17話 弱体化ブースター。
17話 弱体化ブースター。
泣きわめきながらも、
そこからしばらく、ラストと全力で戦ったセン。
だいたいのことが分かったところで、
センは、蝉原の魔法で、『さいごのまおうのせかい』へと戻った。
安全地帯に避難したセンは、その場で大の字になって、
「しんどー、ありゃ盗めねーわ」
と、ファントムトークで、心を鎮めつつ、
「どうしよー……ねえ、どうしよー、店長ぉ」
頭上でフヨフヨしている火の玉蝉原にそう声をかけると、
火の玉が、アイテムボックスから資料を取り出して、
「殺戮レベルを500……いや、1000ぐらいに上げれば、可能性はある……というのが俺の見立て」
センは受け取った資料に目を通す。
そこには、殺戮レベルを上げることで、どのぐらいの恩恵があるかが記されていた。
「……1000にするための経験値がキツいなぁ……別に嫌われるのは『ドンと来い』だけど……これ、世界中の人間に、相当なサイコを魅せつけないと無理な量だな……」
さらに読みこんでいくと、
「おいおい、殺戮レベルが上がると、俺の存在値が下がんのかい……どんだけ、俺に嫌がらせしたいんだ。そんなに俺のこと嫌い? 俺、それなりに、お前とは仲良くやれていると思っていたけど、それ、俺だけの勘違い?」
「それも、アリア・ギアスとして組み込んでおいた。いやなら取り除くけど?」
「……」
「もし、『弱体化ブースター』を取り除いた場合……もっと、もっと、もっと、えぐい事をしないと殺戮レベル1000に到達するのは無理。『大一アルファにいる子供を親の前で、ガチで拷問して皆殺しにする』……ぐらいのことをしないと到達しない。それでもいいなら、そうしてくれて構わないよ。俺としても、そっちの方がいい。知らんガキなんか何人死んでもいいから、確実にラストを殺してもらいたい」
「……」
「どうする? 君が決めてくれ」
「……ちっ」
舌打ちだけしてセンは受領の姿勢を示した。
蝉原は、
「一応、この縛りに関しては、いつでも任意に外せるように調整してあるから、キツいと思ったら、いつでも外して、子供を虐殺してくれ」
「ああ、気が向いたらな」
と、生返事をしてから、
センは、深いため息をついて、
「きっついなぁ。こうなると……俺単騎で殺せるように策を練った方が、まだ確実性が高そうなんだよなぁ……なんかないかなぁ……『無敵』を貫通する神の一手……煌めけ、俺の脳細胞! ときめけ、俺の前頭前野!」
「…………何か思いついたかい?」
「ああ、パーフェクトな神の一手を思いついたぜ」
「へぇ。ちなみに、それは、どんな一手?」
「トウシに丸投げするんだ」
「……二歩(反則)は神の一手じゃないよ」




