13話 大一アルファ。
13話 大一アルファ。
「へぇ。それはそれでおかしな話だと思うけれどね。よく俺なんか信用するね。一応、俺って、役職的には君の敵だよ?」
「恐怖の色は隠せねぇ」
「……」
「お前は今、マジで、ラストの存在に脅威を感じている。お前の言動に関して俺は、今後も絶対的に懐疑的であり続けるが、お前の戦慄は、信用と検討に値する」
「……ありがたい限りだね」
「お前の話をもとに、大いに検討した結果、俺は、『お前のプランを全面的に受け入れる』という結論に達した。ここから俺は、お前の『お人形さん』だ。自由に使って、この問題を解決に導け。失敗したらお前の責任。成功したら俺の手柄だ」
「最高だね」
「絶対的に最低だろ、常識的に考えて。テキトーなことヌかすな」
とても大事な契約を交わし終えてから、
蝉原はアイテムボックスから書類の束を取り出す。
「これが大一アルファの資料だ。一応、目を通しておいてくれ」
センはパラパラと確認していく。
すると、どんどん眉間にシワが寄っていった。
「第一アルファもなかなかのクソだったが、この大一アルファは、さらに輪をかけて腐ってんな」
「俺の見解としては、どっちもどっちだけれどね」
意味のない感想を言い合った頃には、
資料をだいたい読み終えたセン。
「それで? ここから俺は、具体的にどうすればいい?」
「まずは、鍛練用の世界を創造してほしい。そして、その世界に、大一アルファの人間を大量に転移させてくれ」
「誰を? どのぐらい? 正確に言ってくれ。『プランを他人任せにした時』の俺は『出来の悪いプログラム言語』よりも融通がきかないし機転もきかない」
「……」
蝉原は一度タメ息をついてから、
「地獄の鍛錬を施す必要があるから……女子供は、なるべく選ばない方がいいだろうね」
「おいおい、時代を考えろよ。炎上するぜ、そんな差別的な発言をしたら」
「それって、つまり、『女子供を中心に選択して地獄の鍛錬を施せ』って言った方がいいってこと?」
「いや、俺が言いたいことはそういうことじゃねぇ。何言ったって炎上するときは炎上すると言いたかっただけだ」
「……ま、そういう側面もあるにはあるけれどね」
と、タメ息交じりにそう言ってから、
「基本的には軍人の方がいいね。最初から鍛錬の基礎が出来ている方が普通にいい。あと、君の心情的なものも考えて……悪人とかを選んだ方がいいんじゃないかな」
「――『いいんじゃないかな』じゃない。『やれ』と命令しろ。俺はお前のお人形さんだと言っているだろう。お前が消えて喜ぶ俺に、お前のオールを任せるな」
「じゃあ、やれ」
「俺に命令するな、蝉原ごときが。俺を誰だと心得る」
「すごいね……本気でイライラしてきたよ」
「やったぜ」




