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89話 救援要請。


 89話 救援要請。



 一次試験が始まってから既に2時間以上が経過していた。

 センからすれば、本当に、ただ立っているだけに等しい、このクソ試験。


 『面倒臭い事』と言ったら、『神としてのマナーで、苦しそうな演技をしなければいけない』というその一点のみ。


(かったるすぎるな……)


 センが心の中で、アクビをかみ殺していると、


 そこに、



(――ザザザザザザザ――ザ――ぁあっ、ん、あっ――ぉ、お爺様! よかった、やっと繋がった……)



 銃崎心理から、通信が入って、センは、意識を傾ける。


(心理? どうした? 何かあったのか?)


(はい。実は――)


 そこで、簡単に事情を聞いたセンは、


(はぁ? バカな……そんな事があったなら、俺が感知できないワケ……)


 そこで、センは、禁域にアクセスしようとしてみた。

 しかし、


(っ)


 何をしようとしても弾かれてしまう事に、ようやく気付く。

 少し踏み込んでみれば、今まで、『禁域』に意識が向かないように指向コントロールが施されていた事にも気付いた。


 これらすべて、センに対する明らかな敵対行為。

 それも、おそろしく超次の――


(なるほど、理解した……つまり、今、お前らは、俺の『意識』を弾くほどの相手と闘っているってワケか……)


(はい……お爺様の御手を煩わせるのは、大変心苦しいのですが、この敵は、われわれだけではいかんとも――)


(そのカスは俺の敵だ。『お前らが相手をしようとしている』というのが、そもそも間違っている。ぁ、いや、そんな『前提について』なんか、今はどうでもいい。そんなことより、お前の話だと、まだ全員、生きているんだな? 誰も死んでいないな?)


(はい、どうやらやつは、我らを支配下において、力を吸収するつもりらしく――)


 そこからも、数秒ほどで、ある程度の説明を簡単に受けると、


(理解した。すぐに行く)


 試験中であることなど完全に忘れ、

 センが瞬間移動をしようとした、

 その時、




(センッッ!!)




 心に響いた大声。

 名前を呼ばれて、センは踏みとどまる。

 『心を殴られたんじゃないか』と錯覚するほどの、超大声での通信。

 声の主は、もちろん、シューリ・スピリット・アース。

 センを呼び捨てに出来る者は限られている。


 空間が痺れる大声で、脳内がグワングワンしているセンに、

 シューリは言う。



(動いちゃダメでちゅよぉ。こんなクソ試験を来年もまた受けるなんて、冗談じゃないでちゅ)


(……動くなだと? はぁ? ふざけたことぬかすな)


 センは、若干切れ気味の声で、


(そのP型とかいうワケわかんねぇクズが暴れている場所は、俺ん家の庭だぞ。家主の俺が、ここで『動かない』なんて選択肢はありえな――)


(オイちゃんがシメてきまちゅから、試験を続行してくだちゃい)


 その発言を受けて、センは、


(……ま、マジで言ってんのか……ウソだろ……お前が、そんな雑用をやるわけ――)


 心底から驚愕した声を出したセンに、

 シューリは言う。


(来年、また、このクソ試験を受け直すよりは、アホを殺す作業の方が、まだマシでちゅ)


(……ほ、ほんとうに頼んでいいのか、シューリ)


 すがるような声で、そう言われて、

 シューリは、少しだけ、だらしなく口元を緩ませて、


(はっ……ほんと、世話の焼ける男でちゅねぇ。基本、オイちゃんがいないと、何もできないんでちゅから。やれやれ)


 そう言うと、瞬間移動で、その場から消えた。


 ――それを確認してから、センは、


(アダム)


(――はっ)


(悪いが、シューリと一緒に、禁域での面倒事を処理してきてくれ。ありえないとは思うが、もしもの時は、あいつを助けてやってくれ。頼む)


(御命令、しかと承りました。しかるべく対処してまいります)


(頼んだぞ)






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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[気になる点] 今まで、『禁域』に意識が向かないように指向コントロールが施されていた事にも気付いた。 禁域に天下の百済が監視してたことも、 P1の成長をコントロールする為にソルが センエースを思考誘…
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