閑話 3人娘の内緒の会合
ちょっと次話は、間が空きそうです。
<ヤクシェム>のとある森の奥深く、ヴェリュ、ユミス、マーラ、の3人がこっそりと会合を開いていた。
『…それで?何故我らはこうして集まっているのだ?ヴェリュの要請ではあったが、理由を教えてくれるんだろ?』
『…ん。…急に…どう…して?』
『はぁ…。それなんだけど、不味いことが起こったのよ…。』
『不味いことだと?』
『えぇ、本当に、私たちの存在が危ぶまれるほどの事態だわ。』
『『⁉︎』』
ヴェリュの様子があまりに切羽詰まっているようで、2人は一気に和やかな雰囲気を消し去った。少々、スィフィルの事を好きすぎて行き過ぎなところは見受けるが、それでも排除されるような事にはならないし、注意を受けることがあったくらいでヴェリュ自身がここまで追い詰められる様なことは今までなかった。
『どういう事だ?スィフィル様にまた何か無礼な事をしたのか?いや、それならいつもの事だろうから、スィフィル様に何の害を及ぼしたのだ?』
『…スィフィル様、怒るの…相当…。』
『そんな事わかってるのよ?今回は意図した事では無いの、仕方なかったの。もしかしたら私じゃなくて、あなただったかも知れないのよ?』
と言いながら、恨めしそうにマーラの方を睨む。マーラは睨み返したが、何のことかわからないのですぐに理由を聞くと、以前に感じた大きな魔力の存在を確かめに行った時のことだったという。その場所から一番離れていたユミスは別として、近い場所にいたヴェリュとマーラのどちらが確認に行くかということになった時、少しだけマーラの方が近い場所にいたのだ。普段なら、何かとマーラやユミスに仕事を押し付けていたヴェリュだが、スィフィルに報告など必要と思われる案件に関しては率先して張り切る性格なので、今回もマーラではなく自分が行くと宣言をして、その場所にさっさと向かって行った。
『あぁ、確かにそんな事があったな。普段なら我が行くのが当然と思っていたが、ヴェリュが率先して行くと言ったから驚いたことをよく覚えている。』
『失礼ね、偶にはあるじゃない、そういう事。いっつも仕事していないような言い方は流石に失礼だと思うわ。』
『…ヴェリュの、認識…おか、しい…。』
『あぁ〜、はいはい。私が悪いのよね。そんな事よりその行った先で起きてしまった事が問題に発展してしまったの。』
そして、ヴェリュは行った先に町が神の御業で創られている最中だったこと、その過程を近くで見たいと近寄って見続けていたこと、飛び回りながら記録機を使用して記録しまくっていたことなどを話した。
『記録したのか!何で早く言わないのだ、さっさと見ようではないか!』
『!!』
マーラは興奮してヴェリュに詰め寄り、ユミスは頭を上下にブンブンと振っている。2人の興奮具合に怯んだヴェリュだが、その気持ちもわかるため直ぐに平静になる。だが、2人には謝罪しかない。
『…ごめんなさいね、もうその記録機は手元にないのよ。スィフィル様にお渡ししてしまったの…。』
2人は愕然としたが、その経緯を聞いてため息をついた。
『何故すぐにその記録を見せてくれなかったのだ⁉︎折角、記録などという気が聞いたことが出来たというのに!我らに見せたくなかったのだろう、自慢したかったのか?創造神様の御業を目にする事が出来ようとは!』
『!!』
マーラは興奮して言ってることが無茶苦茶になってきていた。ユミスも頭がもげるのではないかと言うくらい振っている。ヴェリュにしても記録したはいいが、直に見た光景に興奮していたし、その余韻に暫く浸っていた為その後数日呆けていた事を自白した。もしかして自分にも似た様なことが出来たりするのだろうかなどど、愚かな事も考えたりしていた。全く出来なかった事はもちろん、やってみようとした事は内緒だ。そしてそれよりも相談したいのは、創造神様が創られた町に自身の姿を模した神像が存在すること。そして今後の対応だ。
『…待て。それは我ら2人には関係あるまい。其方だけの問題ではないか。』
『うん…関係、ない…よね?』
『…そんな、私達の仲じゃありませんか。困った時は助け合いでしょう?』
『…一方的に助けるだけが、良い関係とは言えないと思うが?』
『…同意…。』
『た、確かに今まで助けて貰ってることが多いですけど、この先だって私がお二人を助ける事だってあるかも知れないですし、その、あの…。』
ヴェリュのいじけた姿に2人は顔を見合わせ、ため息をついた。会合と声をかけたのも、私達の存在の問題と大事にしたのも、2人に助けを求めてだったのだと理解した。
『…はぁ…。我らは別にいじめたい訳ではない。見捨てるつもりもない。フォローもするつもりだ。しかし、もう少し自身の行動に責任を持て。我らは管理者だ。例え気軽に、と創造主様に言われても責任ある者として生み出されたのだからな。』
『…そう。…ちゃんと…して、ね…。甘え、ダメ…。』
『ごめんなさい。ありがとう。』
目をうるうるさせながら感謝するヴェリュだった。そして、“ウッショロケシの守り神“にされたことについて、初めて口にする。
『はぁ?守り神って…。神像が作られただけじゃないのか?』
『実はそうなの…。神像が作られたことから、創造神様に“ウッショロケシの守り神“として頑張れって、言いつかったのよ。』
『???』
『それはつまり、“神“になれと…?』
『そうじゃなくて、“精霊王“としてウッショロケシを見守るようにって事みたいなんだけど、そうなると、私の活動範囲をウッショロケシの近くにした方が良さそうなのよね。でもそうすると、みんなと割り当てた範囲を変更する必要があるかも知れないから、相談したいのよ。』
『なるほど、確かに相談が必要だな。そういう事なら最初からこの件を主体で話していれば良かったものを、回りくどいな。』
『ん…。でも…説明…必要…。』
3人はやっと落ち着いて話し合いを開始した。管理者であり、精霊王であり、1人はウッショロケシの守り神に任命されてしまった仲間のために、今後のより良い活動方法を相談するのであった。




