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4話 田中家は異常。


 4話 田中家は異常。



「ぼくは、あの人たちと違って、『最初から普通』なんやけど、気を抜いたら親戚連中みたいな『ワケのわからん孤高感が滲み出る変人の感じ』が出ちゃうんやないかなって、ちょっと怯えとる部分があって……それが前に出過ぎちゃって、ちょっとだけ、変な感じになっとるんやと思う」



「……『人づきあいを好まない』っていうのがそんなにイヤなの?」


「それだけやなくて……あの人たちは、あーっと、これ言葉では伝えきれんなぁ……たぶん、ウチの家系の奇妙さは、実際に会ってみな分からんと思う」


「具体的に、どこがイヤとかあるの?」


「えっと……身内の恥はあんまり言いたくないんやけど……」


「アスカのヤバい事情を探ろうとしている身で何いってんの」


「うぐ……」


 そこで、ウラスケは、観念したように、うなだれてから、


「えと……あ、あんまり言いたくないけど……たとえば、『またいとこのオッサン』は、養子にした『義理の娘』が失踪したっていうのに、一秒たりとも探さずに、『知ったことか。興味ない』って本気で言うようなキ〇ガイなんや。あのオッサンは、ウチの家系の典型。東大とか首席で出てアホみたいに優秀やけど、他人に一切興味がない。人の心を持っていない、サイコパスの王様」


「変なのは、その人だけ?」


「いや、だから、全員。……『一学年上(中3)の従兄』にいたっては、さっき言った『またいとこのオッサン』よりもヤバいから。あの従兄にいたっては、また種類が違うんや。ありとあらゆる方法を使って、通っとる学校の弱みを握って、徹底的に脅しつけて、大金を巻きあげたりとかする……ほとんどテロリストみたいなもんや、あんなもん」



 ――ジュリアに対するイジメ問題を追及して、何人かにケジメを取らせただけで、

 金を巻き上げたという事実はないが、

 身内の中で広まった噂に尾ひれがついて、タナカトウシは、

 『学校全体を相手どり、訴訟問題を起こして、金を巻き上げた』という事になった。

 ちなみに、タナカ家全般では、そんなトウシに対して、

 『オモロいやっちゃなぁ』の一言で片をつけている。

 中には『ワイならこうする』『こうしたら、もっとふんだくれたんとちゃうか?』などと『よりエグい提案』をするバカがいたりもする。

 つまり、どいつもこいつも大差ない、似たり寄ったりなサイコパスってこと。



「……もちろん、あの従兄は根っからの『悪』ではないから、『そうせざるをえない、何かしらの理由』はあったんやろう……それは分かっとる……けど、問題は、そこやなくて、『その気になったら、どんなことでも平気で出来る家系』っていうんがヤバいんや」


 ウラスケは、苦々しい顔でうつむいて、


「……個人主義者で、他人に一切興味がなくて、変に高スペックで、その気になったら、倫理的・道徳的に問題がある事だろうと、平気で実行できるサイコパス集団……それがウチの家系……改めて考えたら、ほんま、最悪や……」


 ため息を一つはさんでから、


「滅んだらええのに……とは思うんやけど、ウチの家系って、恋愛に関しては、変に貪欲なところがあって、『コイツ!!』っていうパートナーを見つけたら、わき目もふらずまっしぐらで、せやから、孤独主義者の集団のくせに、血は絶えんという……ああ、ほんま、多角的にキモい家やなぁ、ウチの家!!」


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