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120話 アダムは強すぎる。


 120話 アダムは強すぎる。


(い、一個もあたらへん……何しても、全部、避けられる……全部の呼吸がズレる……まったく勝機が見えん……この女、ヤバすぎる……)


 もちろん、完全理解は出来なかった。

 しかし、ダイレクトに認識する。

 心が受け止めたんだ。


 アダムという女の強さは異常。

 今のトウシでは理解できない次元。


 正しきルートを経て至った、神代の領域。


 ミシャンド/ラを超えているか否か……

 そんな小さな次元じゃなかった。



 ――アダムは強すぎる。



(あかん……このクソ女の言葉に嘘は一個もなかった……エゲつない強さ……ミシャンド/ラがかすむ、狂気の最果て……こ、こんなもん……たとえ、体力MAX状態でも……何したって……勝てるわけ……)


 折れるとか、折れないとか、そんな話ではなかった。


 『アダムを倒せるか?』という問いは、

 『海水を飲み干せるか?』という問いと性質は同じだった。


 『100%不可能』

 『絶対にありえない』


 答えを求める必要がない問い。

 誰にとっても即答がデフォルト。

 そんな不定形の難題。


 いつだって、そう。

 ――アダムは強すぎる。



「貴様、やる気をなくしているな」


 ふいに、アダムが、平坦な声で、


「不愉快だな。私と闘うのはそんなにつまらないか?」


「ど、どうか、慈悲を……今のワシでは……あなたには勝てません……時間をください……あなたを目指して、命を磨く時間を……どうかお願いします……今のワシでは、抗うことすらできません……御時間をいただければ、必ず、最低限の対峙が出来るまでは自分を引き上げると誓いますので……どうか……」


 絶対的な不可能をつきつけられて、

 トウシは、それでも、本気で『頑張る』と宣言した。

 これは、相当な狂気。


 『海を飲み干せ』と言われて『時間をいただければ、どうにかします』と本気で返答できる者がこの世に何人いるだろうか。


 人の限界値を超えた覚悟を見せたトウシ。


 プライドなどその辺に放り投げ、

 恥も外聞もなく、

 トウシは、両手を地面につけて、

 体を小刻みに震わせながら、


「どうか……どうか……」


 必死に懇願する。

 それしか出来ない。


 そんな、土下座しているトウシを、

 しかし、アダムは、

 完全にスルーして、



「そんなにやる気を出させて欲しいのか……まったく、ワガママな……はぁ……クソかったるいが仕方ない……これから、貴様の目の前で、あの連中をなぶり殺していくとする」



「っっ!!」



 アダムは、瞬間移動をして、テキトーに選んだ女子生徒の頭を掴むと、また瞬間移動で、トウシの目の前まで移動し、


「3……2……」


 と、カウントダウンを始めた。

 なんの秒読みか、状況を見れば、推測するまでもなかった。


 秒数が減るにつれて、アダムに掴まれている女子生徒の頭がメキメキと、音をたてて、


「い、いやぁあああ! と、トウシくん――助け――」


「……0」


 バギィイッッ!!

 グチャァア!!

 と、音をたてて、女子生徒の頭部が砕けちった。



「……っっ!!」



 あまりにも生々しくショッキングな光景に、トウシの頭が真っ白になる。


「ぁ……ぁ……」


 茫然としているトウシを見下ろして、

 アダムは言う。


「うーむ、貴様にとって価値の低いカスを殺しただけでは、やはりダメか……となると、やはり、あの女を潰すしかないか。あのキ○ガイ女は、貴様を動かすのに有益だから、出来ればとっておきたいところなのだが……まあ、しかたないか」


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