよ。」


商業都市ランテスのとある酒場では、こんな風に酒のつまみに樹海の話が話題にあがっていた。狩人や素材収集に携わっている者だけでなく、都市内だけで宿屋や飲み屋、武器屋、道具屋、雑貨屋などの商いをしている者たちは、樹海の話に興味津々といったところだ。

ランテスは西の領都と樹海の間にある要の都市でもあり、他国からは離れ、戦争や内戦などとは無縁の都市である為か、生活にも余裕があり人々の話題にも事実以外の、尾鰭背鰭がついて面白おかしく広がっていっていた。遂にはラシュナイたちが考えた内容とは変わっていったのだが、特に問題ではなかった。事実と噂話が異なることは往々にしてある事だからだ。その噂話自体がラシュナイの眷属たちによる流布なのは間違いなく、彼らの計画通りに進んでいる証拠でもある。


「それにしても、素材採取組(グレーター)には新人が多く入ってきてるけど、大丈夫なのか?いくら樹海の浅い所でやばい魔獣が出ないとは言っても、新人が多いとやっぱり深く入れない分良い素材はなかなか手に入んないだろ?」

「まあ、俺んとこにも新人が少し入って荷物持ちが増えてくれる分は楽んなったけどな。新人が多いとこは浅めで、少し深めにいく隊は慣れた上級の探索者とか狩人入れてるからな。少しずつ深部に入っていってると思うぞ。持って帰ってきてる素材がみた事もない物が混ざってきてるらしいからな。」

「おっ、いいねぇ。良い値で売れりゃあどこの素材採取組(グレーター)もガンガン深部に突っ込んでいくんだろうな。」

「そうだろうなぁ、俺んとこの上級クラスの採集組もぼちぼち進んでるみたいだしな。俺の組は新人養成組(ベニヤー)だから危ない事もほぼないけどな。」

「慣れた頃が一番やばいんだぞ、気をつけろよ?」

「わ〜ってるって!俺の組にもちゃんとした奴がいるから大丈夫だっての。」


商業都市ランテスのあちこちの酒場で似たようなやり取りがされていた。急激な都市の発展の仕方ではあるものの、採集専門以外の素材買取や宿屋、飲み屋などを充実させて発展させているだけあり、大きな揉め事、混乱などなく拡大していった。ラシュナイの眷属たちは誰に疑問ももたれずに多くの職業に就いて情報収集を細かくしていったのである。


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