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君が君である限り、  作者: 蛇骨姫の龍鳴
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1.別れ

どうも!蛇骨姫の龍鳴です!

自分の書きたいことたくさん書こうと

思っているのでよろしくお願いします‼︎


 アリシア王国の西側、深魔界と浅魔界を超えた

先にある魔王領から遠く離れた地。


 太陽の光を一身に浴び、美しい花を咲かせて

訪れた者に笑顔をもたらしてくれるフロス・リゾート


 その花々が、何かを伝えるように

体を揺らしていた。


***


 

 フロス・リゾートから北に少し離れた荒地。

高い岩が乱立しているその場所では、今にも戦いの火蓋が切って落とされそうだった。



 ピリピリとした空気がグランの肌を撫でる。


「行くぞ」


 魔王がギザギザの両刃を持つ漆黒の大剣:ロストスパーダを魔法で召喚し、大剣を持っているとは思えない速度で空気を切り裂きながら岩山を駆け抜けてくる。


 グランも魔法で剣を2つ召喚し

右手には聖剣ホーリーセイバー、

左手には魔剣グラビティアを構え応戦する。


キィィィン


 漆黒の大剣と魔剣がぶつかり合う


 ただそれだけで空気が震え地面が割れる。


「オラァッ」


 グランが魔王を押し返し吹き飛ばす


「ふっ」


 魔王は空中で回転し、体制を整えて着地すると、

すぐに地面を破裂させながらグランに向かって走り

出す。

そしてそのままの勢いでグランに空気を切り裂くような剣戟を見舞う。

しかしグランはそのことごとくを避け、逆に

魔剣グラビティアで地震のような一撃を放つ。


 魔王は岩を砕きながら吹き飛ばされていき、

それをグランは追う。

そして聖剣に魔力を大量に込め、


「【聖魔法】ホーリージャッジメント」


 魔法を発動させて聖剣を魔王の胸に突き刺す


「ガッ…ハッ」


 大量の血を吐き魔王は荒れた地面に倒れるが、

グランは警戒を解こうとはしない。

 

 戦場に一時の静寂が訪れる。


 時間にして数秒、しかし、何時間にも感じられる

静寂を破ったのは体を深い赤に染めた魔王の方だった。


 グランに向かって魔力で作られた球のような物が

大量に放たれる。


 グランはそれを縦横無尽に岩山を駆け抜け

躱していくが、躱しきれなかったものがグランの体を削っていく。そしてようやく全ての球を撃ち終えた

かと思うと、無傷で、しかし胸元が大きく破れた服を着ている魔王が、グランに襲いかかった。


 魔王は少し大きくなった漆黒の大剣で、

紫色の髪を揺らしながら激しい剣戟を繰り出す。


 たった一度剣を振るだけで近くにあった岩は

全て粉々になり、更地に変えられる


「チッ、てめぇやっぱり生きてやがったか!!」


「当たり前だ、聖魔法では私を殺すことはできん」


 聖剣を刺されたはずの魔王は死んでおらず、それどころか、傷は全て回復していた。


 聖魔法は人の傷を癒すだけでなく、アンデットやゾンビなどの魔物の復活能力を封じ込めることができる。

 

 それは魔王でも同じで、本来ならばどんな攻撃を

受けても致命傷にはなり得ないが、聖魔法での攻撃はそのまま死に直結する。


 しかし今代の魔王だけ、聖魔法で攻撃しても致命傷を与えることは敵わないのだ。それに加えて


「うおっ」


 魔王がグランを吹き飛ばした。


 『チッ、やっぱりパワーアップしやがったか

  この野郎』


 今代の魔王を最強たらしめているもの。

それは相手の魔力を吸収し、自分の力に変えることが

できるという能力である。


 先程まではグランの方が勝っていた力も、

今は互角かそれ以上になってしまっている。


 聖魔法でも死なない耐久力と、相手の魔力を吸収することによるパワーアップ。


 攻守の両方を備えた、まさに最強の名を冠するに不足ない能力である。

 

 『くそっ、このままじゃジリ貧だ』


「どうしたどうしたぁ!アリシア王国の英雄は

 この程度か!」

 

「………」

 

 グランの体には次第に傷が増えていき、荒れた大地を南下しながら赤い血で汚していく。


 劣勢にも関わらずグランの心は不思議なほど

落ち着いていた。



 ー覚悟を決めなさいー


 美しい女性の声が脳に直接語りかけてくる。


 誰だこれは?ここはどこだ?


 体から心が切り離され、心だけ花畑にいるような

そんな感覚。

 

 ー世界を救う覚悟をー


 何を言っている?


 ー大切な者たちを置いていく覚悟をー


 どういうことだ⁉︎答えろ!

 

 その声は時間が経つにつれてより大きく、より鮮明となっていく


 そして


 ー死ぬ覚悟をー


「これで終わりだ!!」


 最後の声が聞こえた時、グランは魔王に吹き飛ばされる感覚があった。


 いくつもの岩を砕きながら吹き飛ばされていき、

見えてきたのは…….辺り一面に咲き誇る無数の花々。


 思わず戦闘中だということを忘れてしまうような

美しい景色。


 透き通るような黄金が激しい主張をし、

まるでそれをクスクスと笑いながら鎮める姉のような

落ち着いた青が色を引き締める。


 そこには心が休まるような不思議な力があった


 ーー(まほう)を貸しましょうーー


 声が聞こえる。先程とは少し音色の違う声。

力強く、しかし優しさも含んだ声だった。


 声が聞こえた直後グランは激しい頭痛に襲われた。

 

 頭の中に見たこともない数式が映し出されていく、

とんでもない量で、脳が熱くはち切れそうになる。


 体感では1時間にも届いたそれは、グランの体が

地面についた時にはすでに終わっていた。


「さらばだアリシアの英雄よ!!」


 魔王が漆黒の大剣に大量の魔力を込め、グラン

に向かって最後の一撃を放つ。


 剣先がグランの首を斬り飛ばそうとした瞬間


「……お互い様だ」


 グランが聖剣を地面に突き刺す。

するとその場所を中心として地面に黒い蜘蛛の巣のような紋様が描き出される。それは大地を侵食する様に伸びていき、動きを止めたかと思うと天空に向かって白い光を放つ。


 光が収まった後その場所に残ったのは、太陽の光を浴び純白に輝く剣と寂しげに揺れる花々だけだった。


 












最後まで読んでくれてありがとうございました!

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