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34話 執行。


 34話 執行。


「残念ながら、君たちが使っている貸し出し用のトランスフォームは任意解除できない。というわけで続きだ」


 そう言って、ジャミは、板瀬を、さらにボッコボコにしていく。

 他の者には目もむけず、ひたすらに、

 ただひたすらに、フルでボコボコに……


「うご……へっ……もう……ゆるして……ごめんな……さ……」


「? なにを謝っている? 意味がわからない」


「いろいろ……調子にのって……ごめ……さ……もう、あんな事……言わないから……ゆるし……」


「ん? ああ、なるほど。君は、『いままでの態度が悪かったから、自分だけがこうして殴られている』と勘違いをしているのか。残念ながら、そうじゃない。これから、この場にいる全員が君と同じ目に遭う。君が最初というだけだ」


「……」


「だから、謝る必要などない。謝っても無意味だし、私は『君の素行』に興味がない」


「……」


「というわけで、再開だ」


 そう言うと、ジャミは、板瀬の頭を掴んで地面にたたきつけた。

 ガン! ガン! ガン!

 と、乱暴に、粗雑に、ゴキブリでも殺すように、


「ぐぶっ――」


 五回ほど地面にたたきつけたところで、


「ん?」


 板瀬の体が、淡い光に包まれて、拡散していった。

 ようやく、板瀬は解放されたのだ。



「おっと……もう少し甚振いたぶるつもりだったんだが……殺してしまった……私も力加減が下手だな……これでは、バロールの事をとやかく言えない」



 などと、意味の分からない事をつぶやいてから、


「次からは、もう少し慎重にいくとしよう。さて、次は……うん、君にしよう」


 そう言って、ジャミは、岡葉をロックオンする。


「ひっ……」


 あまりの恐怖に体を震わせる岡葉。

 逃げようとするが、このステージは見えない壁で包まれており、逃げ場などどこにもない。


「い、いやだ……たすけ……」


「私に助けを求めても無意味。私は神の命を受けてここにいる。神の命を受けている際の私は揺るがない」


 そう言うと、ジャミは、一瞬で岡葉との距離を詰めて、

 彼の腹にワンパンを入れる。


「うぶふっ!!」


「うん、このくらいなら死なないな……今度は、簡単に殺してしまわないよう、注意して……」


 などとブツブツ言いながら、ジャミは、岡葉をボコボコにしていく。


 その間、ずっと、


「やめっ……おねが……許してください……」


「君もおかしな事を言っているな。許す? 何をだ」


「た、助けて――」


「だから、その懇願は無意味だと言っている。我が神は、君たち虫ケラが『苦痛』の底に沈む事を望んでおられる。神の望みは私の望み」


「……く、狂ってる……」


「自覚はある。だが、それがどうしたという?」


 言いながら、ジャミは、続けて、岡葉をボコボコにしていく。




 ★




 ボコボコにされている岡葉を見て、客席は静まり返っていた。

 凄惨な現場を見て、青くなっている者ばかり。


 トウシたちも真っ青になっており、


「バロールよりも……完全に、あのジャミってヤツの方が強いな……」

「確か、ソンキーとかいうキャラパーツの性能を最大限に発揮しても、今のあんたじゃ、バロールには勝てないんだっけ?」

「ああ。ワシはまだ、九華に勝てる力を持っとらん」

「なら、あんたの選択肢は一つ。動くな」

「……」

「何度も言わせるな。あんたを殺すのはわたしの役目。ソレだけは、他の誰にも、絶対に、譲らない」

「わかっとる……別に動く気はない。そもそも、おそらく『神様が張っとるであろう、あの見えん壁』をワシでは突破でき――」




「神様!! たすけてください!!!」




 そこで、岡葉の叫びが響いた。

 天に向かって叫び、

 続けて、客席に向かって、


「神様! お願い! 死にたくない! 助けて! かみさ……誰か! 誰でもいい! 助けて! 誰か! ――蜜波さん! どうか、助けて!」




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