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90話 殺しきれない。


 90話 殺しきれない。



(クソが……結局、20回以上死んじまった……くそ、くそ、くそ……)



 心底から嘆いているP型センエース1号。

 目を閉じ、頭をかかえ、天を仰いで、深く長い溜息をつく。

 わかりやすい絶望。


(無意味なマイナス……もはや、こいつらが何十人いようと負ける事はないが……そのために払った対価が……あまりにも大きすぎる…………も、もうダメかもしれない……この程度のストックじゃあ……センエースどころか……シューリとの闘いに耐えることだって……厳しい……)



 絶望に沈んでいるP型センエース1号の向こうでは、

 ズタボロの姿で地に伏しているゼノリカの神々がいた。

 神に成った事で膨れ上がった存在値。

 超神化して、膨大に強化された力。


 ――だが、そんな神々の力も、P型センエース1号を『20数回殺すまで』が精々だった。

 ゼノリカの神々が弱いのではない。

 P型センエース1号のスペックが、あまりにも反則的すぎる。



 華開き、圧倒的な力を得たゼノリカの神々だったが、

 恐ろしく強くなってしまったP型センエース1号によって、

 結局、最後にはズタズタにされてしまった。



「な、何回……蘇れば……気がすむんじゃ……」

「まさか、本当に無限だなんて事は……ありませんよね……」


 ふいに、ゾメガと平がボソっとそうつぶやいた。

 全員の声を代弁した呟き。


 暗くなる空気。

 重くなる空間。


 そんな淀みを裂くように、ミシャが、


「仮に無限であっても関係ない……あのカスが、『ゼノリカに仇なす敵』である以上、私たちは、最後の最後まで抗い続けるのみ」


 そう宣言した。

 狂気的な宣誓。


 ――先が見えないこの絶望下でも、ミシャの目はまだ死んでいなかった。

 絶望を乗り越え、希望の光を得て、

 しかし、また『絶望の底に叩き落とされる』という、この無間地獄の中で、

 それでも、ミシャは諦めようとはしなかった。


 五聖命王の三人も、九華のメンツも、

 心に『当たり前の不安』は灯っているものの、

 しかし、誰一人、折れてはいない。


 その証拠に、



「つぅか、いい加減にしろ……それだけやられてんのに、なんで、まだ、心殺呪縛が通らねぇ。……ふざけんなよ、クソどもがぁ……」



 みな、まだ、かたく拳を握りしめている。

 全員、例外なくボロボロだが、

 立ち向かう意志だけは、いまだ、全身から、ほとばしっている。


「どんだけイラつかせれば気がすむんだ、このザコどもぉ……てめぇらカスの相手をしているヒマなんざないって、何度言わせんだぁあああああ!」


 叫ぶ、P型センエース1号に、

 ミシャは、


「誰も、貴様の言葉など聞いてはいないという事だ! 我々の相手をするのがイヤなら、蘇らずに死ねぇ!」


 いっさい、ひるまずに特攻をかました。

 そんなミシャの頭を掴み、


「いい加減、折れやがれぇええ! ウザすぎんだろ、てめぇえらああああ!」


 思いっきり地面に向けて投げつける。

 それを、ガシィイっと、全身で受け止める平熱マン。


 平熱マンの腕の中で、

 ミシャは、悔しそうに、


「く……そ……殺しきれない……」


 歯噛みして、


「私は、最後まで折れずに抗い続けるだろう……しかし、『力』が足りない! 殺しきれない! その事実に変わりはない! くそ、くそ! 自分の弱さが憎い!」


「あなたは弱くありません。あなたは、とてつもなく強い『自慢の家族』です」



 奥歯をかみしめながらそう呟いた平。

 と、その時、

 そんな平たちの背後から、




「情けないでちゅねぇ……ゼノリカの主力が揃いもそろって、『あんなザコ一匹』にボコボコにされて。……昔から、虫ケラの集まりでしかないとは思っていまちたけど、ここまで酷いとは思っていまちぇんでちた」




 突如出現したシューリの姿を見て、ミシャが、ボソっと、


「……さ、酒神……」



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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