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121話 どうせぇ言うんや……


 121話 どうせぇ言うんや……


「うーむ、貴様にとって価値の低いカスを殺しただけでは、やはりダメか……となると、やはり、あの女を潰すしかないか。あのキ○ガイ女は、貴様を動かすのに有益だから、出来ればとっておきたいところなのだが……まあ、しかたないか」


 そう言って、また瞬間移動しようとするアダム。

 そんなアダムに、トウシは、


「うあああああああ!!」


 拳に大量のオーラをぶちこんで、アダムの顔面めがけて殴りかかった。

 ただのやぶれかぶれではなく、

 きちんと加速の魔法陣を展開して、ブーストをかけた上での的確な特攻。


 そんな一撃を、

 しかし、アダムは避けなかった。


 ピクリとも動かず、トウシの拳を、顔面で受け止める。

 結果は、凄惨。


「……う、うそやろ……」


 トウシの渾身をモロに受け止めていながら、

 アダムの顔には傷の一つもできなかった。


 先ほどの闘いでは一発も当たらなかったため、彼女の防御力に関しては未知数だった。

 回避力が高いだけで紙耐久――確率は低いが当たればどうにかなる……というのなら、まだ対処のしようもあった。


 前提に可能性があれば、まだ未来を演算していられた。


 しかし、彼女に、対処可能な前提など存在しなかった。

 アダムは純粋に強い。

 全てのスペックが、冗談みたいな超水準。

 攻撃力も、防御力も、回避力も、魔力も、オーラの総量も、全てが、最高位。


 アダムは強すぎる。


「どうした、ほら、次だ。特別サービスで避けないでいてやるから、さあ、ドンドンこい」


「……う……うぅう……あぁあああ!!」


 トウシは考えるのをやめた。

 壊れてしまったから。

 ガムシャラに、思考を放棄した拳を叩きこみ続ける。

 アダムを相手にした場合、いくら考えても無駄で、

 なにをしようと、どうしようと、こんな存在には勝てるはずがなくて、

 だから、どうしても――


「くそ、くそ、くそ、くそ、くそ、くそぉおおおお!」


 叫び、もがき、必死になって拳を振り回すが、

 当然、意味はまったくない。


 当たっているんだが、当たっていないんだか分からなかった。

 殴られているアダムもそうだが、殴っているトウシの拳も痛くもかゆくもなかった。

 おそらく、アダムは、周波数を調節して、トウシのオーラや魔力を完全に無効化しているのだろう。

 おそろしく精密かつ複雑で難易度が高い魅せ技。

 この魅せ技は、ハッキリいって、通常の戦闘では使えない。

 同格が相手だと、そんな精緻な作業をやっている余裕などない。


 つまり、アダムは言外に、こう言っている。

 ――お前は弱過ぎる。相手にならない。


「ど……」


 トウシは、ついに涙を流しながら、


「どうせぇ言うんや……こんなもん……」


「この世の誰よりも高速で頭を回転させられるというのが、貴様の売りなんだろう? なら、ちゃんと考えて攻撃してこい」


 トウシの全身から力が抜ける。

 必死に支えようとしても、心が、『元気を閉じるフタ』になったみたいで、

 腕にも足にも、まったく力が入らない。 


「また休憩か? では、先の発言を実行するとしよう。貴様の目の前で、あのキ○ガイ女を圧殺する」


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