閑話 スィフィルのひとりごと その2
父上様が 宇宙樹の島 を造られた
父上様の転生先 日本の情報を元に大陸を作られたのだ だがこの大陸は 島サイズらしい
命名が島なのだから そうなのだろう
丸い結界に護られたこの大陸は 擬似太陽 擬似月に加え 山々や森 川 海に至るまで
父上様が 「こんな感じが良いな」などという気軽さで 造られたのだ などと一体誰が思うだろう
私はまだ 顕現化できていない拠点<スィフィル>のまま 父上様の大いなる御チカラを 浴び続けていた 父上様の創り上げたいイメージも 怒涛の様に流れ込んでくる
それは転生先の知識も含まれていて 理解ではなく 受け止めるだけで終わった
父上様が拠点<スィフィル>を造り替え 創りたし この大陸が出来たのだ
私は溢れる魔力を留めおく事ができる様になり 父上様の前に 顕現化できた
明らかに望んだ姿とは 違うものだったが 父上様が<スィフィル>の姿として 思い描いたのだ
私は最上のものとして受け入れる そして 父上様と言葉を交わし 目を合わせて 父上様は私を認識した
私は拠点としてではなく 私として<スィフィル>の名を頂いた 私は拠点であり 個の私となった
私の中で溢れ出ようとする魔力が 紫紺の虹として定着したのだ
父上様が十数分で創り上げたこの大陸 拠点を中心に拡げて大きくなったのだから 私が全て把握していなくては 立場がない
どれ程の規格外であっても… 私はこの大陸と共に成長した筈だ… 大丈夫…
父上様の魔力を分けて… ま 待って もう少し時間をかけて… もうちょっと…
早いです… 本当にもう少し… ゆっくり え! 結界もですか… もう… もう もう!
はぁ… もう いいです…
いえ 無理でした そうです 私には無理です 頑張っても無理なものは無理なんです…
父上様にもお伝えしましたが 父上様の十数分の製作結果のこの大陸を
私は数時間かけて何とか把握いたします きっと…
なのに何ですか? 魔力が溢れ出る訳でもない まだまだ魔力の空きのある器の身体をお持ちなのに
何故 この大陸は成長してるのでしょう…
だって以前と違って魔力が溢れて 余ってる訳じゃないですよね?
一応 この大陸は創り終わって ひと段落しましたよね?
どうしてまだ森だの滝だの地形ですら 成長してるのでしょうか?
私を試していらっしゃるのですか それとも共に 一段と成長せよと?
確かに私は疲れておりませんとも 魔力もまだ余裕がありますとも
ですが 処理速度が…間に合わないのですよ 父上様…言わないですけれどね…
父上様は 本当にお休みになってますよね? 間違いなく夢の中ですよね?
申し訳ありませんが 父上様の魔力の波に 乗らせていただきます…
父上様の魔力に 同調すると恐ろしい速さで この大陸だけでなく 地上世界まで
薄く 広く 侵食している事を理解した
無意識下でする事とは思えない程 誰にも気付かれず 世界を掌握できてしまう そのチカラに
初めて 私は畏怖した…
そして 地上の者たちの恐怖を 少しだけ 理解した
だが 同情も 同調もしない
私は私の仕事をする 地上も含め把握する為には 補助が必要だが この大陸だけになら3体程いれば
管理も容易になるだろう まだ魔力が不安定に渦巻いて 彼方此方で成長しているが
特に濃い水系 土系 植物系の魔力溜りから 個になる様に掬い上げればできあがり
まるで 父上様が見越して そうできる様に魔力溜りを 作ってくれたかの様だ…まさかね
もう朝がきた…
地上の分は父上様の魔力に乗ったから 意外に早く把握できた 問題は この大陸だ…
成長し続ける為 今も手を伸ばし続けている状態だ どうにか落ち着いて欲しい
あ 父上様が目覚める 行かねば…
どうにかして父上様に 無意識の魔力放出を やめて貰わねば…
と思ったが この大陸に名がついただけで 殆ど解決してしまった…
宇宙樹の島 名前のせいなのか 恐しく世界のバランスが壊れる程の 魔力量を
内包している上 父上様だけでなく 私にまで魔力を還元してくる…
<ヤクシェム>自体の安定が進み 私と<ヤクシェム>の繋がりも安定 余裕ができた
これで父上様の補佐も しっかりできる
私自身の 存在の固定化も 前より強固だ 素晴らしい
その証拠に私の両手の指先に 父上様から分け与えられた魔力で 【オーパールの印】が宿った
これは私の誇りだ 父上様の魔力から生り 父上様から名を頂き 私で居ることを許された
この誇りにかけて私は父上様を補佐し 如何なる害悪からも 守ろう
二度と この世界に絶望しない様に




