12話 殺されちゃった、テヘペロ。
12話 殺されちゃった、テヘペロ。
「ああ、そういえば、俺は、過去にタイムリープしているんだったな……もう、色々ありすぎて、記憶がバグリまくっているぜ……あ、となると、この世界の真・第一アルファには、過去の俺がいるんじゃねぇか。また、忘れていたぜ。自分の事となると、いつも脳が低下しちまう。よし。俺を呼んできて鍛え上げよう。それでオールオッケーだ。俺は強いぜぇ。あいつなら単騎でもやってくれるはずだ。というわけで、俺は家でミルクでも飲んでいやがりながら吉報を待つことにする」
「……ああ……えっとね」
「もう嫌なんだけど、お前の否定の言葉を聞くの。……なんだよ、どうした。過去の俺は、どうなっているんだ?」
「過去の君は……真・第一アルファごと、ラストに殺されちゃった」
「……えぇー」
「まあ、仕方ないよ。この段階のセンくんの存在値なんて、ラストと比べたら、だいぶ弱いからね。それでも、ログを見る限り、だいぶ頑張ってはいたよ。ラスト相手に、一発いれていたからね。ありえないことだよ。さすが、俺達のヒーロー、センエースは格が違った」
「……」
「ちなみに、ラストに回収されちゃったから、復活させることもできない。まいったね」
「じゃあ、どうするんだよ。お前もトウシもゼノリカもいなくて、俺まで死んでいるんじゃ、もうお手上げじゃねぇか」
「この状況を打破できる方法が、一つある」
「どんな?」
「深層一層の最奥に……『大一アルファ』って言う世界がある。ここでいう『だいいち』は、『第一』ではなく、『ビッグワン(大一)』ね」
「ふむ」
「大一アルファは、第一アルファのコピー元……まあ、この辺も、あまり言うとややこしくなるから、ほどほどにしておくけど……まあ、ようするには、第一アルファに似ている世界だよ」
「……それで、その世界がなんだ?」
「第一アルファの元ネタだけあって、大一アルファに存在する人間の潜在能力はハンパじゃない。俺や君やトウシほどの器はいないだろうけど、全人類が、とてつもなく高いポテンシャルを秘めている」
「……まさか、そいつらを鍛え上げて、ラストに挑めって?」
「それが、『最も可能性が高い手段だ』と断言できる」
「……いや、それ以外にも色々とありそうだが……」
「あるよ。いくらでも。ただ、最短最善は、この方法だと言っているんだよ」
「……」
「俺の言う事なんか信用できない……というのであれば、別にそれでもいいよ。ただ――」
「信用はするさ。検討が必要ってだけで、疑ってはいない」




