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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
『裏』章 後日談、というかトウシ編のオチ。

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41話 いつだって、主役は遅れて現れる。


 41話 いつだって、主役は遅れて現れる。


 ヘナリと歪んだウラスケを、

 ――ネオバグは、優しく抱きしめる。



 柔らかいと感じるくらい温かかった。

 ヌルリと、軟質にすべりこむ。

 『収まる場所』を与えられると、人は弱い。


「……きっと、みんな、そういうもの……」


 『スキマに入られた』と気付ける余裕などなかった。

 ウラスケは、ネオバグの腕の中で静かに目を閉じた。


 明らかな失態――だが、どうしても、回避はできなかった。

 薄日のように、丁寧な侵略。


 だから、ついに、ウラスケは、ボソっと、


「くだらない殻を放棄して、グチャグチャに混ざり合って、ただの一つになれば……漠然とした不安は……なくなるかもな……」


 そうつぶやいてしまった。

 『認めて』しまった。

 だから、

 グヌリと、淫靡な音と共に、ウラスケは、ネオバグの中へと溶けていく。


 かくして、あっさりと、

 ウラスケの核は、

 ネオバグに奪われた。



 華麗にウラスケを奪い取ったネオバグは、


「あはっ」


 相好そうこうが崩れるほどの、


「あははははははっ!!」


 口が裂けるほどの笑み。

 笑壺えつぼに入り止まらない。

 体を揺らし哄笑こうしょう


「きた! きたきたぁああ! ウソでしょ! ここまで?! すごい! 傑出している! なに、このコアオーラ! 豊潤! 圧巻! 器の奥から、噴水みたいに沸きあがるこの厚み!!」


 ネオバグの中で、

 ウラスケが浸透していくにつれ、

 ネオバグの存在値が、どんどん膨れ上がっていく。


 想定を遥かに超えていた。

 激甚な快楽。

 煩わしい縛りが消えていくのが分かる。


 純増していく。

 空虚な魂が、ウラスケを得たことで、気炎をあげた。



「完成した……これが、本当の私……」



 愉悦に浸っていると、

 ビキリと、奇怪な音がして、

 ネオバグは神経を研ぎ澄ました。


 ザワリと胸が騒いだ。


 九時の方向。

 視線を送る。


 そこには、亀裂ができていた。

 ザクリと世界を裂いた傷。


 ――その奥から、






「また、ずいぶんとおかしなことになっとんなぁ……」






 『彼』が現れた。

 次元違いのオーラを放っているドラゴンスーツ。

 洒脱で泰然とした少年。

 どこか、ウラスケに似ていた。


 彼を見て、ネオバグはポツリと、


「……タナカトウシ……」


 認識と結合。

 あまりにもスムーズな解答を受けて、

 トウシがボソっと、


「とりこんだウラスケの記憶から情報を引っ張ってきたってとこか? なかなか器用なまねをするやないか。それとも、あのバカタレは、根っからお前と融合しとるんか? あいつは、そこまでのアホではなかったはずやけど」


「……まさか、あなたが神話狩りの『聖主』? レコードのデータから鑑みるに、あなたが『そんな地位に収まる』のは、ありえないと思うのだけれど……」


「自分でもありえへんと思うとるよ」


 そう前を置いてから、トウシは、全身に力を込めた。

 じっくりと、蒸らすように、オーラを上昇させる。

 グググと、スロースターターに存在値を上げつつ、


「最初にちゃんと言うとくけど、自分から言い出したわけやないからな。集団の頭を張っとるんも、訳の分からん党首名をつけられたんも、全部、なりゆきのイヤイヤ。現状のワシは、周囲の連中から、高度な嫌がらせ・レベルの高いイジメを受け取るだけ……そこんところ、勘違いせんように」



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自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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