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2話 ぬしであれば、のりこえられると信じておる!


 2話 ぬしであれば、のりこえられると信じておる!


 シーンとする現場。

 中には血の気が引いている者もいる。

 『マジかよ……』と呟いている者も。


 そんな連中を見渡してから、メービーは、


「まあ、一回目はノーカンにしてやろう。しかし、次はない。さて、私は次に、いつ、『例の言葉』を言うかな。もう言ってしまおうかな? さあ、どうする?」


 その瞬間、

 受験生たちは一斉に立ち上がって扉の方へと詰め寄った。

 押して、押されて、といった下らない騒動は起きなかった。

 メービーの発言は『急がせる事』が目的であり『順番を競わせるもの』ではないので当然。

 ここにいる者は、予選と一次を突破した者たちばかりなので、アホはいない。


 逆に、『ここで慌てふためいた姿を見せたほうが、不合格になるのではないか』と穿った目で見ているものもいる。



 ――ダラダラせず、キビキビと、一列になって、扉の奥へと進んでいく受験生たち。

 その列の最後尾に、セン・アダム・シューリの三人がいた。


 ★


 ――メービーは、扉をくぐっていく受験生たちを見送りつつ、

 ふいに、チラと、

 最後尾にいる『177番((セン))』に視線を向ける。



 メービーは、一次試験を思い出す。

 あの177番は、結局、最後の最後まで、メービーの威圧に耐えきった。

 きっちり三時間。

 とてつもない根性の持ち主。


(あの小僧の精神力は凄まじい……武の才能はないかもしれんが、しかし、ああいうやつが、結局は伸びていく……戦場では、いくら才能があっても、心が弱いと話にならん)


 177番は、武の才能は微妙と判断されたが、しかし、とてつもない根性を持っていた。

 メービーの人間試験をクリアした者は少ない。

 これまでに、メービーの覇気に耐えられたものは、第二使徒のケイレーンくらい(ケイレーンに対しては、人間試験という形式で気当てをしたわけではないが)。

 メービーは思う。


(ケイレーンでも、私の覇気に3時間耐えることはできないだろう……)


 ケイレーンは、メービーをのぞけば、最も天国に近い超越者。

 潜在能力・現スペック・精神力、すべてが破格の完璧超人。


(あの177番は、あるいは、ケイレーン以上の超人になりうる原石かもしれん)


 そう考えるとワクワクした。


(177番……ぬしは強くなるだろう。もしかしたら、いつか、私と同じ舞台まで上がってこられるかもしれない。そう思わせるだけの資質が、ぬしにはある。この二次試験、命の心配こそないが、内容自体は過酷。真の強者でなければ乗り越えられない。だが、ぬしならば……)


 ついに扉の前まできたセンに、

 メービーが言う。


「ぬしであれば、のりこえられると信じておるぞ」


 上位者然とした態度でそういうメービー。


 メービーの熱い期待を受けて、センは、


「……ぁ、はい」


 と、そっけない返事をした。

 そのそっけなさを、メービーは、


(ふふん、緊張しているな)


 と、とらえる。


(それでいい。緊張、焦燥、不安……そういう一つ一つを乗り越えていった先、その積み重ねが、ぬしを磨いていく。心配せずとも、もし、仮に、冒険者試験に落ちても、ぬしが、『私の弟子になる』という未来に変化はない。ぬしの未来は輝いておるよ)




 ★




 扉をくぐった先は、大きな街の広場だった。

 そこに、二次まで残った受験生150名が集結している。


 最後尾のセンたちが扉をくぐり終えたところで、その扉がスゥっと消えていった。


(おやおや、出口、消えちゃったよ……)


 センが、心の中でそうつぶやきながら、周囲を確認する。



(ん? この広場……なんか、妙に既視感が……)



 そんな事を思った直後のことだった。






「MDワールドの世界へ、ようこそ!」






 受験生たちの頭上に、突如出現した小さなドラゴンがそう言った。


「ぼくは、ガイド役のナビゴンだよ、よろしくね」


 いぶかしげな視線でナビゴンを見つめている150名の受験生たち。

 そんなナビゴンに対して、センは、


(ナビゴン……覚えているぞ……これ……確か……携帯ドラゴン……)


 この世界に既視感を抱いていたのはセンだけではなかった。

 ゼンとシグレの二人も、


(これ……『携帯ドラゴン』じゃね……?)

(これって『携帯ドラゴン』やんな……スマホゲーの……)


 そんな第一アルファ出身の三人と、


 プラス、



(……な、なんか、突如として、ゴリゴリに『携帯ドラゴン』の世界になったな……)



 今回、二次試験から途中参加する事になったフーマー大学校の劣等生ピーツも、心の中でそう呟いた。



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[一言] ぶっちゃけ言ってることが的外れってわけじゃなくて初期センでも才能はないけど覇気にはどうにか耐えていただろうしそれが最終的に神の王レベルまでに強くなっていったってのも確かなんだよね 肝心のセン…
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