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すべき事

300年後の世界。アイツらのいない世界だ…300年も経てば国の成立ちが変わっているかもしれない。ある程度落ち着いた時期に俺は逃げたけど、また戦乱や魔獣らとの縄張り争いで国がどうなっているやらわからない。生きていくのに楽が出来るとは限らないのだ。気持ちが暗い方に流れていくが、何とか気分を上げようと別の事に思考を移す。


「いや待てよ? そもそもアイツにそんな高等技術あったか?」


アイツは俺の弟子でもあったはずだ、覚えが悪かったのではなかったか?

今ある記憶を探るが…………ないな。アイツには出来ないはずだ。どれぐらいのレベルに達していたか定かではないが、何故俺はあの時アイツに設定を弄らせてしまってんだ⁉︎

追っ手を巻くために途中の幾つもの拠点に、その都度記憶と才能スキルを隠していったからな、最後のこの拠点に着いた頃には必要な記憶と才能スキル以外は無かったから、判断も鈍ったか…。


少しばかり感情に流された気もする。まぁ、現在時刻を確認すれば結果はわかるのだが。


「…ベオグルリンドス帝国歴百三十五年、春女神アラマニア二番月二十三日…十三時…」


テーブルの上に浮かび上がる現在日時。俺は頭を抱えた。抱えるしかなかったのだ、なんと言ってもアイツらと別れてたったの12日半しか経っていない…


「なんてこった…あり得ない…」


300年どころか、300時間しか設定出来ていない。最低でも300月位出来なかったのか、せめて300日は?いくら出来の悪い教え子といっても情けなさ過ぎて頭を抱えた、アイツの魔力、能力が低すぎたのか?俺が悪いのか?教え方が悪いからか?何故か自責の念が膨れ上がる。


「そうだな、設定を弄らせた俺が悪いんだよな。」


誰のせいでもない、俺自身の責任だな。そして、時間設定以外の変更をさせなかった事を良しとしよう。こうして帰って来れたのは、アイツらがいる世界に戻れたのは、思いの外、こんなにも嬉しいと思うとは、自分自身意外だった。


ニヤけ顔のままテーブルを何故か撫でていた。残り空席の4脚を見回し朧げな思い出の人影ら、思い出したいもどかしい気持ち、もう一方で自分の事情に巻き込みたくない気持ち、このまま各拠点を周り全てを回収して、そのままこの世界の何処かで静かに生きてゆく…。誰に利用される事もなく研究と研鑽とに時間と人生を捧げる、当初の希望通りに。そんな考えを巡らせるうち、気分が落ち込み、表情も無くなっていく。


「俺個人の時間としては70年も経っている、懐かしく思うのも当然か。こんな感情を持つとはな…」


全ての拠点は、自分が界渡りする為に自分以外の誰も、かつての仲間であっても許可無く入る事はできない。彼らも拠点が起動しているかどうか確認も感じる事もできない。


「今のところ俺が帰って来た事は誰も知らない。幾ら器が大きくなっても記憶と才能スキルを取り戻さないと、追手が来た時の対処が後手に回る事も考えられる。」


アイツらはきっと俺が300年後に戻ってくると思っているだろう。そしてアイツらを見張っているだろう奴らも行動を近しくしているだろうから。つまり今はこっそりと全てを回収すべく行動を起こす時だ。


そうと決まれば早いに越した事はない。効率よく回収する拠点ルートはここの記憶に残しておいた、さぁ、行動開始だ。

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