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141話 俺の方が強い。


 141話 俺の方が強い。


「悪いな、センエース」

「なぜ、あやまる?」

「お前よりも『積み重ねた絶望』は少ないのに……俺はお前と同じ領域に辿り着いた。流石に申し訳なく思う」

「そうだな。マジで謝ってほしい。……なんつーか、まるで、古い例えみたいだ。階段とエスカレーター。あるいは、休まないウサギ。……俺が、『真』に届くまでに、どれだけの絶望を積んできたと思っていやがる……」


 センは、肩を震わせながら、


「ふざけんなよ、マジで。いい加減にしろ。狂った才能ごときに、この俺を超えさせはしねぇ。お前よりも、俺の方が強い!」


「いや、俺の方が強い!!」


 張り合った意地。

 決して無意味じゃない。

 気概をぶつけあうことから始まるのが闘争。

 言霊ことだまで殴り合うのも立派な戦争。



 ――ソンキーは、グンと一歩踏み込んだ。

 拳に、膨大なオーラを乗せて、センエースのどてっ腹にぶちこむ!


「ぐぅぉおおっっ!! ぐぅ……っ……いってぇなぁ、ちくしょぉ……」


「舞い散る閃光センエース。俺は……お前を超えた!!」


「っ……はっ……夢で終わる寝言だな……俺を超える者は存在しないっ!! それが、世界の真理!!!」


 負けじと、センエースも、ソンキーの腹部に一撃を叩きこむ。



「ぐぬぅうっ!!」



 激痛に顔を歪ませるソンキーに、センエースは言う。


「ソンキー……お前は、今後も永遠に、『俺に勝つ夢』だけを見続けていればいい。最強は俺だ。目ん玉を見開いて、よく見てみろ。どうだ? わかるだろ? これまでに積んできた『全て』が俺を祝福している! 中坊と合体しただけでのテメェに、この俺が……負けるワケないんだ!!」


 それは、『美麗』という概念から、随分とかけ離れた、醜い殴り合いだった。

 泥にまみれた意地の応酬。

 向きだしの全てが収束していく。


「そうだ! 負けるわけねぇ! ……だって……だって、俺は……」


 終わりが見えてきた。

 ビキリと、平行線にヒビが入る。


「ぃ……ぃや……ちょっと待て、ソンキー……ふざけんな、マジで……俺が押されている……ウソだ……俺が……だって、俺が、最強で――」


「俺の勝ちだ……センエース」


「はしゃぐな! いい加減にしろぉおおお!!」



 センエースは、魔力とオーラを最大限まで高めていく。


「こんなワケねぇ! 俺が! 俺が、お前に負けるわけねぇええ! 俺が積み重ねてきた全てが、俺以外の誰かに劣るなんて、そんな――こんなこと――ありえねぇええんだよぉおおおお!!」


 両手に集めたエネルギーが限界まで達したところで、






「死ねよ、ソンキィイイ!!


  ――異次元砲ぉおおおおおおおおおおおおお!!」






 凶悪な照射。

 全てを喰い破ろうとしている咆哮。


 それに対し、ソンキーも、


「異次元砲ぉおおおおおおおおお!」


 迎え撃つ。

 膨大なエネルギーのぶつかりあい。


「ぐぬううううう!」

「ぐっ……ぅう……ぁあぁ、大きいな、センエース。お前は本当に大きい……お前こそが、神の王だ」


「そうだ! 俺が! 俺こそが!」


「だが、勝つ! 俺は!! 神の王を超えた!!」


 ぶつけあった、意地と意地。

 極端なほど、膨れ上がっていく。

 光は、暴走の中で真理を得る。



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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