表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
祝福章 鮮やかに舞い散った閃光。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6274/6359

エピローグ3話 ハルスとセイラと……

本日の6話目!


 エピローグ3話 ハルスとセイラと……


 ――その後、なんだかんだすったもんだあって、

 ハルスは、『原初の世界を統治する王様』になりましたとさ。

 めでたし、めでたし。


「めでたし、めでたし……じゃねぇんだよ。なに、勝手に人を王にしやがってんだ」


 セファイルの王城――その最奥に位置する執務室。


 天井は高く、壁には繊細な装飾が施され、窓からは柔らかな光が差し込んでいる。

 豪奢でありながらもどこか静謐な空気が満ちたその部屋の中央で、場違いなほどだらしない格好でソファーに寝転んでいるハルスと、その隣に、ちょこんと行儀よく座っているセイラ。


 机の上には山のように積まれた書類。

 それらすべてが、新たに誕生した「王」の仕事を物語っていた。


 文句を垂れているハルスに、栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第十席序列十四位のカンツが、豪快に胸を揺らしながら、


「がはははははは!」


 まるで雷鳴のような大笑いが、静かな執務室に遠慮なく響く。


「なにわらってんだ、てめぇ」


 ハルスは寝転がったまま、うんざりした目を向ける。


「偉大なる主の因子を有する王よ。貴様であれば、このキテレツな世界であろうと容易に統治できるであろうよ! もし、何か問題があればゼノリカに助けを求めるがよい! この『原初の世界』にも、ゼノリカの支部を置いておくゆえ!」


 胸を張り、まるで全てが既定事項であるかのように言い切るカンツ。


「人の話を聞こうぜ! 俺は一度も、王をやるなんて言ってねぇんだが?!」


 半身を起こし、両手を広げて抗議するハルス。


「文句があるなら、この上なく偉大な我が主に申すがいい! 貴様を王にすると采配したのは我が神ゆえ! しかし、そう簡単に、尊き神へ御目通りが叶うなどと思うなかれ! 少なくとも、まずはワシを通してもらおう!」


「だから、てめぇに言ってんだろぉお! 頭わいてんのか、筋肉ダルマごらぁああああ!!」


 ハルスの叫びが虚しく空間に響く。

 しかしカンツはどこ吹く風で、腕を組んだまま満足そうに頷いていた。


 ハルスがワーワー騒いでいる横で、セイラはしとやかに紅茶を飲んでいた。


 白磁のカップを両手で包み込み、ゆっくりと口元へ運ぶ。

 琥珀色の液面が、窓から差し込む光を受けて静かに揺れる。


 騒がしい声など気にも留めず、穏やかな時間に身をゆだねていた。


 すると、執務室の重厚なドアが静かに開いた。


 蝶番がかすかに鳴り、外の空気がすっと流れ込む。


「失礼します」


 丁寧な挨拶と共に、一人の若い女性が中に入ってきた。


 落ち着いた足取り。

 控えめで、しかし芯の通った佇まい。


 その女性はまずハルスとカンツにしっかりと頭を下げる。

 自然に身についた礼節の動きだった。


 それからセイラの隣に腰をかける。


 その瞬間。

 セイラの表情が、ぱっと柔らいだ。


 次の瞬間、がしっと抱き着いて、


「おねぇちゃん、体、もう大丈夫?」


 まるで小さな子どもが安心した時のような、屈託のない笑顔だった。


 女性は一瞬だけ驚いたように目を丸くしたあと、すぐにやわらかく微笑む。


「うん……もう大丈夫。心配かけてごめんね」


 その声は静かで、どこか温かかった。


 かつて、壊れるほどの現実の中で、それでも誰かのために笑い続けていた者だけが持つ、静かな優しさが滲んでいる。


 セイラは安心したように頬をすり寄せる。


 その光景を、ハルスは一瞬だけ見た。

 ほんの一瞬だけ、騒ぐのをやめて。

 そして、ほんのわずかに視線を逸らす。


 何も言わず、また大げさにため息をついた。


「……人の生き死にも気分次第好き放題か……はっ。キモい神様だぜ」


 ぶっきらぼうな声だったが、さっきまでの苛立ちとは、少しだけ温度が違っていた。

 窓の外では、穏やかな光が変わらず差し込んでいる。


 そんなエモさの中、

 カンツの鉄拳が、ハルスの頭部に落ちる。


「痛ぇなぁ! なにしやがる!」


「偉大なる王を侮蔑することだけは許さん!」


「そういうアレじゃないことぐらい分かんだろぉおお! バカか、てめぇえ!」


 その様子を見て、セイラも、彼女の姉も楽しそうに笑った。 

 騒がしさも、理不尽も、過去も、全部まとめて飲み込むように、静かな時間が流れていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローごっこをしていただけなのに、気付いたらカルト教祖になっていました また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
はえ〜。王様はリーンじゃないんだ
セイラの姉の名前が出てこないのはちと怖いなあ。 イスバックアップの姉って言う存在だから、これから先何かセンエースと関わることがあるのかも。 ハルスが結構あっさり王になってますけど、人選的には滅茶苦茶…
運命に翻弄されてきた姉妹が、ようやく手にした穏やかなティータイム。ハルスの「キモい神様だぜ」という毒づきに、彼なりの不器用な感謝が詰まっている気がして痺れました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ