77話 因子(フラグメント)。
77話 因子。
『転生』する前も後も、誰も助けてくれなかった……
と、そんなことを叫び続ける彼女の様を尻目に、
センは、
「……転生ねぇ……」
そこで、ユズの顔をじっと見つめる。
「……あのガキの面影が……まあ、あるな……正直、声も……似てるしなぁ……」
「あぁあ?!」
「お前の名前……あまり自信ないが……確か……『ユズ』……だったっけ? あってる?」
「……」
沈黙を肯定と受け入れたセンは、
そこで、ぽりぽりと頭をかきながら、
「……となると、『大一アルファ』にいたあいつも同じ因子だろうなぁ……他の世界でも、似た系統の女はちょくちょく見た気がする……なんだかんだで、お前と俺、結構、関係してんなぁ……」
無数の世界を渡り歩いてきたセンエースは、これまでにも何度か、ユズに近い因子――フラグメントを持つ者と出会い、交流した記憶がある。
フラグメントとは、簡単に言えば、その人間の『魂の証明書』のようなもの。
――たとえば、あなたの抜け毛。
それは確かにあなたの一部ではあるが、それを『あなた自身』だと言う者はいないだろう。
では、もし心臓と脳を取り出したらどうなるだろうか。
中枢臓器のない体と、取り出された最重要臓器そのもの。
どちらが『あなた』なのか。
答えはシンプル。
『フラグメント』を持っている方があなた。
――フラグメントとは、存在証明……魂の証明書。
それは極めて概念的なもの……『名前』とか『記憶』みたいなもので、『髪の毛とか心臓みたいに具体的な質量を持つものではない』が、しかし確かに存在する。
世界の根本には、『命を生み出す泉』のようなものがあり、そこにはフラグメントの大元――いわば金型や設計図のようなものが存在している。
『性能のいい設計図』が何度も使われ、同じ機械が量産されるように、優れたフラグメントもまた、同じ性質を持つ存在を生み出すための設計図として繰り返し利用される。
イメージ的にはクローン。
または、別世界に産まれた双子。
遭っても死なないドッペルゲンガーと言ってもいい。
各世界には、同じ根源フラグメントを持つ人間が、実は結構存在する。
たとえば、ゼノリカの天上――三至の一人であり、PSR部隊の一員でもあるミシャ。
彼女と同じフラグメントを持つ者は、確認されているだけでも50〜60人ほど存在している。
「あの時、助けられなかった子が、てめぇの転生体だったってのは……なんていうか……運命的……ではないな……なんだろうな……だいぶ露悪的というか、なんというか……事実として、この世界の意地悪さを感じざるをえない……」




