16話 俺はセンエースでもソンキーでもセミハラユーゴでもない。センエースを殺す者だ。
16話 俺はセンエースでもソンキーでもセミハラユーゴでもない。センエースを殺す者だ。
センとトウシは、何が何だか分からない顔のまま目線をきょろきょろさせている。
そんな二人を置き去りにして、
朝日が短く告げた。
「アマルガメーション」
言葉は軽かった。
しかし次の瞬間、三人の存在が重なり合う。
「よっしゃぁああ!!」
歓声とともに、
3人合体が完成した。
表層に現れた人格は……なぜか朝日だった。
新たな身体で軽く首を回し、
ファイティングポーズを取った。
「……【『セン』エ『ー』ス】と【ソ『ンキー』】と【『セ』ミハ『ラ』ユ『ー』ゴ】が合体して……『センキラー』ってところかな」
その一部始終を、
腕を組んだまま見つめていたバーチャが、
ようやく口を開いた。
「暴露を積む権利をやる……何が何だか分からないから、説明しろ」
腕を組んだまま放たれたバーチャの声には、苛立ちと警戒が滲んでいた。
その視線を真正面から受け止め、センキラーは一歩も引かず、胸を張る。
「ものすごーく簡単に言えば……『閃朝日』は、『破壊衝動ソルの分体』で、『蝉原勇吾のバックアップ』が埋め込まれている」
「それは何となくわかったが……なぜ、今になって出てきた? そもそも、なぜ、貴様はゼノリカの一員でありながら、原初魔カード『異邦』の効果から外れている?」
「原初魔カードに関しては、もちろん、そういう設定にしたからだけど……大前提として、どうあがいても、『運命のアリア・ギアスのせいで、狡猾蝉原はバーチャに奪われてしまう』というのがある。これは、ゼンとセンくんが闘う運命であるのと同じ、逃れられない。……だから、『蝉原』は、破壊衝動ソルを介して『センエースの養子』という『バックアップ』を用意しておいて、かつ、ありとあらゆる『運命』から隔離しておいた。すべては、いま、この瞬間のために」
口調は淡々としている。
だが、その一言一言には、膨大な時間と執念が折り重なっていた。
「……随分と用意周到なことだ。その執念深さと几帳面さには敬意を表そう」
センキラーは、肩をすくめるように笑い、
「くそったれなバッドエンドという運命を殺すためには、絶対的に、『運命を欺く』必要があった……これで勝てなければマジで終わり。ただ、負けるわけがない。僕のパパ上は世界一だからね」
「貴様は蝉原なんじゃないのか? 雰囲気から察するに、どうやら、本気で、センエースのことを父と慕っているように見えるが?」
「そうじゃないと運命を欺けない。必死に演技をするうちに、それが血肉化した……別に珍しい話でもない。スパイが別人格を演じている内に、どっちが本当の自分か分からなくなる……みたいな感じかな」




