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122話 天才なのは、貴様だけじゃない。


 122話 天才なのは、貴様だけじゃない。


「また休憩か? では、先の発言を実行するとしよう。貴様の目の前で、あのキ○ガイ女を圧殺する」



「!!」


 トウシは、目を見開いて、


「やめてくれ!! たのむ!!!」


「なぜ、私が、貴様の頼みを聞かなければいけない?」


 トウシは、残っている力を喉に集めた。

 もはや、腕も足も動かない。

 だが、それでも、

 ここで黙っている訳にはいかない。

 だから、


「なんでもする! 神様の道具になる! ワシが使える道具やってことは充分に伝わったはず! ワシは、神様の配下の一人になる! ワシにしか出来ん全部を任せてくれ! 他の誰にも出来ん仕事を、ワシがすべて、命がけで完璧にこなしてみせるから! だから!」


「別に、貴様の手などなくとも、現状、主上様は、何も困っていない。主上様は、完全にして完璧な神の王。ヘタレ中学生の手を借りなければいけない案件など皆無」


 そう言って、瞬間移動をするアダム。

 そして、ジュリアの頭を掴もうとする――が、

 そこで、


「っ――じゅ、ジュリアに触んなぁああああああ!!」


 指一つ動かせなかったはずなのに、

 トウシは飛んだ。


 心の暴走。

 憤怒という、最強クラスの原動力。


 一気に距離を詰めたトウシが、アダムの後頭部に蹴りをブチ込む。


 今のトウシに出来る最大以上の力。

 情動によってブーストされた『限界突破の一撃』をブチ込んだが、

 当然、


「今のが全力か……しょうもな……」


 やれやれと溜息をつきながら、アダムは、トウシと向き合い、


「今の貴様の攻撃……再現すると、この程度のモノだぞ」


 そう言いながら、親指で人差指をパチンと弾く。

 簡易なデコピンを受けて、トウシの体は、最高加速中の新幹線にはねられたかのように豪快に吹っ飛んだ。


 地面に何度かバウンドして、


「うぼっ――ごほっ!!」


 大量に吐血する。

 見るも無残な姿。

 当然のようにボロボロで息も絶え絶え。


「どうだ、しょうもないだろう……と言いたかったのだが、随分と大げさなダメージを受けているな……まったく、弱過ぎる。防御力が低すぎるというより、受け流しの質が低すぎる。ありていに言えば、貴様は戦闘力は低すぎる。それで、よくもまあ、神を討つなどと、ふざけた事をほざけたものだ。不可能に決まっているだろう。貴様のような虫ケラ風情が、神に勝てる訳がない。神は、この私ですら、触れる事もできない最果ての領域におわす御方だぞ」


「……うぷっ……おぇ……」


 吐血に溺れているトウシの元に、アダムはゆっくりと近づき、


「私は強いだろう?」


 その問いに、トウシが答える前に、アダムは、


「当然だ。天才なのは貴様だけではない。私もそうだ。長き時間も重ねた。何度も地獄を見た。何度も絶望を乗り越えた。そして何より、私は、『この上なく尊き神の輝きに照らされた』という、身に余る幸運を得ている。貴様ごときが私に勝てる道理などない。あってはいけない」


「……」


「改めて言っておこう。私は間違いなく強いが……しかし、主上様の足下にも及ばない。これは事実だ。虚飾はない。わずかも大げさには言っていない。ただのまっすぐな事実」


「……」


「主上様の強さを前にすれば、私などゴミ以下。何をしようと、どうしようと、かすりキズ一つつけるコトすら出来ない」





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