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62話 難易度、さらにドン!!


 62話 難易度、さらにドン!!


 虹宮の変化球は、変化しないわけではないが、どれも、『ドラゴンスーツを使っている相手に使えるレベル』ではなかった。


 変化レベルもなかなかひどかったが、制御程度があまりにもひどかった。

 抜いた球は明後日の方向に飛んでいき、

 切った球は地面をえぐりとる。

 なんとか調節して枠に入れると絶好球。

 ――という始末。


『もしかしたら、ノゴローくんと同じく、普通の変化球が無理なだけで、特殊な変化球なら投げられるかも。どうする? スカイ・クロスファイアー・スコールジャイロナックルとか練習してみる?』


『……せんでええわい』



 変化球なしのストレートだけで出来る事には限りがありすぎて、

 『トウシのスペック』をいかしきる事はできなかった。

 トウシの頭脳は、手札が山ほどあって、はじめて美しく輝く。

 ノゴローくんとは相性が悪いが、三橋廉ならこれ以上ないくらい相性抜群といった具合。



「ストライッ――チェンジ」


(あんだけしんどい思いをして、どうにか8回裏を守り切ったのに……攻撃は9球でチェンジ……こころ、折れるな……)



 溜息をつきながら、ミットを持って、ポジションにつこうとすると、



 ――そこで、アダムが出現して、




「あまりにも試合内容がタルすぎる」




 と、妙な事を言いだした。

 続けて、アダムは、


「なんだ、このつまらない試合は。盛り上がりもクソもない。ただ、淡々とスコアボードの0を増やしていくだけの簡単なお仕事……見ていられない」


「どーも、すんまへんなぁ」


 『スコアボードに0を刻むために、どれだけ苦労していると思っていやがる』とでも言いたげな、心底イラっとした顔で、そんな返事をするトウシに、

 アダムは、


「というわけで、ここからは、特別ルールを追加していく」


「……えぇ……」


 『しんどさ大爆発』という顔をしているトウシにアダムは、



「まず、凡人チームの携帯ドラゴンのスペックを五倍に引き上げる」


「……ご……っ……」


 その、あまりにも『チョケ方の度が過ぎた発言』に、トウシは、つい、クラっとして、フラついた。


「かつ、『5アウト制』と『エンドレス満塁制』を導入する。ちなみに、このルールが適用されるのは、凡人チームのみ」


「……オェ」


 あまりの理不尽さに、トウシは、吐きそうになった。

 どうにか嘔吐は我慢したが、顔面は蒼白で、動悸が止まらず、謎の頭痛が発生していた。


「超天才のスーパー救世主・タナカトウシを有する『神話狩り』を相手にする上では、まあ、そのぐらいのハンデは必要だろうという『上』の判断だ。喜べ、貴様はそれだけ評価されているということだ」


「……ふ……ふ、ふざけんな……カスが……」


 ついに、限界を超えてしまったトウシ。

 ここまで、どうにか色々と、我慢をしてきたが、


「ええかげんにせぇよっ! ぼけぇえええ!」


 ついには、プッツンと切れて、喉が切れるほどに叫ぶ。

 野球というゲームに対して本気だからこそ、制御がきかなくなる。

 充血した目でアダムを睨みつけ、強く拳を握りしめる。

 そして、


「くそったれがぁああ!」


 思考停止して、後先考えず、心のおもむくままに、

 アダムの顔面めがけて殴りかかるが、


「無様だな」


 トウシの魂がこもった拳は、指一本で止められてしまった。

 変身すらしていないトウシの拳など、アダムからすれば、蚊が飛んできたのと変わらない。




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