格付け?
拠点<アルバア>でジェフィティールを迎えたアマルは、スィフィルと初対面の挨拶を交わした。当初ジェフィティールはスィフィルとアマルが仲良くできるか不安を抱いていたが、蓋を開けてみればなんという事もなく互いに上下関係がハッキリしていた。
指先を見れば一目瞭然、瑠璃の虹のアマルではどれ程美しい虹を宿していても、紫紺の虹のスィフィルには遠く及ばない。その上、スィフィルの身体が以前の俺に似ている点もアマルにとっては膝をつくのに値する様だ。
「(この身体は作ったばかりなのに…。新旧の時期とかは関係ないのか?)」
何となくだが、拠点自体にランク付けがされているみたいで元々スィフィルが拠点ランクとして最上位らしい。俺はそんな事知らないのに誰が決めたのかと言ったら、俺だと2人にはっきり言われた。どうも俺の記憶と能力を分けて保管する時の順番と保管量に影響しているという事だ。
最初に保管した量などは少ないが最後は多い。それに魂源に近い部分になっていくので能力が、最初の外側より俺の要素が多いという事らしい。つまりは俺に近いか遠いかのランク付けだ。
地上の世界でも魔力の量、性質で格が決まる。起源の虹を持つ俺は規格外、【神位】だった。
元々無かった位を後付けしたからこんな傍迷惑な位名が付いたが、俺が確認される以前の最上位は【帝位】瑠璃の虹を持つ者、【皇位】純白の虹を持つ者、【王位】月白の虹を持つ者だ。
この【三位】は性質こそ違うが同列扱いになっている。下には上中下の【位】があるが魔力持ちの多数がこれにあたり上の【三位】は少数派だ。
実際には上の【三位】と俺の間にも幾つかの虹の種類がある。スィフィルの持つ紫紺の虹もその一つだが…。まぁ、同じ【位】を持つ虹でも虹色の現れ方で能力としては雲泥の差があるわけで、【位】をつけたがった者達は能力差ではなく、大きな意味の括りで【位】に執着したわけだ。
それにしても俺にとっては仲良くできるならどうでも良いが、彼らにとっては格付けは絶対らしい。
実際、俺が魂源以外を削り落とし各拠点に保存後、転生して居なくなり今度は転移で帰って来たわけだが、既に格付けが出来ていたことになる。
そしてその約一月の間に俺の記憶と能力が何故自我を持ったのか? それとも俺が転移で帰ってきた事による短期間での急激な進化なのか?
「(検証したいところだが拠点回りに時間は掛けないと決めた事だし、最後だ最後。)」
『父上様、次は拠点<サラーサ>に行くデスよね? その前に相談があるデス。』
「相談? <アルバア>の事ならアマルに任せて大丈夫だろ?」
『<アルバア>でも地下都市の方ですデス。いつの間にかおっきい卵型の魔石があったデス。』
「…は?」
取り敢えず地下都市全域を探ると、<アルバア>の上、地下都市との間で確かに楕円型の魔石があった。サイズはあり得ないが、人が1人立って入れる位だ。よくよく魔力調査すると幾つもの細い管が地下都市と<アルバア>の両方に伸びている。
「(これはアレか? 寄生されてるのか? 養分でも取られてるのか?)」
いや、そもそも魔石に養分が必要にしてもこの管必要ないよね?そのまま埋もれて接触している鉱石やら土やらから摂取できるし。<アルバア>と地下都市に挟まれてれば魔力の影響も受けやすいだろうし…。
だが、悪いものではない様だ。そこそこの魔力が取られようと足りなくなる訳ではないし、多少の影響は受けているが目くじらを立てる程でもない。
「アマルは何か不都合とか、体調不良とかなんかあるか?」
『? 特に何の影響もないデス。』
「じゃあ、暫くはこのまま様子見て。大丈夫そうだから。」
『はいデス。』
少し不安げにアマルは了承する。アマルには魔石と繋がってる感覚が無いのかもしれない。地下都市もアマルの影響は大きくない様だし、本当にスィフィルとは能力的にも違う様だ。
「他は平気?」
『…ぅあ、あ…のぅ…。』
『アマル、畏れ多いのはわかりますが父上を煩わせない様に。』
ビシッとスィフィルが言うが、アマルは俺にじゃなくスィフィルにビビッていると俺は思う。
『はいデス! 地下都市の下層部の部屋が鍾乳洞化してますデス。最下層には泉らしきものも出来てますデス。』
確かにさっき地下都市を探った時にそれらは確認していた。特に嫌な感じも受けないし、悪影響を及ぼすことも無さそうなので言わなかったが、アマルは嫌なのだろうか?
「アマルは気に入らないのか? その泉。」
『そんな事はないデス! 何かいい感じですデス!』
なんだ、それなら問題ないな。 地下に鍾乳洞は綺麗だよね。神秘的で俺は結構好きなんだよね、ああいう感じ。アマルも嫌いじゃなくて良かったよ。
『でも…。次父上様が次来る時には驚かせる筈でしたデショ? 約束したのに守れなかったアマルはお役御免ですデス…。』
「何で、そんな事を…。心配ないよ、アマルは<アルバア>の管理者なんだから期待してるよ。」
俺はポンポンとアマルの肩をにっこり笑ってたたく。
『(父上は鍾乳洞ができるまでの本来の手順を飛ばされて作られた様ですね。<ヤクシェム>だけでなく、こちらにも多大な影響が無自覚に出てしまっている…。困ったものです。もう少し自重、コントロールを覚えて頂かないとアマルも大変でしょうに…。)』
スィフィルはジェフィティールに気付かれない程度の溜息を漏らすと、アマルに同情の視線を送った。
『では父上、安心して<アルバア>をアマルに任せ私達は次に向かいましょう。』
「そうだな、じゃあ、後はよろしくアマル。」
『はい!父上様もお気を付けて行ってらっしゃいませデス!』
そして俺達は次の拠点<サラーサ>に向かうことにした。




