ファイナルエピローグ 命の答え。
6話投稿するといったな。あれは嘘だ。
というわけで、本日最後の投稿となる7話目!!
センエースを読んでくれて、本当にありがとう!!
ファイナルエピローグ 命の答え。
――南大陸の魔王城でも、似たようなエピローグ的展開が巻き起こっていた。
人払いの済んだ城内は、拍子抜けするほど静かだった。
厚い石壁に囲まれた廊下。
遠くで揺れる灯火が淡く影を落としている。
『当然のように復活したリーン』と『テラスと分離したゴート』。
両者は魔王城の執務室で、お互いの状況について話し合っていた。
高い天井から吊るされた燭台の炎が、ゆっくりと揺れている。
重厚な机の上には書類や地図が広げられたままだが、今はそれらに手をつける者はいない。
「えっと……全然分からないんだが……」
一応、一通りの説明を受けたものの、結局意味不明という顔をしているリーンに、
ゴートは、肩の力を抜いたまま苦笑する。
「いや、まあ、もう……詳しくは理解しなくていいと思う。俺も、ぶっちゃけ、何がどうなったか、いまいち、理解してねぇし」
テラスと一つになっていたので、
だいたいのことは認知しているものの、
具体的にどういうことが起こっていたのかに関しては、
正直、まったく理解していない。
気づいた時には死にかけて、テラスに回収されて、バーチャに奪われて、センに回収されて、合体して、吐きだされて……
と、あまりにも展開がジェットコースターすぎて、理解する暇もスキもなかった。
思い出そうとすると、頭の奥がかすかに重くなる。
「とりあえず、俺らが理解しておくべきことは、今後、この世界は、ハルス王が支配するってこと。俺ら魔王国も、精霊国フーマーも、あいつの支配下になる。……まあ、より正確に言えば、あいつの上司である『ゼノリカ』という組織が元締めになるわけだが……ゼノリカは監視用の支部を置くだけで、基本的には、ハルス王が統治していくって話だ」
リーンは腕を組み、わずかに眉をひそめる。
「あのバカ勇者が統治することになって大丈夫なのか? あいつ、相当のキチ〇イだぞ?」
かつて、魔王城に乗り込んできて、リーンの配下に対し殺戮の限りを尽くし、リーン自体もボコボコにした勇者ハルス。
そんなイカれた野郎が、世界の王になると言われて、即座に納得できるものではなかった。
リーンは今でも鮮明に憶えている。
血の匂いと、焼けた石の熱と、あの男の目の奥にあった底なしの熱を。
忘れることなど出来ないハルスとの対話……吐き捨てられた彼の信条。
『平和。ゾっとする概念だ。退屈だけが死を量産する、何もない朽ち果てた世界。そんな地獄、俺は絶対にごめんこうむる』
『平和はあたたかいんだろうぜ。別に否定はしねぇ。夏が暑いってのを否定すんのはただのバカだろ? 俺はそうじゃねぇ。そうじゃねぇんだよ。ただ、俺の望みは、冷たい血の上で踊る修羅の世界ってだけの話なんだ。ヘドが出る退屈はお呼びじゃねぇ』
そこで、ゴートが、がしがしと頭をかきながら、ボソっと、
「勇者ハルスの『根底』は何も変わっていないと思う。詳しくは理解できていないが……あいつの中には俺と同じものがあるらしいんだ。……『絶対に譲れない感情論』。それが暴走した結果、あいつは、『殺すことでしか他者を救えない』という奇異な結論に至ってしまった……」
低い声だったが、その言葉には奇妙な確信があった。
「……意味が分からんな」
リーンは小さく息を吐く。
「俺には少しだけ分かる。ぶっ壊れて、歪んで、腐って……それでもなくさなかったものの取扱い方が分からなくなって……ただひたすらに苦しみ抜いて、ずっと一人で泣いている……その気持ちが、ほんの少しだけ……」
ゴートの視線がわずかに落ちる。
「……」
「だから許せとか、だから正しいとか、そんなズレたコトを言う気はない。ただ、今のあいつは、『もう何も諦めなくていい力』を手に入れた。だから多分、これからはちゃんとしてくれると思う。……知らんけど」
リーンは苦笑する。
「そこは、できれば、断定してほしかったな……」
「他人が将来どうなるかとか、未来がどうなるかとか、そんなもん、わかるわけがない。それでも、俺は……」
そこで、ゴートは、リーンの前で片膝をつき、リーンの手を取る。
小さな手の温度が、じんわりと伝わった。
「お前と一緒に生きていきたい。今度こそ守ってみせると……心底から誓う。仮に、また今回のアレコレみたいに守り切れなかったとしても、必ず奪い返す。時間を巻き戻してでも、コズミックホラーを殺してでも……必ず」
その声は、揺らぎのない低さで響いた。
まるで、長い長い夜の果てにようやく届いた、小さな確かな音のように。
リーンの中で、暖かな想いが膨らむ。
胸の奥に、ゆっくりと灯がともるような感覚。
暗闇の底で、消えかけていた火種に、そっと息が吹き込まれたような温もり。
ずっと欲しかったものが手に入ったのかどうかはわからない。
そもそも、自分が何を求めていたのかさえ、本当はよくわかっていない。
それでも。
今、この瞬間の暖かさだけは、紛れもなく本物だった。
触れれば壊れてしまいそうなくらい繊細で、
けれど、どんな嵐でも消えないと信じられるほど確かなぬくもり。
命には答えがあったよ。
それを証明することは難しい。
言葉にすれば、きっとどこか足りなくなる。
それでも、それだけは絶対に嘘じゃない。
生まれて、迷って、傷ついて、失って、泣いて、
それでもまた誰かを求めて手を伸ばした、そのすべてが、確かにここへ繋がっている。
これからも、彼・彼女たちは、きっとさまよい続ける。
問いの終わりなんて、どこにもないのだから。
けれど、それでいい。
そうやって重なり合った命が、やがて大きな円になり、
静かにわずかに、けれど確実に、世界を支える螺旋になっていく。
……命には答えがあったよ。
鮮やかに舞い散るこの瞬間の中で、
痛みも、悲しみも、喜びも、すべて抱きしめて、
静かに、
たゆたって、
だから、
――自由になれたよ。
――THE TRUE END OF THE PROLOGUE!!!!!!!
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
7年半……
長かったようで、振り返れば一瞬で、
それでも確かに、積み重ねられてきた時間でした。
これにて、センエース神話の『プロローグ』は終わりです。
センが原初の扉を開いた、その先。
そこから始まる『本編』は、
もはや作者である私の手の中にはないと考えます。
この先の物語は、
読んでくださった皆様一人一人の魂の中で、
それぞれの形を持って、今まさに始まるでしょう。
どんな世界が広がり、
どんな選択がなされ、
どんな結末へ辿り着くのか。
そのすべてを、
どうか自由に、思い描いてください。
その種として、パーフェクトコスモゾーンやルシファーやアザトスなどを伏線として残しておきました。
決して終わるわけではない……
その想いを込めて、この物語を『完結済み』には致しませんでした。
センエース神話は、
読者様の数だけ存在する『無限の本編』を抱え、
これからも永遠に紡がれ続けていくと、私は信じています。
今日まで、ずっとありがとう(*´▽`*)
心からの感謝を捧げます!!
センエース神話を愛してくれて、
……本当にありがとうございました!!!!!!!
舞い散る閃光「本当に最後だから、ちょっとぐらいは本音を言おうと思う。俺は気持ち悪い理不尽とか胸糞がマジで嫌いだ。まっとうなヤツが全員幸せに生きていられる世界を、割とガチで望んでいる。あんたらの頭の中で生きる俺も……そうであることを願うぜ。――じゃあな」
――TRUE END――




