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41話 不可能かどうかはどうでもいい。


 41話 不可能かどうかはどうでもいい。


「机が6つになって効率と速度が6倍になれば、ワシも『スムーズに走れるようになる』っちゅうこっちゃ。『無心かつ反射的に』とはいかんけど、頭を使わんのは性に合わんから……むしろ、逆に、それでええ」


 そこで、トウシは、この場にいる全員に視線を向けて、


「融合を使うには、マスターの同意がいる。全員、ワシに託せ。ワシなら、この不可能……どうにか出来る。というか、ワシ以外では無理で――」


 その発言に対し、岡葉が、答える。




「無理かどうか、不可能かどうか……そんなものは、どうだっていい」




「ああ? おい、勝手に諦めんなや。まだ、ワシは、こうして闘って――」


 そこで、岡葉は、ポロポロと涙をながしながら、


「不可能か可能か……そんな事はどうでもいいんだ……君は……来てくれた……たった一人……ボクの……『助けてくれ』って叫びに答えてくれた……それだけが、すべてだ」


「……」


 岡葉は、涙でぐしゃぐしゃになった顔で、


「ボクの全部を好きにしてくれ……君に……ボクの全部を託す……」


 その言葉に続いて、味崎も答える。


「俺も……お前になら託せる……お前以外には死んでも任せないが……お前になら……」


 続いて、鈴木ホウマ佐藤ツカム・雷堂の三名も、首をたてに振った。

 迷いなど、あるはずがなかった。

 全員が、いっさい躊躇せず、即時決断した。


 ――絶望の底に沈んでいた時、

 たった一人、助けにきてくれたヒーローに、

 この場にいる全員が『全てを託す』と決めた。



「……よし、ほな、全部もらうで。ワシは遠慮とかせん……出来る事を全力でやるだけ。そういう人間や」


「この上なく……頼もしい発言だよ……」



 岡葉たちの期待を背負いながら、

 トウシは、迷いなく、五人の携帯ドラゴンとエルメスを融合させる。


 6体の龍は、混ざり合って、溶け合って、

 最後にカっと光ってから、

 一匹の利発そうな携帯ドラゴンになった。




「……強化値は、ガッツリと下がったな……まあ、別にええけど」




 『エルメスと比べれば弱過ぎる龍』との融合によって、

 エルメスはかなりの弱体化をくらった。

 融合すれば強くなれるというワケじゃない。

 1000+1が1001になる訳じゃない。

 1という『弱さ』に足を引っ張られて、

 1000あったものが900になってしまうのが、融合の現実。


 だが、そのかわり、


「コアを5つ獲得……よし……めっちゃしんどいけど……ここからは、労力6倍やけど……そのかわり……演算速度も6倍や……」


 トウシは、ニっと笑い、


「これなら、『ワシという狂気』を最大限に活用できる……さあ、いくで。かけっこの時間や」


 戦闘開始から、数秒が経過した時、

 両者が互いに、異変を覚えた。


 トウシの方は、驚嘆で、

 Jジャミの方は、驚愕。


 ジャミと闘いながら、トウシはボソっと、


「おお……ど、どうやら、ワシは、自分が思うよりもだいぶイカれた天才やったらしいな……『頭の中の机』が6つに増えただけやのに……演算速度が、6倍どころか、30倍くらいになっとるやないかい……」


 自分自身の性能に驚いているトウシの前で、

 Jジャミが、驚きを隠そうともしていない表情で、


「信じられない頭脳だ……貴様、本当に人間か?」


「もしかしたら、ちゃうかもしれんなぁ……」


 などと喋っている間も、二人は、高次戦闘を続けていた。

 驚異的な演算速度で、戦闘という概念そのものを解析していくトウシ。

 その成長速度はとどまることを知らず……



「し、信じられない……『武の器』は、弛まぬ努力を積むことでしか手に入らないものなのに……タナカトウシ……貴様は、それを、計算だけで入手しようというのか……」




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