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79話 転生ストック。


 79話 転生ストック。


「消えてろ、ジジイ」


 そう言ってから、ゾメガの頭部を掴み、地面に向かって投げつけた。

 またもや、ドカンと大きな音が響く。


 動けなくなったゾメガを見下ろして、



「……ふぅ……」



 と、静かに息を吐くP型センエース1号。


 完全かつ圧倒的な勝利。

 三至を相手に、完璧な勝利をおさめたP型センエース1号。


 だが、


(……くそ、くそ、くそ! 想定外の出費だ……シューリに削られる分も考えると……ヤバい……足りない……くそぉおおお……どちくしょう……)


 無限転生・改には、無数のルールがある。

 特に厳格なルールは、転生できる回数。

 明確に『最大10回』とか『最大100回』とか絶対的な回数が決まっているワケではない。

 まず、前提として、『存在値100の時に転生する』のと、『存在値100万』の時に転生する『コスト』が同じな訳がない。


 ――お湯でヒタヒタになった風呂を想像してもらいたい。

 最初の方は、小さじ一杯で転生できたが、だんだんバケツが必要になってくる。

 そんなイメージ。



(センエースに勝とうと思えば、最低でも50回は転生する必要がある……だが、このままでは30回も厳しい……)



 センエースと闘う時には、膨大な存在値になっているだろう。

 つまり、転生に必要なバケツのサイズもかなりのものになるということ。


 ハッキリ言って、序盤に『百回』死んでも大してゲージは減らない。

 だが、積もれば後半の『一回分』にもなる。

 現在で、すでに、5回も死ねば、後半の一回分に相当するようになった。


 もはや、そう簡単には死ねない領域にきた。

 細かいコストを抑えていって、『センエースと闘う時』のために、ストックを最大で用意しておくこと。

 それが、最も重要な事だった。

 しかし、


(死にすぎた……足りない……今のままじゃ……命ストックが……足りねぇ!)




「――なにを悲観しているのか知らんが! スキだらけじゃぞ、ガキィ!」

「ナメられたものですね! まだ、貴様は、ボクの全てを見ていない!」




 ふいに、P型センエース1号の背後に現れたゾメガと平。

 両者ともに、地面にたたきつけられ、大ダメージを負っていたはず。

 なのに、関係なく!


 これは、残りの魔力とオーラ全て賭した暴走!


 『せめて、もう一撃だけでも』という執念!


 ボロボロの様相で、しかし最後まで諦めないその姿。

 それは、まさに、センエースの意思を継いだ者の姿!



「――\/\ 【エニグマ・ミーティ――」

「――平熱マン・スラッ――」



 魔力とオーラの異常消費による『自己の消滅』をも覚悟で、

 尖った無茶をしようとするゾメガと平熱マンに、

 P型センエース1号は、


「うるせぇ、ザコどもがぁあ!」


 ゾメガに対しては、思いっきり膝を入れ、

 平熱マンに対しては頭突きを顔面のど真ん中に叩きこむ。


 両者の腹部と顔面に、ガツンとメリこんでいく高威力の衝撃。


「うぐぼぉお!」

「がはっ!」


「センエースにかぶれているだけのカスがぁ! はしゃいでんじゃねぇ! 確かに、想定外に強かったが、てめぇらなんざ、しょせん、それだけのザコ! 俺に勝てるわけねぇだろ。ナメんなよ、くそぼけ。抗えないんだよ、俺って絶望には! 俺の前では、『全ての絶望』が絶望する! それが、この世界に刻まれた、たった一つの真理! つまりはぁ! 俺が! 俺こそが! センエースなんだよぉおおおおおお!」


 『三至が想定外に強かった』せいで『余計にストックを消費してしまった』という、

 その過度なイラつきを、ゾメガに対して理不尽にぶつけるP型センエース1号。



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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