21話 月と太陽。
21話 月と太陽。
センキラーの叫びが、重なる。
その瞬間、空間が再び歪む。
今度は引き裂くためではない。
引き寄せ、奪うための歪みだった。
コンマ数秒。
思考が追いつくよりも早く、勝敗は決していた。
センキラーの方が、わずかに、だが決定的に速い。
センテラスの存在が、抗う間もなく、引力に引きずられるようにセンキラーの側へと吸い寄せられていく。
逃げる猶予は、どこにもなかった。
そして、融合は完成する。
主導権を完全に奪われた形で、テラスはセンキラーの内部へと取り込まれた。
勝ち誇るように、センキラーは笑う。
「はははははぁ! 無様だな、バーチャさんよぉ!! どんな気持ちだ? ねぇ、今、どんな気持ちぃいいい?!」
戦場に高らかに響く嘲笑。
優位性を取り戻した途端、強烈に敵を煽っていく現金な閃光。
バーチャは、
「……ふん」
と、鼻で笑ってから、
「テラスもシグレと同じで、重要なコアは既に抜いて、私の中で完全融合を果たしている。いくつか権限を失うが、私の根底にある強さは変わらない」
「存在値が8000京まで下がっているが?」
「所詮はその程度。テラスから抜き取った『無限太陽』は私の中で、今も瞬いている。『シュブ』も。『無限蘇生』も。『プライマル・センエース』も。『自分は絶対に正しい』も。『田中のバックナンバー』も」
「改めて振り返ると、お前、全部盛りだなぁ……」
「私が今も無敵で不死身で最強であることに変わりはない」
「ここで一つクエッション。なんで、他のどれでもなく、お前が『ただのヌケガラと唾棄するテラス』を全力で回収したと思う?」
「……何もないはずだ……もう、センテラスには……」
「俺もそう思っていたんだが……朝日が言うには……どうやら、俺は月で、テラスは太陽らしい……その二つが一つになれば、なんか、いい感じになるんだとさ」
月と太陽は、対立する概念ではない。
照らす角度と時間が違うだけで、どちらも世界を成立させるための同一系統の機構。
太陽は外へ向かって力を放ち、世界を駆動させる。
月はそれを受け止め、循環させ、裏側で均す。
センが月であるなら、彼は受容と反射の器。
力を溜め、歪みを抱え、夜の側で世界を観測し続ける存在。
テラスは太陽だった。
意志を持って燃え、定義を押し付け、現実を前へ進める存在。
その二つが、境界を失う。
「い、いい感じになる、だと? ナメているのか?」
「俺の中で、テラスが浸透していく。……自分のTSと融合ってのも、なんだか、だいぶバグってんな。こんなキテレツフュージョン、俺以外にやったヤツいないんじゃねぇかな、知らんけど。……まあ、なんにせよ、そのイカれた感じが、俺の物語らしいと言えなくもない」




