表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
866/5883

裏0++話 このままじゃダメだ。


 裏0++話 このままじゃダメだ。


「そうじゃないだろ」


 ――そんなシューリの言葉と張り手で、センは脱力した。

 『自分を底へ引っ張る』という、無意味な『りきみ』を殺す。


 すると、フっと、全身の力が抜けて、

 だから、我慢できなくなって、天を仰いで、

 涙だけは、どうにか我慢して、


 息を吸って、吐いて、センは、


「痛いわ、ボケ」


 ハリテに対する文句(感謝)を述べてから、

 グっと、顎をあげて、


「……俺は……弱くねぇ」


 ハッキリと言い切る。

 『自虐』という、優しいバリアを殺す。

 自分を守ってくれるカラっぽの『弱さ』を捨てる。

 むき出しで、

 自分と向き合う。


「俺は強い。勝つための努力なら積んできた。絶対に、俺がやってきた事の方が上だ……」


 言い切った上で、

 そのうえで、


「それなのに……いっつもだ……いつも、あの野郎は、俺が必死に積み上げてきたものを、軽々と超えていきやがる……全部を賭して積み上げてきた俺を……あいつは、いつも……くそが、くそが、くそがぁ……」


 ひたすらに、本気の悔しさを口にするセン。

 『自虐で濁した言い訳』ではなく、

 とめどなくあふれる、本気の反省。


 何が足りていなかったのか、と真剣に考える。

 次の一歩を踏み出すために。

 もっと踏み込んだ『さらなる明日』を迎えるために。


「俺は弱くないが……しかし、ソンキー×トウシという壁を超えるには至らなかった。足りなかった……」


 眼球に力が入った。

 血が走って、黒目が少し開いて、

 歯を食いしばって、

 気合いを入れ直して、


「……どこかでおごりがあった。気を抜いていたつもりはなかったが……やはり、どこかで、『決死の必死さ』が足りていなかった。あいつらよりも才能がないという事実を、俺は、気付けば忘れていた……」


 自分という『器』そのものを振り返る。

 冗談でもなんでもなく、事実として、なんの才能もない凡人。

 それが、センエースという個。

 矮小で、頭が悪く、性根がひん曲がった童貞。


 なんの才能も与えられなかったという屈辱。

 見渡せば、周りは、何かしらの天才ばかりという絶望。


 ――そんな状況だったからこそ、沸き上がってきた想いがあった――

 ――だからこそ、踏ん張ることができたという事実を忘れていた――


「……いつしか、『このままじゃダメだ』っていきどおりを失っていた」


 今に満足したヤツは、その先に進めなくなる。

 そして、今に満足しているか否かの境界線は、

 『このままじゃダメだ』という『決死の必死』を抱えているか否か。



 ――だが、決死の必死を『自力』で抱き続けるのは、実際のところ、すさまじく難しい。



「いつからだ? 向上心に『よどみ』が産まれたのは……いや、時期は関係ねぇ。どうだっていい。問題なのは、どれだけの痛みを背負って、再構築に挑めるか。意識改革のプランニング。概念レベルでの革命が必要だ」


 血走った目が、世界を睨みつける。

 ナメんじゃねぇと、言葉なく叫ぶ。


「単純な話なんだ、実際のところ。……足りなかったというのなら、今まで以上にやるだけだ。すべての限界を殺してやる」


 常人の視点で言えば、『センエースが積んできた結晶』には、微塵のよどみもない。

 それどころか、誰の目にも、『やりすぎ・磨きすぎ・イカれすぎ』としかうつらない。

 しかし、他者の目なんかどうでもいい。

 誰かの評価なんか、どうだっていいんだ。


 大事なのは、センエースが背負うべき、センエースだけのリアル。

 頭おかしいバカのワガママ!

 イカれた変人の偏屈!

 狂気のプライド!

 それだけ!


「突き詰める、ナノ単位のムラもなく! そぎ落とす、醜い贅肉のすべてを! 可能性の全てを沸騰させて、限界という無粋を皆殺しにしてやる。努力って言葉の意味と価値を変えてやる。俺の姿を見れば、この世の誰もが、例外なくドン引きするほど、バカみたいに積んでやる。何があろうと、絶対に止まってやらねぇ! すべての絶望を踏み台にして、無限の高みを目指し続けてやる!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ