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異世界転移?無双?チート? 好きに生きる為に必要みたいなので喜んで⁉︎  作者: ゆるゆる
始まりの始まり

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拠点<イスナーニ>

拠点<イスナーニ>

ベオグルリンドス帝国の南方、海岸線に聳り立つ岩岩と数百キロも続く断崖の上に、遺跡群がある。ほぼ崩れてきていて高い建物は残っていない。拠点<イスナーニ>への入口はそこにあった。


ジェフィティールとスィフィルは遺跡の端、崖の近くで沈んでいく夕陽を見ていた。大きな溜息を吐くジェフィティールの側で、中々<イスナーニ>に入らない事を何も言わずに控えていたが、このまま真っ暗になっても行かないなら野宿でもするのか、と考えていたら、水平線の向こうに光が消えると同時に<イスナーニ>に移動していた。


「…さてと、行きますか。」

『は、お供致します。』


スィフィルは勿論、記憶の戻っていないジェフィティールも不思議な感覚で回廊らしき通路を歩く。それは、自分が<イスナーニ>に移動したのではなく、<イスナーニ>が移動してきたのではないか?という感覚だ。だが、そんな疑問など口にせず歩き続ける。回廊の横に部屋はなく、ずっと登り坂で天井にはガラスでもなく、穴が空いてるでもなく、空が見えていた。

遺跡群が復活した様な作りの拠点<イスナーニ>。長い回廊が終わり辿り着いたのは、円形のガラス張りの部屋で海を見渡せる様になっており、既に光る人型が待ち構えていた。


「(あれ?回廊は確かに長かったけど、そんなに時間かかってないよな?何でもういる(・・)のかな?)」

『…』


スィフィルは無言で側に控えているだけで特に思うところはない様だ。ジェフィティールが部屋の中央に進むと人型がいつもの様に吸収されていった。だがここで今までと違うことが起きる。人型が吸収された直後、ジェフィティールの足下から、朱色の光沢感のあるものが身体に巻きつく様にニョロニョロと伸びていくと、大きな蕾をつけハイビスカスの様な花を咲かせた。花が開ききって裂けていくと茎の中から鳥の羽を背に持ち、上半身は人で下半身はダチョウの様な足をした赤毛の女性が現れ、ジェフィティールを抱きしめている。


「えぇっと、君は<イスナーニ>の守護者だね?何で抱きついてるのかな?」


動揺している姿を見せず、落ち着いたように見せていたのに声が上擦っていた。


『お待ちしておりました、父上様。父上様とお会いできたら必ず愛していますとお伝えしようと思っていました。』


その理由に、2人とも一拍固まったが、直ぐにスィフィルは彼女をジェフィティールから剥がしながら、今まで出した事のない声を出した。


『はぁ⁉︎』


ジェフィティールもそんなに早く人格形成されるものか疑問だったが、拠点<イスナーニ>と拠点<ワーヒドゥ>は転生を決める随分前に作っていた事を思い出した。だが、“記憶と能力”を分離して保管した時期はスィフィル達と大して変わらないはず。となれば、やはり何か不自然に感じる。


ジェフィティールが疑問に思った事で、詳細な情報が流れてきた。それは宇宙樹の島<ヤクシェム>の能力が関係していたのだ。

本来、時間と場所とジェフィティールの魔力が<イスナーニ>へのアクセスの鍵なのだが、<ヤクシェム>が世界を網羅する為に伸ばしているエネルギー網が<イスナーニ>を目覚めさせるきっかけになった様だ。ただそのエネルギーでは全く足りず、ぼんやりとずっと夢の中にいる様な状態だったらしい。そしてその夢の中でもずっと主を待っていたと言う。寂しそうにそう言った表情を見てジェフィティールは少し申し訳ない気持ちになった。


「(…来たくないとか、記憶とか回収しなくてもいいとか思ってごめん。ちゃんと名前もつけるから許してね…。)」


そう心の中で謝罪すると


「…そうだな、君の名前はテティオーネにしよう。」


例の如く名付けと共に変化が始まる。朱色だった髪は深緋(こきあけ)色になり、背にあったはずの羽も無くなり、ダチョウの様な足も人の足になった。紅緋(スカーレット)の虹(レインボー)を宿し、服装はインドのベリーダンスのサリーの様にアクセサリーとのバランスも良く、エメラルドグリーンの瞳が優しく微笑むと跪いた。ボリュームのあるウェーブのかかった髪が肩から滑り落ちる。


『父上様、改めまして、拠点<イスナーニ>の守護者、テティオーネにございます。』

「ん、ご苦労様。…えーっと、何だか拠点内にテティオーネ以外が結構いるよね?それも眷属じゃない…。何で?」

『それにつきましては、<イスナーニ>の特性故か、この遺跡群がかつて栄えていた時代の魂源が新たな生に宿らず彷徨っていたところ、父上様の魔力に惹かれ迷い込んだ上、豊富な魔力により身体を得た様にございます。』


まじか…。スィフィルにも確認しながら間違いない事に頭を抱えたよ。

え、何で新たに生まれようとしなかったの?ここに縛られてたの?怨念系なの?それとも生贄系?うわ〜、やだやだ…。や〜め〜て〜。なんてね。


『父上、悪意などは感じませんよ?』

「分かってる。ここに居るのは随分と穏やかだし、信仰心が強い感じだよね。まぁ、害がないなら(・・・・・・)好きにして構わないよ。」

『は、畏まりました。』


そうこうしてるうちに俺に戻った“記憶と能力”が安定すると、俺自身が16、17歳位の見た目になり中身も14、15歳になった様だ。これでスィフィルと同じくらいだな、と思っていたら、スィフィルも何故か成長していた。


「何でスィフィルまで成長してるのかな? ん? 腑に落ちないんだけど…?」

『父上をお守りする為に必要なのでしょう、きっと。父上の無意識下で成長を促された様ですから。』


いい笑顔だな〜、おい! ホントかよ!ったく。…それでもやっぱり腑に落ちませんが!

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