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君が君である限り、  作者: 蛇骨姫の龍鳴
6/6

6.シン、9歳の日常

春休みが待ち遠しい…

「はぁっ!」


 大きな声を出して自分を奮い立たせ、氷を纏った刀をより強く握りしめる。

 

 そして相手の背後に回り込むように走りながら隙を伺い、死角に入った瞬間に右足で地面を蹴り、体を翻し刀を振るう。

 しかし相手は目だけでそれを捉え、魔法も纏っていない剣で簡単に受け止める。

 歯を食いしばりながら力を込めるが、少し力を強められただけで紙切れのように吹き飛ばされてしまう。


「力で勝てない相手には正面から勝負を挑むな!

 頭を使えシン!」


 シンは地面を転がりながらそれを聞いていた。


「頭を使えって……まさかアレス兄さんにそれを言わ

 れるとはねっ‼︎」


 転がりながら体制を整え、もう一度向かっていく


「がはははっ!それを言われちゃおしまいだ!!

 ……でもなシン、俺は頭を使えねぇ代わりに頭を

 使う必要がないぐらい体を鍛えた!!」


 アレスが叫ぶと同時にアレスの腕が2回り大きく盛り

上がる。そして大きく腕を上げ……


「ふんっ!」


 一瞬前までシンがいた場所に向かって振り下ろした


 僕は体を横に投げるように地面を蹴り、なんとか

剣を避ける。


 ドゴーンと大きな音を立てて剣が地面にぶつかる。

辺り一帯が大量の土煙に包まれ、視界が塞がれてしまう。そして煙が去った後に残ったのは、小さな隕石でも堕ちて来たのではないかと言うほどの巨大なクレーターと、ソフィの叫び声だった。


「こらーー!!なんてことしてるんですか!アレス

 兄様!!」


 ソフィがこれでもかっ!と言うぐらいにまなじりを釣り上げてアレス兄さんに抗議している。


「シン様に当たってたらどうしてくれるんですか!

 ぺしゃんこになってしまいますよ!!」


 クレーターを指差しながらソフィがアレス兄さんに

向かって叫んでいる。


「い、いや俺はちゃんとシンが避けれると思って…」


 アレス兄さんも頑張って弁明するが、


「言い訳無用の問答無用です!!シン様を傷つける

 人は誰であろうと許しませんっ!」


 もうアレス兄様とはお話しませんからね!!と言い捨ててソフィが僕の方に駆け寄ってくる。そして服が汚れるのも気にせず、地面にへたり込んでいる僕と目線を合わせるよう地面にしゃがみ込み…


「シン様お怪我はありませ……」


「何事ですか⁉︎」

 

 城の中からクロエが叫び声を上げながら出てくる。

そして地面の上に倒れ込んでいる僕を見つけ…


「大丈夫ですか⁉︎シン様!」


 と、血相を変えて僕に駆け寄って来て、ポケット

からハンカチを取り出して砂のついた顔を拭いて

くれる。


「ありがとう、クロエ。僕は大丈夫だよ」


 顔を真っ青にして身体中を触りながら怪我がないかを確認してくれているクロエを安心させるように笑顔で言う。


「そ、そうですか。……良かったです」


 クロエもそれで安心したのか笑顔で僕に笑いかけてくれる。

 

 そんな2人の間には少し甘酸っぱい雰囲気が漂っていた。そう、まるで付き合いたてのカップルのような…


「私の前でイチャイチャするなんて!ひどいです!

 シン様!!」


 先程まではなんとか我慢できていたソフィにもとうとう限界が訪れる。


「それに、シン様の美しいお顔を拭くのは、私の使命

 ですのに…」


 シンの顔は整っているのは間違いないが、どちらかというと少し可愛らしい顔をしているので、美しいというのはどうかと思うが……まぁ、言っても無駄だろう。

 

「全く、シンはモテモテだなぁおい」


 それを見ていたアレスがニヤニヤしながら

シンの方に歩いて来るが、


「「シン様に近づかないでください!!」」


「ぐはぁっっ!」


 女性陣からの遠慮ない口撃によりあえなく撃沈する。


「お、俺はシンの兄なのにぃ〜」


 地面に倒れ伏したアレスが捨てられた猫のような

円な瞳でシンに助けを求めるが、


「………ぷいっ」


「ぐははぁぁっっ!」


 やっぱり撃沈する。

きっと今のアレスの生命力を見れたらマイナスに振り切っているだろう。

まぁ、そんなことは置いといて。


「それよりシン様、お時間はよろしいのですか?」


 時間を示してくれる魔法具を気にしながらソフィが

問いかけて来る。


「へ?」


「あの、今日は戦闘訓練の後に魔法の訓練もあると昨

 夜シン様が…」


「あ、……やばいっ早く行かなきゃ‼︎」


 「昨夜ってどういうことですか⁉︎」と騒いでいるクロエを置いて、シンは城の中の、ある部屋に大急ぎで向かう。


「すみません!遅れました‼︎」


 大声で謝りながら木製の重厚なドアを開けると、返ってきたのは、心が安らぐような優しい声だった。


「ふふっ、そんなに慌てると怪我をしてしまいます

 よシンさん」


 14〜15歳ほどの白髪の少女が、大量の本に囲まれながら、眼帯の付けられた目で僕の方を見て笑いかけてくれる。


 それだけで焦っていた僕の心が落ち着いていく気がした。


「すみませんシャルさん、待たせてしまって」


 申し訳なくなってもう一度謝るが、そんなこと気にしてないよと髪をサラサラと揺らしながら首を振られ、「シン様はお忙しいですから」と逆に慰められてしまう。


 そしてシャルさんはひらめいた!とばかりに手を叩くと、


「それじゃあ、シンさんには罰として本を読んで

 もらうことにしましょう!」


 と、少し興奮した様子で言う。


 シャルさんは魔力を多く持ちすぎていたため、

体に異常が起こり、生まれた時から目が見えなくなってしまったのだ。それがきっかけで虐められていたこともあるそうだ。


 だから、罰のはずなのに、いいですか?と問いかけてくれる優しい彼女に、


「僕、そんなに上手に読めませんよ?」


 出来るだけ優しく言葉を返し、


「きっとシンさんなら大丈夫ですよ」


 もっと優しい言葉を返してもらう。

そして、彼女は椅子の横にかけていた本を取って、


「これを読んでもらえますか?」


 と、差し出してくる。

僕はその本を受け取りながらふと思った。


「……もしかして、最初からこうしようと思って

 ました?」


「さぁ?どうでしょう?」


手で口を抑えながらふふっと笑う彼女を見て、敵わないなぁと思いながらも、僕は、彼女にはずっとこんな風に笑って過ごしてほしいと心から願った。


 

 


 


 


シャルの言葉を書いてるだけで心が癒されました。


シャルのこと可愛い!好き!という方は是非評価やブクマ、コメントなどお願いします!!


最後まで読んでもらいありがとうございました‼︎

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