16話 これで、どうやって戦えばいいんだ!
16話 これで、どうやって戦えばいいんだ!
強烈に強いと理解する。
ただ、センは、『勝機がまったくないわけではない』とも思った。
泥試合にはなるが、
正直、なんとか勝てる……と、センは判断した。
しかし、だからこそ、その額に、冷や汗が浮かぶ。
(……『このレベルに勝てるヤツ』をイチから育てるのは……えぐいな……)
大一アルファに関する資料には目を通している。
だから、『どの程度のレベルの人間が存在しているか』は知っている。
潜在能力値は確かにすさまじかったが、初期状態だと、存在値は10前後。
(うわぁ……きつぅ……)
闘いの中で、センは心底しんどくなった。
『自分が闘う』という前提であれば、
『ぶっちゃけ、どうとでもなる』という覚悟を謳えるが……
(存在値10の連中をゼロから鍛え上げて、こいつに勝たす? ……むりむりむりむり……)
常識的な思考の中で、センは絶望に溺れる。
途中、センは、蝉原に、
「おい、蝉原! お前、こいつを、どのぐらい、足止めできる?!」
「もって数か月が限度かな……」
「あほか、短ぇよ! こんな時に冗談ばっかり言ってんじゃねぇよ、ボケが」
「君にだけは言われたくないセリフだね」
「ムリは言わないから、最低でも3兆年、耐えてくれ!」
「その注文を承れるのは、俺が知っている中だと、センエースっていう変態ぐらいだね。知っているかな、結構有名な変人なんだけど」
「じゃあ、2兆! これは譲れない!」
「……仮に2兆年、俺が耐えたとしても、大一アルファ人たちは、そんな長い時間の鍛錬に耐えられないよ。みんな、100年ぐらいで灰になっていると思う」
「くそ! 俺の手札は意味不明な世界の雑魚ども! これで、どうやって戦えばいいんだ!」
と嘆いていると、
そこで、ラストが、両手をセンに向けて、
「色即是空/明けの明星」
途方もない光が、その両手に集まっていく。
圧縮された光はすぐさま解放。
溜め時間は最短。
けれどその火力はとんでもなく膨大。
「ぶへぁあああああああああああ!!」
『明けの明星』は『強化カスタムされた異次元砲』みたいなもの。
とんでもない火力の攻撃。
「ぐ……くぉ……」
一撃でかなりのHPをもっていかれた。
「え、えげつない火力……あれだけの照射を放てば、MPが枯渇してしかるべきなのに……なんか……全然、魔力が減ってねぇんだけど……なんで?」
そこで、蝉原が、
「どうやら、『オルゴレアム化』をしているっぽい。彼女のMPは無限だよ」
「……うわーん!!」
ついに天をあおいで泣き始めてしまったセン少年。
「もうだめだぁあ! おしまいだぁああああ!」




