10話 気持ち悪い。
本日の10話目!!!
10話 気持ち悪い。
「しかし、アダム殿に目をつけられたことは災難であったのう。アダム殿の性格は苛烈ゆえ……特に、『尊き主』が絡むと一切の制御がきかなくなる……」
「あの御方が……アダム様……」
「そう。選抜護衛軍、セン様の親衛隊、PSR部隊のリーダー。『咲き誇る絢爛アダム』……特異な出自を持つ稀代の戦女神」
アダム様は、パメラノ猊下の上司であるゾメガ様よりもさらに上の存在。
神帝陛下を除けば最上の地位に座す女神。
「アダム様は、主の伴侶……ではないのですよね」
「主は、まだ独り身であらせられる。后を願う声は多いが、ふさわしい者はおらん」
猊下は首を左右に振りながら、
「アダム殿は、なかなかの女傑だが、まだ足りん。あの程度では、セン様の伴侶たりえない」
「尊き主は……そのぉ、ぇと……ど、童て……ぃ、いや、『純潔』だというお話でしたが、なぜでしょう。無数の傾国級美女が、センエース神帝陛下の周りにはおられるのに……」
PSR部隊のアダム様、ミシャ様、シューリ様、この3名の美しさは別格。
この世界に、その三名の女神を知らない者はいない。
三名とも、全世界最高クラスの存在値を誇る超絶美女であり、その上で、センエース神帝陛下のことを心底から愛しているという。
「セン様は『病的』と言ってもいいほど高潔。ゆえに、どんな時であろうと『快楽に溺れて道を誤る』ということがあり得ない。肉欲という脆弱さから解脱しておられるのだ」
「……は、はぁ。な、なるほど……」
狂信者にとっては、童貞すら賛美の対象か。
しかし、一々、表現が尊大でくどいな。
陛下を過剰に褒めないと死ぬ病気にでもかかっているのだろうか。
「セン様ほど、自分に厳しく清い心を持つ御方を見たことがない。望めば、全てが手に入るお立場にあられながら、しかし、セン様は何も望まない。何も望んではくれない……」
声がかすれているのに気づき、私はチラっと猊下の顔を見た。
……ガチ泣きしていた。
ここまできたら、もう気持ち悪いとかじゃない。
怖い。
「セン様は……我らのような『弱き者』を守るために、ずっと……う、うぅ……」
ボロボロと泣いているパメラノ猊下を見て、私は心底からドン引きしてしまう。
……事実として、センエース神帝陛下のオーラはすごかった。
けど、所詮、強さって才能によるところが大きいから、私は、強さというものを『尊いもの』だとは考えられない。
才能なんて、ただの生まれつき。
背が高いのと、どこが違う?
背が高いからって尊いわけじゃないだろ?
私は天帝だったが、それも、ただ才能があったから。
そして、私が、パメラノ猊下に勝てなかったのも……結局は才能に差があったから。
私は頑張った。
才能にあぐらをかくことなく、必死に頑張って天帝になった。
けど、結局、『自分より才能がある者』には勝てずに全てを奪われた。
私のスペシャルは無敵じゃない。
必要な努力を積まないと効果を発揮しない。
パメラノ猊下に勝とうと思ったら……いったい、どれだけの努力が必要か……考えるだけで目がくらむ。
努力は大事だが、努力だけじゃ才能には勝てない。
それがこの世界の現実で限界。
センエースだってそう。
センエースより強い者が現れれば……全てを奪われて地に伏せるだけだろう。
「わかるか、ミカンよ。あの御方の尊さが……」
「は、はい……も、もちろん、わかりますとも、パメラノ猊下」
でも、決して本音を口にしたりしない。
テキトーに、『センエース神帝陛下は尊い』と、話を合わせておく。
それが、『ゼノリカの中で生きていく上』で、最も大事な処世術だ。
最後に、一言だけ本音を。
センエースを過剰に崇拝する『この世界の狂気』は、絶対に間違っている。
それでも、迎合して生きていかなきゃいけないのが、人生の辛いところだ。
というわけで、10話達成……
ここから先も、まだまだ頑張っていきますよぉ(*^-^*)




