セン5話 SNSは世界を覆った。
セン5話 SNSは世界を覆った。
・日本大国内の反応。
「うおおお! ついに財界の老害どもがぶっ殺された! マジでスッキリした」
「銀行頭取ざまあwww 今までどれだけ国民から搾り取ったか……」
「広告代理店の幹部が死んだって? テレビも新聞もやっとまともになるかもな」
「いや待て、怖すぎるだろ……。昨日までトップだった人間が一瞬で消される国なんて、もう独裁国家じゃん」
「新しいトップに任命された人たち、かわいそうすぎる。絶対プレッシャーで胃に穴あく」
「でも正直……前よりマシになるだろ。だってもう汚職できねぇじゃん」
「センエースが主軸になって汚職するだけじゃね?」
「救世主か悪魔か? いや、どっちでもいい。とにかくこの国が変わるなら」
「センのバリアGIF作ったw」
「ところで、転生文学センエースって作品、見た?」
「ああ、なんか、聞いたことある」
「リンクはって」
・アメリカ合衆大国の反応。
「ヤバい、あの少年……企業のトップまで殺して新しい人間を据えたぞ。これはもう『革命』だろ」
「民主主義を完全に否定してる。独裁者が誕生しただけだ」
「でも日本の庶民は歓声を上げてるんだろ? 民意が独裁を望んだら、それはどう呼ぶんだ?」
「アメリカも腐ってる。この国の上層部だって裁かれるべきじゃないのか?」
「ミサイルを無効化する相手だぞ。軍じゃ止められない」
「……そういや、『Shibuya Entity』っていう小説、見たやついる?」
「やたら臨場感ある。正直ジャーナリストより上」
「すばらしい文学。完全に高名な作家の仕事だ」
・中華人民共和大国の反応。
「センエース! 彼こそが真の天子だ」
「いや、我が国の主席以外にそんな存在を認めるな! 危険思想だ!」
「でも正直、あの少年が我が国に来て腐敗幹部を一掃してくれたら……国は浄化されるだろう」
「我が祖国に腐敗幹部などおらん!」
「軍が動いたのに効かなかったんだぞ? 勝てるわけない。交渉するしかない」
「――転生文学センエースって小説を読んだ。ニュースまとめかと思ったら完全に物語仕立てだった」
「なんでこんなに『感情』の描き方が細かいんだ?」
・欧州の反応。
「恐怖と希望の入り混じった革命。まるで現代のロベスピエールだ」
「人権を無視した独裁者。だが、腐敗を掃除したという事実を否定できない」
「我が国の政財界も同じだ。もし彼が来たら……拍手喝采する市民は多いだろう」
「彼を悪魔と呼ぶか、救世主と呼ぶか……それを決めるのは、たぶん歴史じゃなくて『次の彼の一手』だ」
「話題になってる『Shibuya Novel』。翻訳で読んだけど、表現がやけに繊細でビビった」
「繊細すぎて、逆に内部リークに思えた」
「この場合の内部ってなに? センエース?」
・その他の地域の反応。
「正直、日本が羨ましい。うちの国も腐敗した政治家だらけだ」
「いや、羨ましいとか言ってる場合じゃねえ! 全人類の脅威だぞ」
「テレビで見た。国を丸ごと飲み込む圧力……震えが止まらない」
「神か悪魔か? そんなのどうでもいい。ただ一つ確かなのは、もう『前の世界』には戻れないってことだ」
「リンク頼む。最近話題の『転生文学センエース』ってやつ」
「翻訳して読んだ。作者、誰?」
「正体は完全に不明。でも、文章が妙に優しい」
「だから女性作家じゃないかって噂が出てる」
「女に文学ができるかよ」
「……はい、炎上。この時代に、よくそんな発言できるね。勇気ある」
・世界トレンド。
#腐敗一掃
#救世主降臨
#地獄の独裁者
#渋谷サミット
#舐めんなよ外交
#ShibuyaNovel
#転生文学
……こうして、渋谷で起きた一連の出来事は、国境も言語も越えてSNSを通じて全世界を覆った。
称賛、恐怖、嘲笑、懇願――あらゆる感情が、たった一人の怪物に収束していく。
――同時並行で、世界の一部は気づき始めていた。
匿名の誰かが書いた小説が、翻訳を通じて国境を越え、タイムラインを駆け巡っていることに。
作者は不明。
根拠のない噂だけが、勝手に膨らんでいった。




