3話 タナッカマン、参上!
3話 タナッカマン、参上!
「あなた様は、この世でもっとも尊く、気高く、美しい神! 並ぶ者のいない唯一無二の――」
「えぐいえぐい……ちょっと黙って」
センはしんどそうな顔で天を仰ぎ、右手をひらりと上げてアダムの言葉を制した。
「俺がちょっと自虐するたびに、一々訂正していたら、それだけで日が暮れて夜が明けて、朝日が目に染みるから、なるべく俺の発言はスルーしてくれ。どうせ、中身のあることなんか言ってねぇんだから」
だが、アダムは一歩も引かない。
「何をおっしゃるのですか! あなた様の発言は、全てが天の輝きであり、世界を照らす理そのもの――」
「だるいぃいいいい! もういやぁあ! ママぁあああああああああ!!」
純白の空間に、スネオニズム溢れた王の悲鳴が虚しく吸い込まれていった。
★
「――というわけだ。あとは頼んだぞ。タナッカマン」
「……人に頼み事する時は、変なあだ名で呼ぶのはやめましょう」
センに呼び出され、タイマー付き扉の前までやってきた『田中・イス・トウシ』は、眉間にしわを寄せてそうつぶやいた。
正統なる銀河の支配者。
才能という点だけで言えば、全世界で間違いなく最高位の知神。
現状、純白の空間の中には三つの影。
センは腕を組み、アホみたいな顔で、見えないチョウチョを追いかけている。
アダムは、その半歩後ろに控え、わずかに顎を引いたまま、トウシに対して冷ややかな視線を向けている。
アダムはトウシの有能さを正しく理解している。
田中・イス・トウシはこの世で最も優れた頭脳をもつ。
そのスペックは、絶対的最高格であり、ゼノリカの大幹部たるアダムをも軽く超越している。
トウシは有能……それは完全に理解している……が、理解以上の感情はない。
彼女が崇拝し、敬愛し、命を捧げているのはセンエースただ一人。
トウシなど『センエースを強化するための、優秀なパーツの一つ』に過ぎず、それ以上でも、それ以下でもない……というのがアダムのトウシに対する認識の全て。
そんな彼女の露骨な『興味のない目』にトウシは気づいているが、気にする素振りはない。
トウシはトウシで、アダムに興味がないから。
彼は彼で、基本、己の女以外に興味がない。
トウシは無言のまま、タイマー付き扉に視線を向けた。
中央に浮かぶ数字。
――『X17:39:24』
目減りしている。
だが、ある瞬間を境に、数字が増えていく。
――『X17:39:27』
「……ふむ。なるほど。だいたい、5秒~10秒ぐらい経ったら『X17:39:27』にまで戻っていく感じやな……」




