表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
ここから始めよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/91

<ヤクシェム>の未来は…

闇女神(ズィーテクヒッティ)二月目二十日


会合から四日後、ジェフィティールは<ヤクシェム>で寛いで居た。暫くぶりに来た事ですっかり忘れていたが、雪が世界を覆っていた。そう今は冬だ。ログハウスの暖炉に火が入り、煙突から煙が上がって(煙とはいえ普通の薪の様だがここに生える魔木なので出るのは魔力の欠片で害はない)冬らしい様相だ。冬眠する獣や冬に活動する獣、冬籠をする眷属達。空気がツンとして音が雪に消えて静かな世界だ。暖かいログハウスの中では外の寒さは感じないが、<リーヴェル>の暖かさを思い出していた。


「そう言えば、ヴェリュ、ユミス、マーラは元気にやってるのかな?」

『はい、定時報告では其々眷属が増え全員で千名弱になりました。また、その下部、眷属が増やした生命体を合わせると十万弱おります。下部のものはまだ小さな光の欠片程ですが、成長すれば姿形が形成されますので会話が可能な者も出てくるかもしれません。今のところ3人以外は思念での会話しか役に立たない状況です。』

「そうなのか…。ちょっと残念だな。」

『…ですが、別の生命体が進化を始めています…。』

「ん?」


スィフィルは真面目な顔で、いやいつも真面目だけど、真剣な顔で俺の顔をじっと見つめる。文句を言いたいのか、まずい事が起きたのか、口元が一旦ぎゅっと締められたが、意を決して話し始める。


『…父上が創られた獣たちですが、たかが7ヶ月程で、言葉を介して意思疎通を図るものが現れております。要因はこの<ヤクシェム>に溢れている父上の魔力が元で通常にはない進化の道を進んでいるように思います。』

「んんん???」

『彼らはまだ繁殖段階になく、彼らだけの進化の道を選んだ様に思うのです。私が感じたのは、進化がある程度彼らの(もしくは父上の)納得した形に追いついた時点で、繁殖し始めるのでは無いでしょうか…。』


つまり、俺の生み出した動物達が俺の魔力に浸りながら進化中で、望んだ形態に落ち着いてから増えていく予定で、今は増えないって事か。望んだ形態か、日本にいた記憶のせいか色んな想像が膨らむ。

<リーヴェル>で出会った種族はまだ原始的だった。日本の漫画などに出てくる様な知的な部分が少なすぎてがっかりしたな。獣人も獣が話しているだけで二本足で歩くのは得意ではなかったし、岩人も背が低い歯は鋭利なナイフのようで、目つきの悪い奴だった。天人に至っては、多少まともな服を着ていたが、髪の毛はぐるぐるに結っているだけの気位だけが高い裸足の足が汚い奴だった。水人なんか魚人だろあれって感じのぎょろっとした目で鱗のような肌がテカテカしていたし、俺も、期待し過ぎてたけど…。もうちょっと小綺麗で、知的な感じであって欲しかったよね。まぁ、人族と住み分けて、大陸離れたのは正解だったろうな。今の人族に負けることは無いだろうけど、分かり合える事もない、争うしか無いだろうし、そうなれば犠牲は必ず出る。そこまでして一緒の生活圏にいる必要はない、他に住む場所が見つかるなら。それが今のバラルエルトニー大陸なのだろう。


「そうか…。俺が勝手に生み出した生命とは言え、彼らの望む形に落ち着くことを願っていよう。」


俺は暖炉の近くのソファで、柔らかい暖かさに包まれながらうとうととしてしまった。何でこんな夢を見たのか、きっと寝る前に話してた獣達の進化の話や日本の漫画を思い出した所為だろう。俺が街中を歩いている。スィフィルがいつも傍にいて、街道は圧接された道が通り、馬車が行き交い、商人のキャラバンも賑わう。建物は煉瓦でしっかりと建てられ、城壁がしっかりした都が人々を明るくしているのか、治者がしっかりしているからか、街並みは綺麗で整っていて、人々の笑顔や子供の笑い声がする。時代は中世中期くらいの雰囲気だが、様々な種族がいるのが不思議だ。獣人も服を着ているし、鎧を着ている者もいる。獣寄りのタイプと人寄りのタイプ。岩人も地中を好むのは変わらないが地人と生活圏が重なり鉱石を好むものが街を離れ独立、地下都市など好むものは街との交易などしながら発展し交流を深めたようで、背が低い者から高い者まで色黒で屈強な体格の者から宝飾品を作る繊細な者まで様々だ。水人などほぼ人魚、上半身が人、下半身がイルカの様な鱗のないタイプで淡水に生息。天人などは街に馴染んだ者は大概が役人として働き、書類仕事に勤しんでいる。服装もきっちりとしていて、天人特有の金髪も様々な金髪がいた。街の秩序も良く、賑わい、多種族が共存している。そんな世界は漫画か夢か、俺は夢の中で皮肉まじりの笑みを浮かべていたに違いない。


「やっぱり、夢だったな…。」


翌日の朝、だいぶ陽も昇ってから目覚めたジェフィティールは薄目を開けながら呟いた。諦めた様な、それでいて希望に溢れている様な顔で。


『父上、おはようございます。良いお目覚めの様ですね。とても素敵な夢でも見られたのでしょうか?』

「おはよう、スィフィル。そうだね、結構いい夢見たかもしれないな。ずっと未来にこうなったら良いなっていう夢。」

『そうでしたか。それは良い事を聞きました。』

「ん?どうしたの?」


ニコニコしながらスィフィルが朝ごはんを並べて言う。その様子は、もしかして怒ってる?機嫌は悪くなさそうなのに、なんか不穏…。俺はちびちび朝ご飯をいただきながら様子を伺う。


『…父上の見た夢はさぞかし具体的な夢だったのでしょうね、獣人、天人、岩人、地人、水人…。聖獣もですか、困りましたね。』


スィフィルが何で夢の登場人物達を…?と、思ったけれど…まさか⁉︎俺ってやつは、寝てる間に粗相をしてしまったか?慌てて、<ヤクシェム>全域に検索をかける。


「(あ…。やってるね、海の側に小さな町が出来てるし、その近くの山、森には獣人、岩人、地人、湖に水人、町に天人、聖獣は…あれ?ログハウスの外にいる…。)ごめんね、寝てる間にやっちゃったみたいだね俺。」

『謝る必要はございませんよ、ここは父上のお造りになった父上の為の宇宙樹の島ですから。ただ、朝起きたら世界が変わっていた、と言うのは驚きと共に開いた口が塞がらないと言いますか…慌てるだけです、眷属達が。』


優しく言ってるけど、怖くないけど、そんな風に言われて謝らないわけないじゃないかぁ…。許してぇ…。


「だよね、ほんとごめん。みんなに謝っといて、活動範囲が狭まるでしょ?参ったな…。ここは保護区にするつもりだったのに。」

『“保護区“であれば、この<ヤクシェム>全土ではなく、区切っても問題ないのではないでしょうか?それこそ“住み分け“できるのでは?あの3人娘達も眷属も、広過ぎる範囲の管理に四苦八苦してましたから、丁度良いと感謝されるかも知れませんよ?』


え?そんなに大変だったの?眷属増やしたり、あちこち見て回って新しい物とか発見したり、採集したり、実験したり、楽しいと思ったのに…。だって、外敵も、邪魔するものも何もないんだよ?最高に楽しいでしょ?


『…残念ながら、皆、父上ほどの魔力がございませんので何をするにも時間がかかるのです。そんなに頭を捻られましてもこればかりは仕方ありません。』

「いや、能力とか時間とかより、楽しくなかったのかな?嫌だったのか?嫌な事させてたら、本当に申し訳なかったなと。」


スィフィルは食べ終わった食器を片付けながら『あぁ』と言って、言葉を続ける。


『父上はその方が気になるのですね、管理者達は父上の期待に応えられていない事が辛いのであって、やっている事の内容が嫌なわけではないのです。彼らは今のままで充分楽しく過ごしていますよ。』

「そう?それならいいんだけど。ちょこちょこ迷惑かけるけど、よろしくね。」

『わかっております、そんな事も私は楽しみですから。』


2人は管理者3人に現状の説明をする為、彼らが住んでいる北東のエリアの大きな湖に来ていた。湖畔に椅子とテーブルを用意し、4人は座っていた。3人の管理者は、自分たちがジェフィティールと共に座り、スィフィルが立っている事に恐縮して挙動不審になっていたが、説得され落ち着きを取り戻してきた。


「…と言うわけで、皆んなには迷惑かけるけど、南西にできた湖の近くの町に人族以外が住んでる。聖獣はうちのログハウスにいるけど、種族が結構いるみたいなんだ。それほど離れていないとは言え町以外にも住んでいる。暫くは住み分けをして欲しいから、保護区という名目で南西と西、南の一部以外を保護区にしようと思うんだけど、いいかな?」


本当は<ヤクシェム>全部保護区なんだけど、ある意味、一部分譲って感じかな。彼らは地上の種族とは余りに違う。だから大丈夫のはずだけど、何とも言えない。出来るだけ安心したいから、交流はもっと時間をかけてゆっくりやっていきたい。


『あの、創造主様。スィフィル様にここの住人のように住むだけで良いと言われましたが、我らは管理者という立場では無くなったのでしょうか?』

「いや、大きな意味で管理者のままだよ。何か問題が生じた時には出来るだけ解決してほしい。それ以外では住人として楽しく過ごして欲しいだけだよ。手に負えないと思ったらスィフィルや俺に言ってくれればいい。今なら眷属だって無理に頑張って増やす必要もないし、自然に生まれるだけでも問題ないでしょう?その方が眷属も意外な成長をするかも知れないよ?」


にっこり笑って言ったのに、皆んなの顔が引き攣ったのは何故なんだ?俺はただ、皆んなが楽しく過ごしてくれて、新しい文化とか、技術とか、出来てくれれば良いだけなんだけど…。


管理者3人娘は、引き攣った。眷属に成長を促さねば!と。できれば意外な成長を!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ