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君が君である限り、  作者: 蛇骨姫の龍鳴
4/6

4.思想

スマホの充電器壊れました。つらい。

 アリシア王国から少し西にある森。

その森は浅魔界と呼ばれている。"浅"と付いている

ことから分かる通り、浅魔界をもっと西に進むと

深魔界が見えてくる。しかし、実際にその場所を見た者はいない。いや、見た者はいるだろうが、帰って来れた者がいないのだ。 


 そんな危険な森の中を僕は走っていた。


 何故こんな場所に僕がいるのか、それは僕自身

にも分からない。起きたらここにいたのだ。何故ここが浅魔界と分かったかというと、それはこの前読んだ本に書いてあった、浅魔界にしか生えていないというチェルンの花が咲いていたからだ。


 なんて、長々とどこの誰かに頭の中で説明している

僕の状況を簡潔に説明すると……



  誰か助けてーーー!!



普段なら沢山の動物と出会っているだろうこの場所も。今日はまだ1匹とも会っていない、というより生き物の気配を感じない。


 ところどころに木漏れ日が差している森を、8歳の小さな体を生かして木と木などの狭い場所を縫うように

駆け抜けてていく。しかしソレとの距離は一向に離れない。むしろ近づいてさえいる。


 体感では1時間を超える大逃走劇もいずれ終焉を迎え


「うわぁぁあーー」


 体力が尽きてきて集中力が切れたのか木の根に足を引っ掛けてしまう。僕は盛大に地面を転がっていき、少し開けた場所に出る。

 

 なんとか立ち上がって顔を上げると、少し前から漆黒の鎧を着て右手にロングソードを持ったソレが歩いてきていた。


「なんでお前がここにいるんだよ!!」


 子供の僕でも知っている。

おそらく全ての人が知っているだろう。


 曰く、ソレは街を崩壊させた。

 曰く、ソレは魔王の騎士である。

 曰く、ソレは魔法のことごとくを無効化する。

 曰く、曰く、曰く、曰く……


 ソレの噂を上げるとキリがない。

それほどまでにソレは恐れられている。

 200年前の魔王との戦争でソレは人間側に甚大な被害を及ぼしたといわれる。

 ソレの名は暗黒騎士。魔王が自らの血で作り出した3体の魔物のうちの1体である。


 そんな伝説の魔物が僕に向かって歩いてきている。


 終わった。間違いなく終わった。

一刻も早くこの場から逃げ出したいのに恐怖で体が

動かない。


「あぁ………」


 動け、動けよ!

なんとか足を動かそうとしていると。

すぐ近くからジャリッと砂を踏む音が聞こえてきた。


 恐る恐る目を上げると、丁度暗黒騎士が剣を振り抜く所だった。

 

 ここまでか……


 もはや恐怖は無く諦めに達した時


「伏せてっ!!」


 体は勝手に反応していた。

意識した時にはすでに伏せおり、暗黒騎士が吹き飛ばされた後だった。


 体を上げて前を見ると、そこには1人の少女がいた。


「はぁっ!」


 少女が一瞬で暗黒騎士に接近し、首を一撃で

両断する。

 そして僕の方に近づいてきて尋ねる。


「君、大丈夫?」


 僕は答えることができなかった。

声が出せないのだ、でもそれは先程までとは違い恐怖からでは無く、緊張からだった。


 見た目は大体17、8歳ぐらい

キリッとした目にシュッとした輪郭、顔を動かすたびに揺れる髪は濃い赤色で美しく、気高かった。

身長は少し高く、背筋はピンと伸びている。

胸もあり、くびれもある、まさに理想の体型だ。

そして、美しいだけでは無く。暗黒騎士を軽々と

倒す強さもある。


 シンは彼女から目が離せなかった。


 心臓がバクバクと大きな音を立てる。

少女に聞こえてるのではないかと不安になりながら、

緊張で固まっている口を動かしお礼を言おうとするが


「あ、ありが…と……」


 途中で意識が朦朧としていき、体が倒れていくが、

シンの体が地面につくより早く少女が動き、ストンッとシンの体を抱き止める。


「ずっと逃げてたんだから当たり前よ。今はゆっくり

 休みなさい」


 少女は聞こえてないと分かっていても腕の中で眠っている少年を心から褒め称えた。


「よく頑張ったね」


 この時の記憶が、眠っていてないのは救いだったの

だろう。おそらく意識があれば3日間は嬉しさと恥ずかしさで布団から出られなかっただろうから。


 これがシンとアリアの初めての邂逅であり、

シンの人生を180度変えた出来事だった。

 


最後まで読んでくれてありがとう!

評価やコメント、ブクマしてもらえると嬉しいです!!

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