表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
<ヤクシェム>

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/91

スィフィルの存在

俺は真っ白い世界にいた。辺りを見回す必要もないくらい何もない世界だ。誰もいない世界)で一人何もせず、ただ、佇んでいた。


「(あぁ、これは夢だ…。何の感覚もない…。さて、どんな夢だろうか…?)」


俺が思考した瞬間にもう一人の俺が現れた。だが、今の俺ではない過去の自分だった。ふらふらと、いや歩いているのは普通なのに彼(過去の自分)の周りが歪んでいてふらふらとしている様に見えるのだ。彼はただあても無く歩いている、そう、何処かに辿り着くためでは無く、追い立てるものや追い縋るものから逃げる為だけに歩き続けている。知っている、過去の自分のことだから。いやその時は気付いていなかった事も、今だからわかる事もあるのかも知れない。全てを理解している訳ではない、今の俺だから、今気付いただけだ。未来の俺が気付く別の事柄もこの先出てくるのだろう。

ただ、今見ている過去の俺の周りは酷い色合いだ。悪意や欲望、害毒、羨望…。歩きながら何とかして纏わりついているものを少しずつ削ぎ落としているが、身軽にならない。歩いた跡にまで悪意の泥の様なものが落ちて燻っている様だ。


「(今の俺が手助けすれば、簡単に消滅させられそうだが…。過去の事だろうとはいえ、何故少しもそんな気にならないのだろう?)」


相変わらずただ歩き続けているが、段々と苦し気になってきていた。歩く速度も遅くなってきている。俺は苦しかった頃の気持ちを思い出して吐き気が込み上げた事に驚いた。


「(過去の自分に同調し始めたのか?)」


バッと顔を上げて見ると大きな悪意などの塊がドロっと剥がれて、彼の歩いた跡に残されていた。ぐにゃぐにゃと蠢く塊は彼の後をついて動いているが、透明な膜に覆われて思う通りには進めない様だ。その後も彼は体調は良くならないまま歩き続け、またも塊を落として行く。先ほど感じた吐き気ももうしない。


「(今回は、長い夢みたいだな…。)」


そんな事を思っていたら、落ちていた塊がこちらを見た気がした。目などないただの塊が…。そして彼を追い掛けていたはずなのに、俺の方に方向を変え向かってきた…所で目が覚めたのだ。今回の夢を俺は覚えていた。大概目が覚めると忘れている夢だが、覚えている事にも理由があるのかも知れない。


「(一週間以上まともに寝てなかったからな…。夢見も悪くなるってところかな?)」


それだけが原因ではないとわかっているが、あえて考えない様にしていたジェフィティールだった。悪い方にばかり気が回る癖に目を塞いでしまうのは、癖なのか天邪鬼だからか、自分の性質が良くないと理解していた。いつか、この性質に足元を救われるのだろうと、どこか覚めた感覚で自分を分析していた。


「…十分、自由に生きてるよな俺…。」


人間達に迫害されず、自由に生きられる<ヤクシェム>を手に入れたし、地上にも拠点となる<リーヴェル>を手に入れた。転生前に願ったものは全て手にしていると言っていい。だが、それとは別に守るものができてしまったのだ。転生前に捨てていったはずのもの。巣立ったはずの弟子達、新たに増えた守護者達、そして<ヤクシェム>の住人達。ジェフィティールにとって切り捨てられないものが、増えてしまっていた。


「こんなもんよ人生なんて。少しくらい思い通りにいかないからこそ面白いんだ。」


今は楽しめるだけの余裕と力があるから言える事だけどな。転生前に同じ事は出来なかったし、思えなかったろうから。ただ、たま〜に魔力をドカンと放出したくなるんだよな、魔力が溢れそうだからとかじゃ無く、なんかモヤモヤしたものをスッキリさせたいって感じで。問題はそれが周囲にどんな影響を与えるか、なんだけど。住人が誰もいない時と違って簡単にやってしまえ!とはいかないよなぁ…。


ジェフィティールは取り敢えず魔力を放出せず、そのまま内に留めておく事にした。後々面倒な事になりそうな気配を感じながらも後回しにするのはいつもの事だ。ある程度追い詰められないと中々行動を起こさないのは、天邪鬼だからなのか、きっとこういうタイプが片付けられない○○なんだろうと思わせた。ただ、彼にとっては面倒なことだけで無く、やりたい事も溜め込む傾向にあったので、スィフィルの様に秘書仕事をしてくれる存在は必要不可欠だった。

ウッショロケシの宿屋で、ジェフィティールはスィフィルに相談する。モヤモヤしたものをドカンと放出してしまって良いものか。暫く置いておいて<ヤクシェム>内の探索を継続して行くべきか。


『…正直言いますと、魔力も放出してしまって良いと思いますし、探索も新たな眷属達に任せてしまって良いと思います。』

「…へ…?」

『<ヤクシェム>は父上が創り上げた世界であり、父上の魔力に反発する要因が考えられず、問題ないと仮定できます。探索についても、父上が自身で歩きたかった以外、他の誰が同じ様に探索しても同じ結果を得られるでしょう。』

「…」

『更に言わせて頂くなら、探索については本当に<ヤクシェム>全域をご自身で回りたいですか?今でも?』

「それは…。全域じゃ無くても、良いかな…?」

『であるならば、新たな眷属達に名を与え、存在を確定させてから探索をお命じになれば良いと思います。彼らに身体を与えるにも魔力を使用されますし、其方を優先されても良いのではないでしょうか?』

「おー!流石スィフィル!それで行こう!」


ジェフィティールはスッキリした顔でスィフィルの案に則って行動する事にした。

今回ジェフィティールが生み出した眷属は10人。名付けするのは無理だと最初から投げ出し気味ではあるが、適当に付けるわけにもいかないと悩んでいるのだからと、微笑ましく見守るスィフィルだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ