表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
新D章 因縁2。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

796/5894

78話 本音。


 78話 本音。



「しつこい男だ。何回、言わせる。私の前で、無様をさらすな」



「ちょっ、暁さん……なにを――」

「なんで、急に、トウシくんにビンタ……」

「今の、メッチャ痛いだろ……」

「うわ……真っ赤……」


 訳が分からないという顔をしている面々。


「いまのは、ないよ……暁さん……なんで……」

「ほんと、なんで、トウシくんを殴ったの? 理由をちゃんと言ってくれないと、ここは引けない」

「いまのは……いつもの『毒舌の延長』とは認識できない。どういうつもりなんだ?」

「トウシくんは、俺たちの大事なリーダーなんだ。それを傷つけるのは許さない」


 と、ジュリアにつめよりだした面々。

 彼・彼女達にとって、トウシは、もはや、なくてはならない精神的支柱。

 絶対的な心の支え。

 魂のよりどころ。

 つまりは、依存対象。


 だから傷つけられることは許せない。

 今の神話狩りにとって、トウシを失う事は全滅する事とイコール。


 ゆえに、そんなトウシを理由もなく殴りつけたジュリアに対して集まる非難の声は大きくなる。


 ――時間を重ねるにつれて、どんどん苛烈になっていくジュリアを攻める声。

 だけれど、ジュリアは、そんな面々の言葉は完全にシカトして、

 ひたすらにトウシを睨みつけている。

 ジュリアは続けて、


「私の前では、死ぬまでカッコつけ続けろ。出来ないなんて……絶対に言わせない」


 まるで、こぼれ出たような、『泡のように脆い重たさ』に包まれた、概念の段階で大きく矛盾している言葉。


 そんな『ふざけた言葉』を押しつけられて、

 だから、そこで、

 トウシは、

 ギリっと、

 ――強く、奥歯をかみしめて、




「うっさいわ! ボケェ! ワシ独りやったら、こんな悩んでへんのじゃ、カスぅ!」




 濁流のように、

 我慢していたものを、


「ワシ独りやったらなぁ! 最後の最後まで、クールぶっこいて、黙って死んだるんじゃぁあ! ワシはただの厨坊やけどのぉ! その程度のプライドくらいはあるんじゃい!」


 吐きだす。

 吐血するように、


「お前を守れへんかもしれんから、こない悩んでんねやろぉお!」


 ジュリアの目を睨みつけて、まっすぐに、強く、重たく、


「無理に、決まってるやないか! あほんだらぁああ! なんや、さっきの女ぁ! 勝てるか、あんなもん! あれが100万人束になっても傷一つつけられんのが神様なんやとぉ! ふざけんな、ぼけぇええええ! そんなもん、人間のガキが勝てる訳ないやろ、ナメんな、かす、ごらぁあああ!」


 トウシは、喉が千切れるほどに、

 込みあがってくる想いを、


「ワシは弱いっ……! お前を守り切れるほど強ぉない……せやけど……それは、イヤやから……」


 ついには、ボロボロと、

 涙をこぼす。


 その姿を、誰もが悲痛の面持ちで見つめていた。

 ここにいる誰もがトウシの事をスーパーヒーローのように扱っていた。

 実際、それだけの力があって、あがめるに値する成果を残してきた。


 しかし、トウシは、アメコミのスーパーヒーローじゃない。

 しょせんは、ただの、頭がいい中学生でしかない。

 中学生に背負い切れるほど、この『無間地獄』は軽くない。


 それを、

 彼・彼女らは、ようやく思い出す。


 だから、誰もが黙りこむ。

 何を言えばいいいのかわからない。


 そんな中で、トウシは、


「お前を……死なせたぁないから……悩んでんねやろぉ……投げだすことができへんから……苦しんどるんやないか……それやのに――」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ