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異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
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テティオーネの判断

2人が目を覚ましたのは白い壁に囲まれた一室だった。高窓からしっかりと明かりが差しているところを見ると、結構な時間かも知れない。キッシャータの寝息と鳥の声、話し声らしきものも聞こえる。ベッドからそっと身体を起こし大の字で寝ているキッシャータを横目に出入口にあるカーテンから外を伺う。廊下の先扉の向こうから話し声、人の気配がする。キッシャータを起こして2人で扉の奥の声に耳を傾けるが、とても聞き辛く内容が理解できなかった。何とか聞き取ろうと集中した瞬間、扉が開き2人は捕まった。


『〈おめざめのようですね。では、テティオーネ様にお会いいただきましょう。〉』

「(全く何言ってるかわからない。人なのかしら?言葉の通じない人がいるなんて聞いたこともないわ。)」

「(クッソ、何だよこれ⁉︎全く拘束が取れないじゃないか!)」


2人は魔術具の様な魔法の通じない紐に縛られて、浮遊した状態のまま神殿の様な所に連れて行かれた。縛られているのに痛みがない不思議な感覚だが、不快感と不信感は募るばかりだ。


『さて、昨日も名乗ったが覚えていないかも知れないので先ずはお互い自己紹介といこうか。私はテティオーネ。ここ<イスナーニ>の守護者である。』


そう言うと掌で半円をかきながら差し出す動きをすると、2人の拘束は解かれた。相手の言葉も先程の連れてきた人と違い、理解できるので2人は警戒しながらも自己紹介する。


「私はカリメッラ。ジェフィティール・ブラフマオグマの弟子よ。」

「オレはキッシャータ。同じくジェフィティール師匠の弟子だ!」


2人とも実力差を感じて警戒し怯えている様だ。テティオーネも一度目の前で気絶されたので、距離を置いたまま会話をし始めた。


『では聞こうか、何故お前達は<イスナーニ>周辺から離れないのか?』

「…私達は師匠が転生されたので、拠点のあった<イスナーニ>を守ろうと思って来ただけ。」

「?そうだ。」

『嘘は嫌いだ。正直に言えば父上様の弟子として遇しよう。でなければ<イスナーニ>の守護者として外敵認定しお前達を排除する。』

「…何故嘘だと思うの?私達はまだ若いから、これからずっとここを守っていけるわ。あなたの方が年上じゃない。」

『ほう…?私の方が歳をとっているから自分の方が長生きだと言うのだな?それから?他の理由はないと言うのか?正直でいる事が身を助ける唯一の方法だぞ?』


ニヤリと笑いながら顎をなでる指先に紅緋(スカーレット)の虹(レインボー)が光る。2人はビクッとしながらも、何とか意識を保ったまま言葉を振り絞る。


「…っしょ、正直に言って私達が助かる保証も、師匠に迷惑がかからない保証も無いじゃない!貴女が信じられないのにどうして話せると思うのよ!」


半ばヤケクソでカリメッラが声を上げた。キッシャータは他人に声を上げるカリメッラを初めて見たかも知れなかった。それだけずっと我慢してきたんだとここにきてキッシャータは申し訳ない気持ちになったのだ。自分は時々、いや結構な頻度で鬱憤を外に出して楽になっていた、それすらも受け止めてもらってたなと。


『ふむ、先日の言葉は記憶にない様だな。では再度問おう、私は我が父、ジェフィティール様に<イスナーニ>の()()()()()()()()()()()()()。お前達はこの地に何用か?』

「「!」」

『どうだ、正直に答える気になったか?』

「「師匠に生み出された…⁉︎」」

『そう言っている。私にはお前達の様な短い生ではない生命力がある為、心配される筋合いもない。300年など大した時間ではないのだから。』

「師匠が転生する前に貴女を生み出したの?」

『そうだが?それより質問に答える気は無いのだな?それならば排除する。』

「ちょ、ちょっと!待てって!」

「そうよ、質問に答えるから。」

『ならば無駄話などせず、さっさと答えよ。』


2人は顔を見合わせ、真剣に答える。


「ここには師匠との思い出を辿りにきただけだ。踏ん切りをつける為に。」

「でも、あの儀式を見て、儀式後の全く痕跡のない状態が師匠の作り出したものだと確信したから、師匠に繋がるものを探したかったの。」

「師匠が転生していなくなっても、繋がる何かがあれば、オレ達は諦めないから。」

「一年後か何年後か、もう一度あの儀式を見て師匠との繋がりを探すつもりだったし、この辺は追手も来ないし。嘗ての拠点<イスナーニ>があればいつか、手掛かりが見つかるかも知れないし。」


テティオーネは2人が嘘偽りなく全てを話している事を確信して、初めて笑顔を向けた。


『良くわかった。お前達の答えに満足だ。父上様を慕う気持ちを信じよう。』


カリメッラとキッシャータはその言葉を聞いて、何故か涙が溢れた。ジェフィティールに捨てられた様な気がしていたのかも知れない。そんな事はないって頭では理解していたのに、テティオーネに言われた言葉も全く何でもない事なのに、ジェフィティールの様に圧倒的に強い存在に認められた事が、まるで守られるかの様な安心感を2人に与えたのかも知れない。テティオーネは2人に小さな魔法をかける。それはここの住人達と会話出来るようにしただけだが、これから暫くここに居るのなら必要な事だろうと思ったのだ。


『私は父上様より、<イスナーニ>を守護する役目を頂いている。そしてここで受け入れたお前達も守護の対象となる訳だが、ここの住人は、父上様の残された魔力で意思と身体を得た者達でありお前達以上に、父上様を()()()()()()と崇める者たちなので仲良くして問題を起こすな。穏やかな民達だが今世の者達、ベオグルリンドスの者達とは特に反発するだろうからな。』

「ベオグルリンドスの奴らと馬が合わないのはオレ達も同じだから平気だと思う。一緒に生活してみないとわかんないことも多いとは思うけど。」

「そうね。生活してみないとわからないけど、()()()()()()()()()()()なんて本当に居ても居なくてもとんでもないのね師匠は。」

「なぁ!」


楽しそうに話す2人を見て、頷くテティオーネだった。


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