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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
永久閃光龍神K章 センエース。

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202話 倍プッシュだ。

挿絵(By みてみん)

自作コミカライズ版36話配信中!

下のリンクから、直接36話をダウンロードできるページに飛べるようにしてあります。

それを記念しての一日10話投稿!!


本日の1話目!!!!!


 202話 倍プッシュだ。


(あれを受けたら……死ぬ……よなぁ……)


 ただの弱音が表に出る。

 けれど、折れない心が、勝手に体を突き動かす。

 ――恐怖で一杯になる。

 恐怖心がないわけじゃない。

 それでも準備をやめない。


「気持ちの悪い男だ。嫌いだよ。誰よりも……セミディアベルよりも……」


 ――ゼンドートの指先が、わずかに閉じた。

 戦場全体が、次の暴光を待つ沈黙に落ちた。


 指先が合図を刻む直前、空気のシワがひとつ逆流。

 場の張力がぴん、と高音を立て、ゼンドートの瞳孔が針の穴ほどにすぼまる。

 胸の奥、見えない歯車が一枚、規格外の回転数で噛み直った。


 そこで、ゼンドートは、


「ん?」


 異変に気付く。

 流れるように、胸郭きょうかくが内側から膨張。

 骨のバネがしなる。

 血の温度が一段跳ねる。

 自らの影が、光源も動かぬのに揺れた。


「は? まだあるのか? いや、本当にもういいのだが……ま、まあ、覚醒を拒絶する気はないが……流石に、ここまでくると自分で自分が怖くなるな……」


 言葉に追いつくように、気血が膨らむ。

 拍動が、鼓膜と床石と結界糸を同時に叩く。

 ドク、ドク、と一打ごとに空間のメモリがあらくなる。


 ゼンドートは両手を胸前で固く組み、唇を噛んだ。

 整然とした顔貌が、初めて制御の汗で濡れる。


 暴れる新生の出力が、骨と理性の継ぎ目を片端からこじ開けにかかる。

 彼はそれを真正面から抱え込み、軸を通し、呼気の一本一本に配線する。

 ――力に呑まれず『使う側』へ戻るための抑制。


「う、うううう! ううううううううっ!」


 足元が微細に鳴き、床の概念が沈む。

 鎧でも術でもない素の関節が、外界の位相線と噛み合っていく。

 骨が星図をなぞるみたいに、ぴたりと『正しい位置』へすわる。


 そして、届く。




「――真理道徳神化3――」




 名が鳴動した瞬間、過負荷の白が澄み、圧が『硬度』から『清澄』へ相を変えた。

 数式がはじけるように、数がいななく。


 ――230京。


 無慈悲な、しかし静かないただき。

 結界の金線が黙り、戦場の空気が礼儀正しく通り道を空ける。



「はぁ……はぁ……」



 呼吸を整えたゼンドートは、ゆっくりと天を仰いだ。

 瞼の裏を通過する数式の薄羽が、吐息に合わせてめくれる。


「……セミディアベルの冗談が現実になったな。やつは、確か言っていたはずだ。全部で7回変身できると。……これで、合計7回目の変身だ」


「そ……そうみたいですね」


 どうにか冗談っぽく敬語を使っているが、目は笑っていない。

 瞳孔は冷水を浴びたみたいに縮み、掌は汗でぬめる。

 胸内のメトロノームが痛い。

 ――体は正直に恐れを叫んでいる。



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自作コミカライズ版36話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
ゼンドートの覚醒の描写は、単なる強さではなく、 肉体が変質していく生理的な異様さが、 克明に伝わってきて鳥肌が立ちました。
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