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異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
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帝国にて

メヒモンテスが居なくなったベオグルリンドス帝国は密かに彼の行方を追っていた。そして彼の生まれ故郷であった村跡に痕跡を見つけたのは冬女神(イラマリトゥーディ)1月目8日だった。

メヒモンテスは帝国内に親しい者が居ない。家族を失い頼れる親族もいない彼にとっては、師匠であるジェフィティールと弟子仲間3人が唯一の心が許せる者達だった。彼の自室にも大した荷物もなく友人もいない為、行く先に心当たりのある者は居なかったのだ。彼の素性を詳しく知る者もなく、この国最上位の魔法師である為、彼の行動に口出しを出来るのは国王だけだ。


この国の歴史は浅くまだ実力主義の部分が少し残ってはいるが、血筋に拘り始める者達が増え始め、それらの派閥が大分大きくなってしまった。元々そういう地盤で育った者が分かれてできた国なだけあり、実力主義と言いつつも国の中心に集まる者ほど権力を持ちたいだけの小者が多くなってきている現状、実力のある竜眼(ドラゴンアイ)の虹(レインボー)を10本の爪全てに持つメヒモンテスは国の防衛上なくてはならない存在である。


10年ほど前の他国との大戦においては、ジェフィティールとメヒモンテスその他3人の魔法師たちの活躍で大きな損害なく勝利した。しかしジェフィティールをよく思わない連中に敵対され彼は帝国のみならず、この世界から消えた。これに関してはメヒモンテスだけでなく他の3人、及び各国の上位魔法師や魔術師たちがジェフィティールの存在を感じられないと太鼓判を押したのだ。こんな事に関しては魔法師同士協力的なのだからどうしようもない。帝国としてはメヒモンテスだけでも手元に残せたのは僥倖だ、本来なら他の3人も帝国国民だがジェフィティールが排除される少し前から反抗的な態度が目立ち始め他の魔法師達と対立が表立ってしまい、帝国としては彼ら3人を遠ざけたのである。

今に至っては、その3人とも行方を眩ましており探すのは困難となった。メヒモンテスを探すのに手間取っているのはその事も響いているのだ。


「全く、あの御三方を排除した上メヒモンテス様にさえ敬意を払わない者どもが何を威張り腐っているのか!先の大戦も全てあのお方達のお陰で帝国優位に終戦条件を得られたと言うのに。武家族(メイター)出身の者どもは愚かしいにも程がある!」

「アジバン様、ご自分も武家族(メイター)出身とは言えお言葉をお選びくださいね。今は我々2人だけですので問題ありませんが、どこに耳があるかわかりませんから。」

「何を言う、ロッド。ワシはそれ程愚かではないぞ、残念ながら帝国に恩恵を受けている身だからな。だがこのままでは帝国が腐れていくのも遅くはあるまいよ、そうなればワシは爺様と同じように国を捨てる覚悟を持たねばならん。それだけは避けたいものよ。」

「アジバン様、流石にそう簡単に国が傾くとも思えませんが…。でも、そうならない様にメヒモンテス様にお戻りいただかないといけませんね。」


ロッドはそう言いながら、村跡に探索の魔術をかける。勿論、何もないがそこに痕跡調査の魔法をかける。これによって小さな手掛かりを逃さないのだ。雑多な街中などでは手間取るが、この場所に来る人間などほぼいないここでは痕跡も探しやすい。


「…アジバン様。確かにここにメヒモンテス様はいらっしゃった様です。が、特に何もせず移動されました。」

「ふむ、後を追えるか?」

「ギリギリですね、つまりこの魔法が探れる10日前の出来事だと思われます。それ以上は遡れませんから。」

「仕方あるまい、とにかく頼む。」

「はっ」


ロッドはゆっくりメヒモンテスの残影についていく。だが街道に出たところで消えてしまったのだ。


「え…。何が?」

「どうした、ロッド?」

「いえ、その、メヒモンテス様の痕跡が消滅しました…。」

「何⁉︎」


アジバンはロッドの説明を受け、何が起きたか想像する。何かの術に囚われたとするのが一番正しいのだろう。誰が、何の目的で、などは一切わからないが。本人の意志であれば村跡にいる間に術を行使した方が誰の目も気にする必要はない、しかし街道に出てからとなると罠にかかったと考えるのが妥当だ。だが、囚われたとしてあのメヒモンテスが脱出できないものだろうか?彼にも弱点はあると思うが、帝国内でさえ知られていない事を誰が知っている?他国が知り得たとしてこんな所で罠を張るのは無いだろう、それよりは帝国内のメヒモンテスの素性を知っているものしか考えられない。殺害される事はないだろうが軟禁は可能かも知れない。だが、10日たった今もメヒモンテスの所在がわからないのは確かだ。話した事などない相手だが、どれ程凄い魔法師かは知っている。だが、彼以上に人間離れした恐ろしい魔法師がいたことも知っているのだ、他に彼以上の魔法師がいても不思議ではない。


「…何某かの罠に掛かってしまったのだろうが、囚われたままなのか、逃げる気がないのか、この世にいないのか、定かではない。兎も角これ以上追うことができないのだから、一旦帝都に戻るぞ。」

「わかりました。」



帝都に戻り、所在調査の結果を報告したアジバンは質問を受ける。「どこに行ったのか」「亡命したのか」「誰かと会っていなかったか」「秘密の拠点はないのか」「どんな魔術の罠だったのか」など、アジバンが調査で知り得るはずもない事まで聞いてくる始末だ。アジバンは呆れたが、あの罠が帝国のものではないとだけ確信が持てた。何故ならここで質問してくるものは帝国の上位魔法師だからだ。つまり、もし他国が仕掛けたものなら帝国は近々に他国に飲み込まれてしまうだろう、最上位のメヒモンテスがいないのだし、他の御三方も行方しれずだ。その事は他国に知られていないと思いたいが、時間の問題ではある。ジェフィティールを排除するのにデマを流し、他国の魔法師、魔術師の力を借り民意の数の暴力で目的は達成された。


「ジェフィティールの弟子4人が黙っている訳がないよな」


誰が言ったか不明の言葉だが、この言葉は瞬く間に帝国内に広がった。先の大戦の最大の功労者である彼らを先に裏切ったのは帝国の方だ。復讐されるのではないか、いつ寝首を掻かれるかなどといつも不安を抱えているものばかりだ。弟子の中でもメヒモンテスだけが帝国に残り、この10年戦後の内政の安定に尽力していた。それもあり、メヒモンテスや彼の仲間である他の御三方に好意的な者も増えていった。明らかに事務的で好意的な態度を一切見た事はないが、それでも随分早く外交、内政が安定したのは彼のお陰だ。無愛想でも、彼の竜眼(ドラゴンアイ)の虹(レインボー)は他国に知れ渡っているし、事務処理能力はも素晴らしい。居なくなられては帝国は困るのだ。もっともっと帝国の、自分の為に頑張って貰わなければ。そんな思惑を隠そうともしない上位魔法師達だった。


「(これは本当に身の振り方を考えねばならんな…。)」


アジバンは心に決めた。

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