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58話 究極のバッテリー。


 58話 究極のバッテリー。


「……『三万の中から選りすぐられた野球エリート20人』VS『カジったコトしかない10人』で対戦……ふ、ふざけとる……」


 トウシはハァ~と、深く長い溜息をついてから、

 全員を見渡し、


「一応、言っとくと、ワシは、野球に関しては、詳しい方や。詳しい方というか、ワシの唯一の趣味が、野球なんや。正直、知識だけで言えば、この世の誰にも負ける気がせん」


「え、本当に?」

「よっしゃ、きたぁ!」

「あぶねぇ! よかったぁ!」

「……くく、勝ったな」


「いや、でもなぁ、ワシの専門は『自分がやるほう』やなくて『解析するほう』で……ようするには、プレイヤーではなく、評論家って感じ。……一応、自分の体で、トレーニングメニューを実践した事もあるんやけど、ごらんのとおり、体がでかい訳でもないし、運動神経抜群でもないから、特に上手いわけではない」


「「「……」」」


 トウシの発言を受けて、みな、一様に、

 『え~、それじゃあ、意味がない……いや、意味がないこともないんだけど、ん~』

 という、微妙な空気感になった。


 ――と、そこで、虹宮が、


「じゃあ、キャッチャーをやってくれない? おれのリードをしてほしいんだけど」


 備え付けのグローブとボールを手にしながら、


「おれ、一応、少年野球でピッチャーやっていたんだ。トウシくんと同じで、おれも、『御覧の有様ボディ』で、筋力まったくないから、ヒョロヒョロの球しか投げられなかったけど、今は、ドラゴンスーツが使えるから、パワーはカバーできると思うんだ。ちなみに、コントロールはかなり良かったよ。走り込みだけは真剣にやっていたからね」


「ほう。てことは、エースやったんか?」


「ぇ、よくわかったね」


「小学生レベルやと、全体的に下半身の筋力が足らんすぎて、基本、ストライク入らんからな。枠の中に入れられる力があるだけでも充分って場合がほとんど」


「ほんとに詳しいね。たのもしいよ」


 そこで、トウシは、アダムに視線を向けて、


「一つ、質問あるんすけど」


「なんだ?」


「トランスフォームはありなんすか?」


「ありだ。というか、相手は全員がトランスフォームを使ってくるぞ」


「えぇ……全員、トランスフォームつかえんの……?」

「ああ、ジャミと闘った時と同じように、貸し出している」


「じゃあ、こっちにも貸出許可を――」

「それは認めない」

「えぇ……なんで……」


「彼らは凡人の身でありながら、貴様らのような狂気の天才集団と闘わなければいけないんだぞ。そのぐらいのハンデは当然だろう」

「……いや、凡人て……向こう、野球エリート集団なんやろ? こっちは全員が運動不足のガリ勉集団で――」


「まあ、そう心配するな。やつらは、飛び抜けて強力な携帯ドラゴンを纏っているというわけではない。せいぜい、遠投で120メートル投げられる程度の力しか持っていない」


「遠投で120出たら、球速は最低でも140キロくらい出るんやけど……で、球速140キロ出されたら、かじった事しかない素人では裸足はだしで逃げ出す事しか出来へんねんけど……」


「ちなみに言っておくと、やつらには、『この試合で勝てば、30000人全員が復活できる』と伝えてある。もちろん、ウソだが、やつらは、全身全霊で信じている。というか、状況的に、信じるしかない。というわけで、やつらは、文字通り、死に物狂いで立ち向かってくるぞ。試合に出場する者は勿論、サポーター達も気合いが段違い。見渡してみたまえ。面構えが違うだろう」



「「「「「「……」」」」」」



「それでは、そろそろ試合をはじめよう。ああ、ちなみに言っておくと、延長戦になった場合はサドンデス(点が入ったら終わり)だ。私としては、延長になった時点で皆殺しでかまわないと思うのだが、まあ、これもお優しい主の配慮だ。感謝しろ。……さあ、出場する者は、整列」


 問答無用モードになったアダムには、もはや何も言っても無駄だと判断し、

 トウシは、


「まあ、一応、虹宮の携帯ドラゴンの強化値は150%を超えとるし……野球はピッチャーさえ優秀やったらどうにかなる『尖ったスポーツ』やから……絶望的な状況ではない……はず……はぁ」


 溜息をつきつつ、そう言いながら、整列した。



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[気になる点] 776部での「「「「「「……」」」」」って、」が一個足りませんか? [一言] 見返してました
2022/02/20 10:58 久留崎恭介の代行(スマホ)
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