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12話 いつだって、タナカ家は格が違う。


 12話 いつだって、タナカ家は格が違う。


「世界とヒロインを比べてヒロインを選択って……世界を捨てた時点でヒロインも死ぬだろうが……どんだけ頭悪いんだ」

「きわめて危険だ。全力で対処すべき案件だと判断する」



 そう言い合ってから、

 二人は、ウラスケを排除すべく、行動を開始した。

 捕縛ではなく、殺害を目的とした初手。

 驚異的なスピードで、ウラスケを狩ろうと飛翔。


 挟み撃ちで、確実に削っていこうと画策する――

 が、


「――遊んどんのか? トロすぎる」


 背後に回った味崎の遠距離攻撃を紙一重で避けながら、

 ウラスケは、軽やかに、岡葉との距離を詰め、


「うぐっ!」


 重たい拳を叩きこむ。

 高純度のオーラ。

 魔力の質も申し分ない。

 ズンと響く、高DPS。


 ――一発では止まらず、


「がっ! ぐは! うぇ!!」


 ほんのわずかな時間で、何度も、何度も、

 それも、的確に急所を狙い打つ。


 ――達人のムーブではなかった。

 洗練されてはいなかった。

 しかし、完全な素人の暴力ではなかった。


 一言で言えば、才能。

 先天的な武の資質。

 その程度。


「……ありがたいことに、『ぼくの力』はお前らに通用するっぽいな……というより、どうやら、ぼくは、かなり強いらしい。少なくとも、あんたらよりは上……助かった」


 そう言ってから、

 ウラスケは、岡葉を蹴り飛ばすと、

 そのままグルンと反転して、

 味崎との距離を詰め、

 味崎の腹部に、


「ぐぶぅっ!!」


 膝をブチ込む。

 メキリと音をたててへこむ腹部。

 ウラスケは、その流れの中で、


「ご覧の通り、ぼくは強い。……繭村アスカの問題……君らではどうにも出来んかもしれんけど、君らよりも強いぼくなら、どうにか出来るかもしれん。いや、どうにかする。してみせる。……というわけで、」


「がはっ!」


 追加の頭突きをかましてから、ウラスケは、


「お引き取り願おうか」


 そう言った。

 話し合いに応じる気は一切ないという構え。

 異常思想者の狂気に揺らぎ無し。


 ウラスケからの絶縁宣言に対し、

 岡葉が、


「ぐふっ……ぺっ」


 血を吐いてから、


「あれだけの試練を乗り越えたボクらよりも強い一般人がいるなんて……キズつくね……イヤになるよ、ほんと……」


 味崎も、腹部をおさえながら、


「こいつだけが、特別中の特別であって欲しいところだ……『自然発生型の携帯ドラゴン使いは全員が俺らよりも上』なんてことになったら……俺らの価値が大暴落しちまう。そんな事態は許せねぇ」


 心底ムナクソ悪そうにそうつぶやく。


 最後に、岡葉が、


「いったん引くよ……ボクらじゃ君に勝てないことはよくわかった……けど、ボクらに勝ったぐらいで調子に乗らない方がいい。何度も言うようだけれど、聖主はボクらよりもはるかに強い」


「聖主だけじゃねぇ。虹宮や蜜波だって、俺らより上だ」


「神話狩りは、在籍メンバー数が60人以上いる『そこそこ大規模の組織』だ。……君は、たった一人で、それに刃向かおうとしている。その意味をよく考えたほうがいい」


 脅しつけられても、

 ウラスケは一切ひるまずに、

 強い目で岡葉と味崎を睨みつけて、


「覚悟なら出来とる。どうしてもやる気なら、とことんやったる。けど、そんな不毛な闘いをするより、プラスの対処方法を考えた方が賢明やと思うで」



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