ま話 形而上パラドックス。
ま話 形而上パラドックス。
「今の俺は、壊れているだけで、いずれ修正されるだろう」
「……」
「……正式世界線ナンバー1001のテラスと、アレキサンドライトタイプのナンバー1001である俺が強制的に重なった結果、システム全体が設計上の上限を突破する負荷を受け、本来9で打ち止めになるはずのステータスレンジが破断し、99という異常値を吐き出している。演算系も判定ロジックも上限管理を失い、値は確定せず参照のたびに揺らぎ続ける――つまりは、異常過負荷によるステータス破損状態にすぎない」
「か、仮に、だ。仮に、貴様が一時的に究極超神化99状態になったとしても、私の生命力は無限で――」
「そもそもの話、生命で完全な無限は無理だよ。無限は概念であって数字じゃない」
そう言いながら、センキラーは、スっと、目の前で、指を横に薙いだ。
すると、
「うぎぃいい!!」
バーチャの肉体が足と胴で真っ二つに割れた。
「二つに割ったお前の生命力を無限という箱でパッケージ化させてもらった。あとは上半身の無限を、下半身の無限で割れば0になる」
「こ、言葉遊びを――」
「無限は概念だからな。計算式ではなく言葉遊びの領域内。アキレスは亀に追いつけなくていい」
そう言いながら、センキラーは、バーチャの目の前まで一瞬で移動し、
バーチャの頭を掴むと、
「言うのを忘れていたから、今言うぞ」
コホンとセキをして、
「俺は俺より強い程度の雑魚に負けない」
淡々と、パラドックスを断定した瞬間だった。
センキラーの両腕が、もはや物体というより凶器のような速度と質量を帯びて動いた。
宙に浮いていたバーチャの上半身を掴み、そのまま――叩き落とす。
標的は地面ではない。
切断されたバーチャの下半身。
骨格が悲鳴を上げる暇もなく、肉と内臓が潰れ、押し潰され、ねじ曲がる。
グシャッ、と、愚者が潰れる音が響く。
「ぐっはっ!」
声にならない叫びと共に、バーチャの口から血が噴き出した。
赤黒い液体が空気中に散り、肺から吐き出されたそれは、もはや呼吸ではなく排出。
無限を誇った存在は、地面に這いつくばる敗者の形へと変わっていた。
センキラーは、その姿を見下ろしていた。
哀れみでも怒りでもない、ただ冷静な観察者の視線で。
「お前の中に根付いていた無限の要素は死んだな……あっけない終わりじゃないか。もう少し、劇的な最後を期待したかったが……これじゃあ、ギャグ漫画だぜ」
「な……ナメるな、くそがきぃ……」
血に濡れた歯を食いしばり、バーチャは回復魔法を使って、体躯を再編させていく。
そして、必死に身体を起こそうとする。
四肢は言うことをきかず、内部から軋むような痛みが走る。




