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クリぼっちの咲斗くん

新しくこういう垢(?)を作りました。

実はここでは載せてない番外編がスマホのメモ機能の中に沢山あります。今後それを投稿するかも知れません。


今日はクリスマスイブですね!!!!(キレ気味)

これは一年前の咲斗くんの話、つまり三月ちゃんとまだ出会ってない頃の話です。そこを注意して読んで下さい!

 今日は言わずと知れた日、クリスマス。テレビを付けても、クリスマス特集ばかりやっていて、嫌になってしまう。


 世間では、二種類のクリスマスの過ごし方をしている人々がいる。一種類目は、友達や恋人、家族と一緒に過ごす人々。二種類目は、そんな奴らを憎みながら、寂しく一人で過ごしている人々。勿論、俺は後者である。



 卯月市という田舎でも、ちゃんとクリスマスという文化は知っているらしく、ちっちゃなイルミネーションやクリスマスツリーがあちらこちらにある。そして、カ・ッ・プ・ル・で溢れかえっている。そんな奴らを見るたびに、拳を握ってしまう自分がいる。



 いやいやいや、そんなにリア充見たくないなら家で籠っていればいいじゃんww......って思うだろ? 仕方ないだろ、だって今日はクリスマス。どんな企業も、この大イベントをスルーする企業なんて滅多にいないだろう。......俺が言いたい事は分かったか? そうさ! リズムトレジャーのクリスマス一日限定ミッションがあるから外出したんだよ!!


 ツイッターでこの事実を知った俺は、不本意ながらも、仕方なくショットへと向かい、リズムトレジャーで遊んでいるのである。


 そしてこう話している間に、クリスマス一日限定ミッションをクリアすることが出来た。報酬は、サンタコスプレをしたミナナちゃんと、称号「クリぼっちですが何か?」だ。俺は使用キャラのミナナちゃんが欲しくてショットに来たんだ。別に称号目当てなんかじゃないぞ。



「......咲斗はクリぼっちなの?」



 俺の後ろから話しかけてきたのは、掃除中の友梨だった。



「う、うるさい友梨! みんな都合が悪くて、仕方ないんだよ!!」


「あーそ......私なんて、クリスマスでもお構いなしでシフト入れられるから大変だよ。誰かバイトでもいいから入ってくれないかなぁ......」



 そっか......ゲーセンの娘は大変なんだなぁ。でもさ、友梨はシフトが終わったら家族とケーキ食べるんでしょ? 俺なんて家に誰も居ないんだぞ? 両親は仕事で居ないし、姉さんはアパートで独り暮らしで居ないし......完全にクリぼっちなのだよ。



「ま、こんな日はさっさとお家に帰って、ツイッターでクリぼっち仲間集めでもしてなよ。生でリア充見てストレス溜めるより、そっちの方が断然いいでしょ?」


「う、うん。報酬もゲットしたし、そろそろ帰るわ......」



 友梨の言う通りに、誰も居ないお家へと帰っていったのだった。



 ※



 ......流石にチキンやケーキ位は買っておこうと思い、俺は卯月商店街にあるスーパーへと入店した。店内に響き渡るクリスマスソングが耳障りである。



 まだ午後五時位だか、チキンは一つ200円と、そこそこお安く買える値段だった。容器に入れられたチキンを買い物籠に入れて、次はケーキ売り場へと向かった。


 勿論ワンホールなんか買えないし、そんな量食べきれないので、六等分された3割引きのショートケーキを手に取ろうとした......が、俺と同じ思考をした人間が居たようで、俺の手とその人の手が当たってしまった。



「あっすみま......ななな七崎さん!?」



 偶然にも、同じクラスメイトの七崎愛佳さんに会ってしまったのである。クリぼっちは同級生と会うのが一番嫌なのだ!



「えっ柳水くん!? こんな所でどうしたの!?」


「い、いやぁ......クリスマスだし......ケーキ位は買おうと思ってて......」


「そ、そうなんだ! 私もこのサイズのケーキ二個買おうと思ったんだけど......今年は一人なんだ......」



 今年は......? 七崎さんって彼氏持ちだったのか? でももう彼氏はいない......仲間か?




「ほら、下にあるケーキだって3割引きだし、私がそのケーキ買うね! じゃあ、良いクリスマスをね!!」



 そう言って七崎さんは、レジへと足を運ばせたのだった。七崎さん、あなたも、良いクリスマスをな......。






 リア充を見て目が腐りかけながらも、無事家に辿り着いた自分だが、まずやることは一つ、スマホを取り出し、アニソンクリスマスメドレーを流し、買ってきた食材で料理するのだ。......と言っても、皿に移すだけだが。



 ......いつからこんなクリスマスを嫌いになってしまったんだろう? 小さい頃はクリスマスという単語を聞いただけで心が躍るくらいだったのに、今となっては、寒気がするほど嫌な行事となってしまった。


 サンタさんは、いつの間にか来なくなってしまった。昔はよく、ゲームソフトをお願いしたっけ......懐かしいなぁ、あの単純な心を持った頃に戻りたいな。



 なんて戯言を言いながら、皿に移した料理を、二階の自分の部屋に運び、一人のクリスマスパーティが始まったのである。



「それじゃあ、メリークリスマス......」



 何故か家にあったクラッカーの紐を引き、静寂な部屋に、パーーン!! と空しい音が響いた。この男、一人で何をやっているのだろうか......なんて、近所の人は思うだろうな。


 そうだ、久しぶりに生配信でもやるか。これなら一人でも全然さみしくないぞ!


 早速スマホで配信を開始し、何となく時間が経った後に喋り出した。



「......はい皆さんこんばんは、そしてメリークリスマス。今日は短い間なのですが、クリスマス緊急配信という事でやって行きたいと思いますんでね、楽しんでください。じゃあまずはこのチキンを......」





 かれこれ20分位やっているのだが、自分の配信を見に来てくれた人は、誰も居なかった。底辺ライバーだって事は分かってたけど、いざこう体感してみると、とても悲しくなってしまうな......。


 そっとこの配信を切り、また一人寂しい空間で、悲しくコーラを飲んでいた自分がいた。


 ......何で自分だけこんな思いしなくちゃいけないんだ? 竜騎だって部活仲間と楽しむって言ってたし、友梨は家族で楽しく過ごしてるだろうし......そんな中、俺は一人悲しくこうやって過ごしてる。



 ......あれ、何でだろう、涙が出てきた。なんだよ、高校生にもなって涙流しちゃって、自分は弱虫だなぁ。......もっと、もっと沢山の友達を作っておけばよかったのか? 自分のこのコミュ障を直してれば、こんな悲しい思いなんか……うう……。





──嫌な夢を見てしまった。それも、去年のクリスマスの夢だ。


高校一年とか、俺が最も友達がいなかった時じゃん。この出来事は思い出したくない出来事ランキング上位に入るくらいだぞ。



「柳水くーん、起きた? そんな早く寝てもサンタさんは来ないよ?」


「サンタさん待ってた訳じゃないよ……なあ愛佳、去年の今日、俺らがスーパーで偶然会ったの覚えてるか?」


「……あー、そんな事あったねぇ。まだおどおどしい柳水くんの時かぁ」


「ま、まぁそうだけど……去年は一人だったんだっけな」


「え、違うよ? 去年は月魄のみんなと過ごしたんだよ?」



……あれ、これは俺の頭の中で補正されていたのかな。クリぼっち仲間を増やそうとしてしまった自分を殴りたい。



「そんな事より、三月ちゃんと予約したケーキを取りに行ってきてくれない? 私は飾り付けやるから……とその前に、そこで寝てる三月ちゃんを起こしてからだね」



愛佳の目線は、俺の足元に向けた。そこには、ヨダレを垂らしながら頭だけソファに乗っかりながら寝ている三月の姿があった。



「みーつーきー、おーきーろー」


「んん……咲斗くん、起きましたか? ……って、私まで寝てましたか!?」


「あーそうそう、三月ちゃん、柳水くんを起こしに行ったのに、そのまま寝ちゃったんだよね。気持ち良さそうだから起こさなかったけど」



もうお決まりかのように、三月の頬は真っ赤に染まった。まるでトマトみたいだ。



「さ、咲斗くん、早くケーキ取りに行きましょう。早くしないと無くなっちゃいますよ……」



逃げるように、三月はコートを来て、玄関へと向かっていった。予約しているから、無くなるなんて事はないんだけどなぁ……。






今日は言わずと知れた日、クリスマス。あれだけ嫌いだったクリスマスも、なんだかそうで無くなってくる。



「なぁ三月、クリぼっちって単語、知ってるか?」


「初耳ですね……どういう意味なんですか?」


「クリスマスにひとりぼっち、っていう意味だよ。きっと、三月には縁のない言葉だろうけどね……」



三月には、クリぼっちなんかさせたくない。俺のこの体験談を話せば、そんな気にはならないだろう。


だが、今となってはただの黒歴史だ。こんな話をパーティ中に話しても、何も盛り上がらないだろう。


そう。今年は去年とは違う。リア充……とまでは行くのか分からないけど、今年はクリぼっちとは縁がないのだ。



何はともあれ、メリークリスマス。……なーんてカッコつけながら、寒い道を三月と歩くのだった。





メリクリメリクリ……。


初めてこの作品に触れたという人は、是非本編も読んでみてください!


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