アマルとロイ
久しぶりに短めです。
次は魚人もどきと巨大なイモリっぽい魔獣。
魚人もどきは、ギョロっとした感情のわからない大きな目が特徴の薄い身体に手足はカエルの様で、頭から長い触角のような物が2本足先まで垂れている。もちろん服など着ていない。魔石のラインが切れたからか、湖の端にチャポンと入りじっと様子を窺っている。
何せ表情がないから何を考えているのか全くわからない。イモリっぽいのは時々鳴く位で魚人よりは分かり易い。どちらも襲ってはこずじっとしている。
「彼等はどう対処する?」
『えっとー。さっきは小さくしたから今度も小さくして邪魔じゃないようにするデス。』
「『…』」
俺とスィフィルは頭を抱えた。アマルってこんなに…か?もう少しまともじゃなかったか?それとも何か考えがあるのか?俺はスィフィルに目配せをする。
『アマル。小さくする理由は邪魔だからですか?』
『はいデス。魚人っぽいのは魔石が作った、増殖できない一品物?ほっといても大人しいデス。でもいっぱいいる方は増えるしロイと繋がって管理できるデショ?だから小さくして鍾乳洞の中管理するデス。』
『…成る程。分かりました。ですが、ロイと魔獣達が繋がって管理できるようになった事は聞いていませんよ?』
『今言いましたデス。』
…そうきたか、アマルよ…。今言いましたは、それまでは言っていない、報告していないと同義だろう。
「『…はぁ〜…。』」
俺とスィフィルの溜息の理由はきっと同じだろう。でも俺にはアマルが生まれた理由、責任がある。俺の“記憶と能力”。これが問題な訳だ。それだけじゃない日本人としての何某かも影響を与えたんだろう。こう言っては何だが、もう少しまとも…げふげふ…〜な、人物にならなかったのかと思う。元が酷いから出来上がりも酷いのは仕方ない、そう、仕方ないんだ。俺が酷い元なんだから…。くそ〜。
『アマル。自分の中だけで勝手に完結してはいけません。私達は守護者であり管理者です、父上より拠点を預かっているに過ぎないのですよ。父上が望む様に拠点を管理する為には、正しい情報と対応が必要です。父上にここを任されたのは貴女なのですから、父上の望みを正しく理解し、正しい情報を伝えなさい。』
アマルはスィフィルの言う事を噛みしめていた。俯いて考えているアマルの肩でじっとしていたロイは、アマルの肩から離れて地面に降りると魔石がしていたものより細く精密なラインを鍾乳洞内の魔獣と魚人に繋げた。その上魔獣のサイズを15センチ程にしたので、まるっきり見た目もイモリになった。魚人に関しては手足をなくし魚になり湖の中だけの生息にした様だ。ラインがしっかり繋がっているからか、敵意もなくしっかり鍾乳洞内にバラけて行き、ドヤ顔で振り返ったロイをアマルはボー然と見ていたが、ジェフィティールとスィフィルも同じ思いだ。
『…ロイがしっかりしているので安心ですね、父上。』
「そ、そだね…。」
魔石の能力も多少は役に立ったのだろうけど、ロイにそんな能力があったなんて驚いたよ…。スィフィルもそれ言うなよ、ってか俺に振るなよスィフィル!ほら、ジト目でこっち見たじゃないか!ロイもアマルをフォローしてよ。もぉ!
などとしている間に、地下都市と鍾乳洞がじわじわ変化していく。ロイの意識を反映しているのだろう。天井も高くなり迷路の様に分かれていた道も少なく一本は泉に、一本はこの湖のあるここに、最後の一本が地下都市の別の場所にと繋がっているだけのシンプルな構造になった。
「シンプルだけど鍾乳洞に荘厳な雰囲気が足されて良くなったね、ロイ。素晴らしいよ。」
ショックを受けるアマルに対してロイは褒められて嬉しそうだ。俺は地下都市をロイに任せて拠点の守りをアマルに任せる事にした。適材適所、ロイにはこの場所があっている様だし、物事をスムーズに運ぶ為に必要な事だ。なぜなら既に眷属も生まれているみたいだから。湖の底に沢山の反応がある、それらはまだ卵の様だがじきに生まれるだろう。俺たちは湖を後にして泉に向かった。




