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異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
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<リーヴェル>の災害

<リーヴェル>の別荘から連絡が来た。精霊からだけど、どうしたのかと思ったら、天候が連日大荒れで生態系に大打撃を受けたという事だった。俺が張っている結界の範囲内は全く問題ない為災害から逃れてきたもの達、主に獣だが以前対面した種族も逃れてきたようだ。俺は現状把握の為に<リーヴェル>の別荘に転移した。結界の範囲はかなり大きいので別荘まで押し寄せることはないが、それでも結構な数が逃れていた。とりあえず逃げてきたもの同士での争いなどはない為、この島全体の状況を魔法で把握する。


「なるほど、これは酷いね。暴風暴雨による河川の氾濫に地滑り土砂崩れ、災害のオンパレードじゃないか。全く。結構範囲も広い、相当勢力の強い台風だったんだな。」


俺は悩んだ。この島は俺が創ったわけじゃない、この惑星の大きな大陸が幾つもある内の小さな島でしかないが、この惑星の生態系の地域の一部なのだ。この島を元の状態に戻すことはできるが、して良いものか?生き残ったものを生きられる場所に受け入れるのは問題ないが、ただでさえ手を加えすぎてると言えなくもない。これ以上手を加えていいのか?ここは<ヤクシェム>ではないのに。


『…父上…。父上のお好きになさって問題などある筈もありません。正直、全世界に手を加えたところで、不都合などないのです。それを、小さな島一つで気に止む必要はありません。』

「いやいや、問題大有りでしょう?小さくても生態系にあまり影響を与えたくないんだよ。わかるでしょ?」


スィフィルはじっとジェフィティールを見つめゆっくりと話し始める。


『ですが父上。この世界はまだあまりにも未熟です。大魔獣から精霊、獣人達から人まで数も少なく、聖樹や魔樹なども勿論ですが、まだまだ新しい種が生まれ古き種、生き残る力のない種は淘汰されていく事でしょう。この世界の生物達はまだまだ篩にかけられ続けます。この先幾千、幾万年以上かけて続けられる営みですから、本当に世界が不要だと判断する時には父上が助けた種も、きっと淘汰の流れに流されて行くでしょう。ですので、気にするだけ無駄だと思いますよ。』


きっとスィフィルは俺の日本人であった時の地球の記憶でも覗いたのだろう。地球に比べればどの種族も絶滅危惧種に近い数しか成体になっていない。これからも、強い種族を残す試練が何度となく繰り返されるだろう事は想像に難くない。


「…そうだな、生き残る術があるのだから、使わないでどうする!って事だな。だから俺も<リーヴェル>だけは守らせて貰おう。他の大陸までは手を出さない。もしかしたらこの世界での進化のチャンスかも知れないからね。」


そう、生物は命の危機に瀕する状況で進化する。生き残るために。それは過酷な環境下にある為活性化する必要に迫られるのか、生物としての本能なのか、細胞の奥深く遺伝子のその先にある魂源に働きかけるのか…。そして俺はこの<リーヴェル>だけをその自然の流れから隔絶させてしまう訳だ。何という傲慢な仕業だろう。守るだのという綺麗な言葉は相応しくない、ただの利己主義で自己満足な行動だ。俺は力を得た分だけ愚かになっていくのだろうな。<リーヴェル>に住む種族の進化の機会を奪うのだから。いや、そう思う事すら傲慢かもしれない。ここにはここの進化の道があるかも知れないのだから。


『そうですよ、父上。こう考えてみては如何ですか?父上のお陰で、<リーヴェル>には新たな進化の道が開かれたのだと。他の大陸には無い独特の進化です。』

「…そうかな…。」

『父上は、転生された地球と比べ過ぎていらっしゃいませんか?進化の道は多岐に渡ることでしょう、その全てが実行される訳ではなく、その幾つもの可能性の中のたったひとつの結果を私たちは見ているだけです。父上がなさる事で別の可能性を新たに与えたに過ぎないのではありませんか?』


そうだな。スィフィルは俺を励まそうとしているだけかも知れないけど、俺の気持ちはすーっと軽くなったいった。スィフィルがいてくれて、いつでも俺の味方でいてくれて良かったと、じんわり胸が暖かくなった。さっきまではアイツが出てきそうな気配がしていたのに、今はそれも落ち着いている。俺の気持ちが揺れた時、弱った時に出てくるのはわかっているけど、そうそう出てくる事はない。俺自身の不安定さは改善されたし気分の振れ幅が小さくなった気がするからだ。ただ、アイツがいつも俺の中にいて、いつでも出てこれる状況をこれからも作らない様にしなくてはならない。若しくは出てきても抑えられる俺でなくてはならない。


「ありがとう、スィフィル。気が楽になったよ。じゃあ、とっとと<リーヴェル>を再生させようか。」


ジェフィティールは両手を広げ指先で波を表現しているかの様に滑らかに動かして、オーケストラの指揮の様に様々な魔力と魔法で<リーヴェル>の自然を整えていく。以前と同じにするのではなく、多少の地盤の強化をしながら倒木や折れた樹々を整理していく。ジェフィティールは<リーヴェル>を再生させながら淀んだものが全て流されている事に気がついた。少しの淀み位ならば自然の一部と思っていたが、スッキリ無くなっている事に、これも自然の摂理なのかも知れないと感じていた。

今回の災害で地形、動植物に甚大な被害が出ていたが、地形と植物は再生しても動物、獣に関してはそのままにしていた。<ヤクシェム>とは違う事を、それによってジェフィティールなりに線引きした様だ。誰もジェフィティールに文句は言わない、<リーヴェル>が再生した事実に驚愕しても誰が何の為に行ったのかなど、知る必要も、知ろうとするものもいないからだ。


魔獣の彼らは元々数が少ないからか、数は大して減っていない様に思われた。だが、知恵がある分欲もあるようで、別荘の結界を破って侵入しようとした一部のものが怪我を負った様だった。どの種族にも約束を守らないものはいるんだな、と呆れるほかない。治してやる義理もない。お互い初対面の時に不可侵条約を結んだ様なもので、交流もないままだったからだ。向こうから何かしらのアクションを起こされれば対応するくらいで十分だ。そう思って監視はしていたのだが、やはり懲りない奴等がいる様で魔獣の群れが分かれていた。懲りないグループは結界に何度も繰り返し攻撃をしているし、まともなグループは分かれてさっさと新たな住処の確保のために移動している。


「(前に、勝手に敵対行動した奴がいても感知しない的な事を言ってたよね?っていう事は、俺達が防衛として排除しても問題ないな。)」


ジェフィティールは結界に攻撃をしている十数人を隣の大きな大陸に転移させた。砂漠のど真ん中に転移させたので生き残れない可能性が高いが、砂漠の魔獣には栄養補給になるだろう。お互い頑張って生き残ってほしいものだ。これぞ弱肉強食。

ジェフィティールは自分の冷めた部分を改めて自覚した。


「(昔の俺そのものだな、こんな事実行するなんて…。やだな、嫌いな俺が時々出てくる気がする…。)」


スッと顔色が悪くなったジェフィティールの肩に、優しく温かい手がそっと置かれた。振り向けばスィフィルがにっこり微笑んで自分を認めてくれている。それがジェフィティールには安心できる暖かさをくれるものだった。


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