アマル
<アルバア>に移動して違和感に気付く。
壁や床の大理石は変わっていないが、カーテンや玉座等の小物類の雰囲気が、ゴツゴツした重厚な感じになっていた。
「前は小国の王様かって言う感じだったのに、今は獣王とかが似合いそうな玉座になってるな…。」
と玉座を見ると、そこには誰かが座っていた。
偉そうに足を組んで座っているのは…
服は青寄りの青紫で明るい色、白いパンツと良く合うアオザイの様だ。右胸から左腰の刺繍も白く光る糸で、流れる花火の様なデザインが入っている。
髪は真っ黒で、いくつも三つ編みを編んでいて左右に三つ編みの輪が2つ。もう一つは左右其々の角の根元をぐるぐる巻にしている。
極め付けにラピスラズリ色の、蛇の様に長い龍を両肩に絡まる様に乗せてる?絡み付いているに近い。
そして俺と目が合うと、可愛らしい幼い顔が、ニヤ〜っと口が大きく裂けた様に開いた。
『父上様〜‼︎』
そう叫ぶと、猛ダッシュで突進して抱きついて来た。
ぼふぉっっ⁉︎
俺は潔く受け止めた。避けれたけど、受け止めた! ここ大事。
『父上様!お待ちしてました!アチシも父上様に触れますデス!お話しも出来ますデス‼︎』
ぎゅーっと抱きついたまま、叫ぶもんだからとっても煩い…。いや、そんな事言ってくれて嬉しいのは勿論だけどね、限度ってあるよねぇ。
「ありがと、アルバア、だね?」
『…そうですけど、そうじゃないですデス。』
「…?」
俺とほぼ同じ目線の彼女は、むぅっとして、俺の首に腕を回したまま真正面でぶー垂れる。
『<アルバア>は、拠点の名前ですデショ?それともスィフィルみたいに私の名前で、拠点の名前が変わりますデスカ?』
成る程、自分だけの名前が欲しかったのか。
俺は、拠点に意識を集中してイメージを膨らませて改良すると、拠点は上下左右に階層を増やし、ちょっとした蟻の巣の様…げふん、げふん、地下都市の様になった。
そこまでしてみたら、もうちょっと、と手を加えたくなり、床、天井、壁を黄土色を基準に大理石にして、下階層ほど色を黒く、上階層ほど白く変えていった。
拠点の位置は変えず、地下都市の中間層に独立して存在させた。許可なき者は拠点には侵入できない安心設計だ。そこそこ大きい地下都市、拠点を<アルバア>としよう。
代わりの名前は…。
「…アマル…。お前は“アマル”にしよう。」
そう名付けると、アマルは蒼白い光に包まれ、その光はアマルに吸収された。
アマルの瞳が茶色からハニーカラーに、頭の左右の角が無骨な物から細かく枝分かれして、まるで王冠の様に頭を包んでいる。他は変わらないが、内包する魔力が増大したのは言うまでもない。ついでに肩の龍も増大してる。
『父上様、父上様!アマルは嬉しいデス‼︎父上様のホントの娘になれたデス!』
「ん〜? そうね、何か繋がりが強くなったかな…?」
アマルの言葉をスルーして、確認する。
スィフィル程の劇的進化はないけど、あの3人(ヴェリュ、マーラ、ユミス)よりは魔力、能力的には上か。 それに<アルバア>との繋がりもしっかりしている。 良いね。 あとは…
「アマル、<アルバア>の管理は任せたよ。俺の部屋以外は自由にして良いけど、外界にバレない様に気をつけてね。」
『父上様は何処行くですか? アマルは居残り寂しいですデス』
「あ〜、ちょっと素材を取りに来ただけだから、直ぐ <ヤクシェム> に戻る予定なんだよね。そんな時間空けないでまた来るから、それまで頑張って <アルバア> を整備しておいてね。」
抱きついて離れないアマルを何とか宥めながら説得する。
身長は同じ位なのに子供をあやす様になってしまうのは父と呼ばれるせいか…。
他の拠点も早めにまわって回収した方が良さそうだ。スィフィルやアマルの様に自我が生まれる可能性が高いとなると、同じく保存している記憶や能力等に性格が由来するだろう。
「(ハッキリ覚えてないけど、回収する順番だけは最初に取り戻した記憶にあるから、さっさと回収にだけは行ってしまおう…。)」
『父上様、分かりましたデス。良い子にして待ってますデス。次来た時には父上様びっくりの<アルバア>になってますから、楽しみにしていて下さいデス!』




